六話 分かれて探します
六話 分かれて捜します
部屋には兎はいなかった。すでにこの場を離れたようだ。
「後は手筈通りに」
黒星がそう言うと、画面が揺れて「うん」と聞こえた。サイズは素直な子だ。
「僕等が先に見つけるよ」
「競争だ」
スミス姉妹はサイズに対する気持ちを隠さない。六歳と何を張り合っているのだか。
「エスパーダ、エクスカリパー。行くよ」
「アックス、黒星」
「行くよ」
兎が開けておいてたドアを通り抜け、左右に分かれて行く。ただスミス姉妹はハイマースに乗って楽をしていて、アックスに不満を漏らされていた。
「ハイマースは荷物を運ぶのには使ってないんだが」
「人を荷物扱いなんて」
「だからモテないんだよ」
逆ギレがアックスに効いている。
「俺はモテなかったのか」
「みんなを見つけたら、見直すかもしれないぞ」
すかさず黒星がフォローに入る。
「そうか? なら頑張らなくてはな」
ハイマースの手綱を持って強引に駆け出した。おかげでスミス姉妹は落ちそうになり、画像が乱れる。
「やれやれ」
要はサイズ側の映像に目をやった。こちらはゆっくりと慎重に向かっている。
「早くしないと二人にマウントを取られるのではないか?」
エクスカリパーの問いにカメラが揺れる。
「最悪なのは捕まる人が増える事。それにライトハンドとレフトハンドは絶対に助けに来ない。私を盾にした事あるんだよ」
怒っていた。うんうんと画面の中のエクスカリパーが頷き、「お仕置きが必要だな」と言った。
「協力してくれるの?」
「私は子供の味方だ」
「私、子供じゃないよ」
「強がらなくても良い。こういう時は大人を頼りなさい」
「うん……」
なんか納得してない返事だったが、エクスカリパーは満足していた。