進捗状況報告会議
夏も終わりに近づき、早いもので、私が女公爵になってから2年がたとうとしている。就任2周年は派手に行うつもりだ。派手なのが好きという訳ではないけれど、ここ最近さすがに稼ぎ過ぎた。他の貴族や王家からむしり取ったものが殆どだし、西部の鉱山から産出した金銀を硬貨に変えているから、南部の景気はかなりいい。だが、中央も含め他の地域は、予想した以上にボロボロだ。
最終的にはそうするのが目的ではあるのだが、ちょっと崩れるのが早すぎた。難民の受け入れも多すぎると、元からの住民と軋轢が起きる。それに貴族たちは民を強引に締め上げて収入を上げようとしている。ハッキリ言って悪手だ。税率はバランスが大事なのだ。上げれば良いというものじゃない。
そんなわけで少し計画を修正すべく私はホムンクルス達を集めた。
「うまくいっているのは良いんだけど、うまく行き過ぎるのもちょっと問題なのよね。こちらにも色々準備ってものが有るし。そのあたりを調整したいのよね。良いかしら」
私はホムンクルス達に向かってそう提案する。
「そうね。ミゼンの準備というか、心構えもあるものね」
「確かに先走り過ぎた感はあるかも知れないわね」
「こういうのは周りが進め過ぎてもうまくいかないものだというしね」
「勢いってものも大事だとは思うけど、ミゼンがそういうんじゃ仕方ないわね」
みんな口々に賛同の意を表す。さすが全員元は私。息はぴったりだ。
「じゃあいつものように私から。先ずオーゼだけど、最初はワイルドすぎるかなと思ったんだけど、環境のせいでそうなっただけで、頭も切れるし、性格も悪くないわ。私の一押しね。次はマフード。何と言っても2m越えの身長と筋肉が魅力ね。顔も厳ついわ。頭は馬鹿じゃないんだけど、良くはないわね。でも性格は顔に似合わず優しいわよ。結構気が利くの。次はティンルム。弓の名手よ。性格は斜に構えたところが有るけど悪くはないわ。ちょっとミゼンに似たところがあるかしら。まあ、似た者同士もありよね。最後はナヴァフ。顔は一般的に言うと一番ハンサムなんだけど、線が細くて中性的でミゼンの好みとは合わないかも。筋肉もあまりないし……でも魔法使いだけあって頭の切れは一番よ。
それにこれは重要な事だけど。みんな私の手料理を、こんなうまいものは食べたことがないって褒めてくれたの」
キャッとちいさく呟いてエナは両手を頬に当てて恥ずかしそうにしながら座る。
「そりゃあ、料理技能が最高レベルのエナが作った料理なら、みんなそう言うでしょう、って違うわそんな事を聞きたいんじゃなくて……」
私がそう言っているとそれを遮るようにイスナーンが立ち上がり話し始める。
「さすがはエナね。私の場合はまだ一人だけ。ミウレッヒというんだけど。血筋は良いし、男気もあるわ。身体も度重なる戦闘で鍛えられたし、最初ちょっと細いと思った顔も精悍な顔立ちになったわ。一応ほかの男も折を見て探してはいるんだけど、ミウレッヒが抜け出ていて、これはという人物がいないわ。
それに私が彼用に作った防具を。こんなにいい防具は初めてだといって、ずっと着てくれているの。良いと思わない」
キャーっと周りから黄色い声が上がる。
「そりゃあ、防具制作技能が最高レベルのイスナーンが作ったらそうなるでしょう、ってそういうんじゃなくてね……」
そう言っているとまた私の言葉をさえぎるように、トゥリアが立ち上がり話し始める。
「私の一押しはナパムっていうの。彼もマフードと同じ身長2m越えの筋骨隆々たる大男だけど、忠誠心が高く、軍を指揮していただけあって頭も切れるの。彼の主のシュナットも良い男なんだけど、どうしても線が細くて筋肉がつかないのよね。それ以外は言う事無しなんだけど。わたしの所は結構いい男ぞろいで迷う程よ。取りえず2人あげたけど、駄目なら代わりはいるわ。
それにね、混成軍だから目印となる紋章を考えてあげたの、そしたらシュナットは目印どころか、今までの家紋に代わって、私のデザインしたものを家紋にするっていって、みんなもそれに賛同してくれたの。ちょっと感動しちゃった」
パチパチパチと周りから拍手が聞こえる。
「そりゃあ、デザイン技能のレベルが最高のトゥリアがデザインしたらそうなるでしょう、ってだからそれはおいていてね……」
そしてまたもや、私の発言を遮るように、テッセラが立ち上がる。
「私も残念ながら1人だけね。ホムストっていうの。体型的には余り好みじゃないかもしれないけれど、それなりに筋肉は付いてるし、引き締まった体つきをしてるわ。日焼けしていて、他の地域にはないミステリアスな雰囲気が魅力よ。
あとね。私もお守り替わりと思って、象牙で小物を作ったんだけど。こんな素晴らしいものは家宝にもなかった。一生大事にするって、ペンダントにして身に着けてくれているの。ポイント高くない」
ワァーと周りから歓声が上がる。
「そりゃあ、彫刻技能が最高のテッセラが造ったらそうなるでしょう、ってだからそういう事じゃないでしょう」
私は遂にバンと机を叩いて立ち上がる。
「なによ。そんなに怖い顔しなくても、その他の計画なら、私が王家が給与を払えなくなったから、代わりに雇っていた兵士を、各地域に援軍として逐次投入していたのを止めればいいんじゃない」
エナがそう言うと
「そうね。そうすれば私の所も戦闘が減るから、計画の進捗は遅くなるわ」
そういってみんなが賛成する。私も考えるが悪くない案だ。
「えーっと。取りあえずそれで良いわ」
私は釈然としないながら、そう答えた。
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