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負けられない戦い

作者: TAKA
掲載日:2023/07/06

6畳のありふれた部屋。


勉強机に本棚、ベッドの脇には明るい日差しが差し込む出窓にカーテンが揺れている。


男は部屋を一瞥し考える。


今度こそ、今度こそ勝たねばならない。


これまで重ねてきた敗戦の歴史。それを糧にして勝利を掴まねば。


王道も奇策も、全て見破られてきた。


戦友との情報交換を重ね、幾つものアイデアを生み出し実行してきた。


それでも勝てない。相手は強大で、こちらの手の内を読みきっている。


しかし、彼に撤退の2文字はあり得ない。


絶対に勝たねばならない、引くに引けない戦い。


何度負けようとも、最後に勝てればそれでよい。


今まで、利用出来る物は全て利用してきた。この部屋にあるものは全てだ。


机も、ベッドも、本棚も。あらゆる場所を使ってみたが、尽く敗北している。


駄目だ。一人の知恵などたかがしれている。


ここは共闘する戦友と知恵を出し合わなければなるまい。


男はスマホをとり戦友へと連絡をとる。


あいつは勝てたであろうか。いや、期待はするまい。そう簡単に勝てるような相手ではないのだから。


呼び出し音に続き、戦友の声が届く。


「よう、そっちはどうだった?」


「駄目だ、また完敗だ」


やはり戦友も敗北したようだ。


「カバーをかけても、表紙を変えても無駄だった。隠し場所ももうない。万策尽きたか………」


戦友の諦めた口調。奴は心が折れかけている。


「諦めたらだめだ!きっと、きっとどこかに道はあるはずだ!」


「そ、そうだな。諦める訳にはいかない!」


先人たちから綿々と続くこの戦い。きっと勝利をつかめるはずだ。


「かと言って、策は尽きたしなぁ」


「派手なからくりを作る資金も技術もない。どうするか………」


未成年の我らに自由となる戦力は少ない。


「いっそ、デジタル化して………」


「いや、それもパスワードを解析された戦友がいる」


戦友は日本全国に、いや、世界の各国に存在する。


そんな我々が勝てないのだ。


「一体、どうすれば………」


男は室内を見渡す。額に飾られた金閣寺のジグソーパズルが目にはいる。


「ジグソーパズルを使うか………」


「額の裏は失敗したはずだが?」


「いや、額の中だ」


ジグソーパズルにあてる紙を抜き、そこに仕込む。


「薄いから、多くは仕込めない。故に本命をそこに。入りきれない物は陽動とする」


「全ては、守れないか………」


断腸の思いで本命を仕込む。残りを枕の中に仕込み、後は結果を待つのみである。


翌日、学校から帰った男はうなだれていた。


机の上には、キチンと置かれた本の数々。


一番上の本のタイトルは、「ケモミミなメイドさん~絶壁はステータス~」


そう、彼が守りたかった本命だった。


「だから………何でわざわざ机に置くかなぁ」


こうして彼の連敗記録は更新された。


そして今日も、思春期の男子とおかんの攻防は続くのであった。

そして連敗記録は重なっていく

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― 新着の感想 ―
[良い点] お母さんとの戦いですか。 私ならお母さんを脅迫しますかね。 Gの天敵のアシダカ蜘蛛。わたしの部屋には大型の奴が見える場所だけで 10匹近くいますよ。 台所まで歩いて行くとGの姿はゼロなの…
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