四話 都を待ちます
四話 都を待ちます
スーパーに寄って、都に弁当を選ばせた。要は車上荒らし対策で残った。おかげで渋沢栄一を徴収されて、懐が寂しくなった。おつりを返してくれる事を必死に祈っていると、エスパーダが声を掛ける。
「大丈夫。私達が必ず能ちゃん達を助けるから」
考えていた事と違う事を言われて戸惑った。こっちは目先の渋沢、いやおつりの津田梅子と北里柴三郎が手元に戻ってくるか心配しているだけなのに。
「う、うん、ありがとう」
とりあえずお礼を言っておく。
「人間達とシールド達が一緒にいるとは思えない。そこで二つ隊を作ろうと思う」
黒星が言った。人選に偏りが出来ると二次被害が出かねない。でも小人達はその案を否定もしない。
「そうなるとサイズとライトハンド、レフトハンドを一緒にするのはまずい。逃げチームが出来てしまう」
「それにアックスをサイズと同じチームには出来ないね」
未だエクスカリパーの能力から解放されていないアックスにからかうように言った。
「ならば私とエスパーダとサイズで何とかしよう。二人はライトハンドとレフトハンドを任せれば良い」
「二人には撮影係を頼みたいんだけど」
「え?」
「何で?」
要が作戦会議に割って入った事でスミス姉妹から文句が出る。
「中の様子も知りたいんだ。ただ待っているだけよりは良いと思う」
「じゃあ、ライトハンドが私達と来るか?」
エクスカリパーが手を差し出すと二人が怒り出す。
「僕等は二人で一人」
「何人も僕等を引き離せないのさ」
スミス姉妹は肩を組んで結束をアピールしてくる。
これは無理だなと判断した要はサイズに聞く。
「サイズはやってくれる? 撮影係」
「良いけど、みんな二人に甘くない?」
確かに二人のわがままは通してしまう。サイズのほうが年下なのに。やはり他の小人達と大きさが違うからなのか。
「僕等はサイズよりもかわいいんだ」
「だから言う事を聞いてくれるのさ」
二人はサイズをからかうように言う。
「二人なんかより良い映像送っちゃうんだから」
サイズはその挑発に乗る。
「スマホの充電は欠かさずにね」
「後、携帯の充電器もね」
サイズはムカつきながらも、言われた通り充電していた。
スーパーから戻ってきた都は助手席に袋に入った弁当を二つ置いた。当然の行動が展開されないので、要は問う。
「おつりは?」
「は? 運賃は?」
「お前には友情でものがないのか?」
「ガソリンだってタダじゃないの」
「だったらガソリン込みで良いから」
「日給は?」
「その弁当だ」
「ナメてんの?」
「みんな日給なんて求めてないぞ。仲間を助けに行くんだからな」
要は集団の圧を利用した。全員の視線に都は屈した。
「分かったわよ」
弁当代以外の金を全て返してくれた。さっきのやりとりは何だったのか。だが、ここで文句を言っても後の作戦に支障をきたす。
「サンキュー都。打ち上げに焼肉食わしてやるよ」
その言葉に小人達が騒ぎ出したのは言うまでもない。