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僕の青春(仮)  作者: しらたま
第二章 僕の体育祭
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第十三話 体育祭閉幕

バトンを…受け取った。


前方には荒木の背中。こいつを抜かすこと以外、僕の頭の中にはない。


「アンカーが最初のコーナーを回りました!」


大会実況が鳴り響く。

荒木の嫌らしいコース取りで抜きにかかるタイミングが難しい。

そもそもこいつを抜けるのか。

最初のコーナーを周り終え、直線を走る。


「まずいね、ここの直線で抜けないと抜くタイミングは最後の直線だけになる。」

「大丈夫、梵ならやってくれるよ」


日下部と今泉が対決を見守る。

祈るように今泉さんは手を組んでいる。


「最終コーナーにさしかかった!」


大会実況が鳴り響く。

カーブで抜くのはインコースからでもない限り無理だ。

梵はピッタリと荒木につき、最終コーナーのインコースをギリギリまで攻めて加速をする。

カーブを抜けた。その時、荒木とは半歩差。


「よし、カーブでつめた」

「・・・・・」


拳を強く握りしめる日下部と唾を飲む今泉。


「ちょうど、一周のライン!残すは直線対決だ!」


大会実況が鳴り響く。

走り終えた選抜リレーの仲間たちの前を通る時、

まただ…。またスローモーションになった。いろんな声が聞こえてくる。


家族の声、顧問の声、クラスの仲間の声。

なんか走馬灯みたいにいろんなことを同時に思い出した。

昼飯の時のみんなの顔が、母と冬が手を振っている姿が、顧問が喝を入れている姿が。

選抜リレーB組が出せる最大の声で梵を鼓舞する。


「いっけー梵!」


今度は力が……入る……!

最後の直線さらにスピードを上げる。

荒木も全くスピードが落ちない。


ぶつかるくらいの距離感で並走。互いの荒い息遣いが聞こえる。


「ここで並びました!さあどうなる⁉︎」


大会実況が叫んだ。

会場のボルテージが上がる。悲鳴なのか歓声なのか、わからない。



・・・・・・。



パンッパンッ‼︎

ゴールを駆け抜けた。

ほぼ同時だった。どちらが勝ったか、自分でもわからなかった。



・・・・・・・・・・。



その後すぐにD組C組の順でゴール。

あとは大会運営のアナウンス待ちになる。

あれほどうるさかった声援も静まり返る。



・・・・・・・・・・・。



「ただいまの結果を発表します。第4位C組、第3位D組…そして第2位…」



会場がザワザワする。ドキドキが止まらない。


・・・・・・・・・・・。


「第2位A組、第1位B組」


A組の2位とわかった途端クラスの歓声がすごくて1位の放送はほぼ聞こえなかった。


「きゃーー!」

「梵―!!!!」


選抜リレーのメンバーだけじゃなくクラスのみんなが僕に飛びついてきた。

もう感情がぐちゃぐちゃで訳もわからず、目元がジュワジュワ熱くなった。


「さすがブラザー、ウィーーーー!」


渡辺が強引に僕を肩車した。景色が高くて新鮮な感じだ。

初めてクラスメイトの顔をちゃんと見たかも。みんな笑ってるのか、泣いてるのかわからないようなくちゃくちゃな顔で面白い。

そこからはあんまり覚えてない。ただ、嬉しかった。




数時間後。

全校生徒が整列している。今日1日戦ってきた生徒たちの顔はかっこいい。夕陽のせいでより一層感極まる。多分この日のことは大人になっても忘れないんだなと心から思った。

大会の放送が鳴り響く。


「ただいまを持ちまして第98回目の体育祭を閉幕します。今一度、生徒、大会実行委員、保護者、先生たちに感謝を込めて拍手をお願いします。」


パチパチパチパチ。

こうして中学最初の体育祭は学年1位で終わった。


つづく

ここまで読んでいただきありがとうございます。

体育祭は無事に終了しました。

次回は体育祭後のホームルームからです。

イベントの後の放課後って特別な感じしません?

今後もよろしくお願いします。

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