表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の青春  作者: しらたま
第三章 僕の夏休み
21/84

第二十一話 僕の額を走る。

カラオケから一週間が経った。

僕は来る日も来る日も部活に追われていた。

あの日(カラオケの日)は砂漠のオアシス的な日だったのだと思った。

この先の夏休みに僕のオアシスはあるのだろうか。

そんなことをぼーっと考えながら外野の守備をしているとボールが飛んできた。

普通に獲ろうとボールの落下地点に走って捕球体勢になったとことまでは覚えている。


けど今は見知らぬ天井を見ながらぼーっとしている。

状況は読めないけど、もう少しだけここで寝ていようと思った。

涼しい部屋で布団を被ることを夏のぬくぬくと呼ぶことにした。

半分寝ぼけているような感じが心地よい。

夢と現実が混ざったような感じだ。

もしかして僕はオアシスに辿り着いたということか。


「起きた?おーーい」


声が聞こえる。もう楽園の時間は終わりか。

僕はゆったりと体を起こす。


「大丈夫?」


僕はどうやらまだ夢の中にいたみたいだ。

なぜなら姫川さんがベッドの横の丸いすに座っている。

僕は夢をいいことに姫川さんをずっと見ていた。

頭がだんだんクリアになってきた。解像度が上がっていく。

起きたばかりで思考が遅れている。そして理解が追いついた。


「えーと、大丈夫?顔赤いよ?」


その時には僕の顔はタコのように真っ赤になっていたと思う。

姫川さんが困惑している。


「大丈夫です。姫川さんはなぜここにいるのですか?」


僕は平然を装うように真顔を作り出した。


「ぷふっ!なにそれ!」


姫川さんが蒸しダコから急に真顔になった僕を笑った。


「保健室来たら梵くんが寝てるんだもん。先生が出掛けるからちょっと見ててって言うから。見てた。」

「保健室?ここ保健室か」

「どうしたの?まだ寝ぼけてるの?」


姫川さんが僕の反応を見て笑う。

オアシス。


「えーと僕がなんでここにいるか知ってたりする?」

「覚えてないの?」

「うん」

「先生いわく、ボールが頭に当たったって言ってたよ。渡辺くんが運んできたって。」


うーんと外野フライを取り損ねたってことか、めっちゃダサいじゃん。


「あと熱中症って言ってたよ。だからほら水。」


姫川さんがコップに入った水を僕に渡す。


「ありがと」


ごくごく飲む。そういえば、全然水分補給していなかった。


「あー生き返ったーーー!」

「初めて会った時も水めっちゃ飲んでたね」

「確かに」

「姫川さんはどうして保健室に?」

「えーーと、ちょっと調子悪くて」


姫川さんがちょっと上の空のような感じだ。

部活サボっちゃったのかな。


「そうなんだ。僕がベッドを使っちゃっててごめん。」

「そんな大したことないから気にしないで。」

「何時だ?15時か。練習戻らないとな」

「野球部はもう帰ったと思うよ?」

「そうなの?」

「暑過ぎるから外部活は午前で帰宅するように放送があったよ。」

「そうだったのかー。ラッキーデーだったのに」


姫川さんが笑う。


「梵くん真面目なタイプだと思ってたけど、案外不真面目?」

「僕はいつも真面目ですよ。」

「変なタイミングで敬語になるね、うける」

「そうかな?」


僕は別に褒められてないはずなのに照れ笑いをした。

恥ずかしくて少し下を向いた。


「もう具合は大丈夫?」


姫川さんはそう言って手で自分の額を触りながら、もう一方の手で僕の額に触れた。

感じたことのないほど、さらさらで柔らかい感触が僕の額を走る。

魔貫光○砲が撃てるくらい僕の神経は額に集中した。

僕は目線を上げると、ありえないくらい近い距離に姫川さんの顔があった。


心臓が痛いほど鼓動していた…。


・・・・・・・。


この後どうなるのか、それはもう宇宙の起源と同じくらい今の僕にとってはわからないことだ。


つづく

ここまで読んでいただきありがとうございます。

人の心は難しいと最近感じます。

今後もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ