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僕の青春  作者: しらたま
第三章 僕の夏休み
20/84

第二十話 間が悪いんだ。いつだって僕は。

その時、二つ目のマイクで誰かが入ってきた。

今泉さんだった。

僕の声を上書きするような勢いだ。

苦手な高い音程にガイドがつくと途端に曲が歌いやすくなる。

みんなも大盛り上がりで手拍子に掛け声でしっかり観客役をやってくれる。

この男女のデュエット感が好きだったりして、今だけはアイドルになった気分。

コロコロと都合のいい自分に呆れてしまう。


結果、今泉さんが入ったことで僕もいつも通り歌うことができた。

一番のイケメンは今泉さんで間違いない。異論は認めない。


この後、夕方くらいまで僕たちは歌い続けた。

歌っている時以外も大声で話さないと聞こえないから、すっかり声がガラガラになってしまった。

カラオケの時に至近距離で大声で喋るあの感じが僕は気に入っている。

いつもより距離感が近くなったような、そんな気がして嬉しい。

お店を後にした僕たちはカラオケから駅に行くまで2,3人ずつに分かれて歩いた。

人が多いと大体こんな感じになるよな。この時1人になりそうでソワソワするのは僕だけなのかな。

偶然にも姫川さんと2人きりの状況になった。

これはラッキー!

テンションは急に上がる。


「今日楽しかったね!」

「うん楽しかった。」

「ははは、声ガラガラすぎ!」

「はしゃぎ過ぎました。」


姫川さんが僕の声を聞き笑った。

僕は普通に答えたつもりだったがガラガラ声だったから面白かったらしい。

僕の好きな漫画に登場する蛇系忍者の声みたいな感じだ。

あらいいじゃない、とか言ってみたくなる。

まあこれで姫川さんの笑顔が見れたのなら儲けもんだ。


「ゆかちがテンション高くて笑っちゃった。」

「盛り上げ上手だよね。」

「うん、間違いない。」

「梵くんもゆかちと一緒に歌ってる時よかったよ!」

「姫川さんも歌ってる姿可愛かったです」


一瞬間があく。

なんか勢いに任せて思ってたことそのまま言ってしまった。

やばいこの間は気まずさを膨張させる。

すぐさま切り出す。


「急に変なこと…」

「またけい…」


同時に話してしまった。

またやっちまった。


「どうぞお先に」

「なんかさっきもあったね!」


姫川さんの〜ね。で終わって、ニコッは結構強烈だ。

門を三枚口寄せしても貫通するだろう、なんてくだらない例えが頭に浮かぶ。


「えーと、なに言おうとしたんだっけ?忘れたかも」

「逆に気になる」

「まあ大したことじゃないよ。またみんなで遊びたいね!」

「はい!そういえば来週、」


僕が一歩踏み出そうとした時にみんなと合流した。

間が悪いんだ。いつだって僕は。

というか一つのことを考え過ぎて周りが見えていないのかもしれない。


「ごめん、何か言おうとした?」

「いや、大丈夫なんでもないよ」


改まっては言えない。

最寄駅に着いた僕たちはそれぞれ家の方向に帰っていく。


「じゃまたねー!」

「バイバーイ」


方角的に僕と今泉さんは確定で一緒に帰ることになる。

半日一緒にいたから、特に話すこともないからか静かな今泉さん。

僕は姫川さんに切り出せなかったというか間が悪くて言えなかったことを未だに引きずっている…。

けどお礼は言わないといけないと思ったのでボソッと切り出した。


「さっきはありがと」

「声。あははは!ウケるんだけど。」


声のことはすぐに突っ込まれた。


「しょーがないだろ」

「でなんのこと?ありがとって?」

「いや一曲目の」

「あー私が入れたのに梵が勝手に歌ったやつ?もうびっくりしたよ」

「え、そうだったの?」

「そうでしょ!だって私が入れたんだよ?途中から乗っ取ったけどね!」

「なんだよ。感謝して損した」

「損はしないだろ!」

「まあ確かに」

「いやーでも今日は梵が梵してたなー」

「ん?何それ、どゆこと?」

「んーー楽しかったねーってこと」


たまに訳のわからないことを今泉さんは言う。

ダラダラ話しながら歩いた。

しばらくして僕の家の前に着いた。


「んじゃまたね」

「おう、また。あと、ありがとね。」

「何?またー」

「損はしないからいいだろ?」

「まあそうだね」


少しおかしな会話を重ね、解散した。

意図はどうあれ今日楽しかったのは今泉さんのおかげだと思ったから一応もう一度伝えた。

今日の僕は感情のアップダウンが激しかったから、食事を済ませたらすぐに寝てしまった。


つづく


ここまで読んでいただきありがとうございます。

タイミングが大事ってのはわかっていても難しい。

今後もよろしくお願いします。


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