八話 義妹と再会しました
八話 義妹と再会しました
見られないように食堂へ潜入すると、聞き覚えのある声がする。
「なんかカレー食べたくなってきちゃった」
能の声だ。しかもサイズについたカレー爆弾の臭いに反応している。
「取ってきます」
今度は聞き慣れない声が聞こえ、遠ざかる足音が。確認すると黒スーツを着ていた。
サイズはエクスカリパーに抱えられ、テーブルを登った。
「あ」
能がサイズに気付いた。
「助けに来たよ」
手を振ったのか画面が揺れる。
「カレーの臭い……カレー臭がする」
嫌な言いかただ。
「ちょっとカレーをぶつけられたの」
サイズはため息をついた。
「おかげでカレー頼んじゃったよ」
能は笑った。危機感がまるで感じられない。
「ていうか、なんでのんきに食堂なんかにいるの? 監禁されてんじゃないの?」
エクスカリパーに連れられて上がってきたエスパーダが問う。
「私もそう思ったんだけどね。意外と宿守応該の娘ってデカいらしくて、この施設内なら自由に出来るの。ただスマホ取り上げられてんだよね」
能は少しイライラしているようだ。現代人特有のスマホ依存というやつだろう。
「就は?」
「多分、イチャイチャされるのがイヤだから、離れ離れにされてんの。連絡も取れないから不安なんだけどね」
「じゃあ、捜そう」
「えーっ⁉︎ カレー食べたい」
この期に及んでそんな事を言う。
「いい加減にしろよ」
要が声を出す。能にも聞こえていたようで、キョロキョロしていた。
「要は車で監視してるよ」
「お兄ちゃん、戦うの?」
「助け出すだけだ。戦うのは各々の判断だ」
「丸投げか」
「エスパーダ達を信じてると言ってくれ」
要が言うと、黒スーツの女がカレーを手に戻ってきた。それも二つ。さらに片一方はカツカレーだ。
「あ」
カレーを置く寸前の浮いた状態で、エクスカリパーの超能力が発動したようだ。黒スーツの女が不自然な位置で止まった。
「な」
「動きを止めました。やっつけましょう」
エクスカリパーのセリフに能は首を横に振った。
「そんなん生ぬるいよ。自分だけカツカレーを頼むようなやつ」
能は黒スーツの女からカレーを二つ取り上げて、カツカレーのほうを自分の目の前に置いた。
「しばらく足止めよろしく」
能は何の躊躇もなしにカツカレーを食べた。
「あぁっ!」
黒スーツの女の情けない声が響いた。