表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/109

北の大地にて3

 闘技場の騒動の後直ぐにミウレッヒは城の更衣室へと連れていかれる。


「よかった、あいつら服には無頓着だから、貴方のお爺様のが残ってるわ。サイズも良さそうね」


 イスナーンは衣装室の中から演説に相応しい衣装を選ぶ。最悪魔法で作っても良いのだが、演説中に魔法解除(ディスペルマジック)なんてかけられたら台無しだ。


「おい。イスナーンといったな。どういうことなのか説明してくれ」


 ミウレッヒがイスナーンに尋ねる。


「えっ?先ほど言った通りですよ。貴方様は伯爵の地位を継ぎ、横暴な中央から来た者達を追い出すのです。あっ、ヘゼル。この服を彼に着せてくれないかしら」


「いや、そんな説明で、っておい」


 ミウレッヒは何処からともなく現れたメイド達に衝立の向こうへと連れ去られる。


「その服を着てバルコニーから中庭に集まった民衆に対して演説をしてください。演説の内容は考えておきました。そんなに長くは無いのですぐに覚えられると思いますよ」


 そう言い残すとイスナーンは部屋を出た。


 ガードスが殺された事、そして、新しい伯爵が民衆に対して城の中庭に集まるように周知を出した事はあっという間に民衆に広まった。そして民衆は素直に中庭に集まる。今までの経験から、統治者の命令は何をおいても優先しないと、命が無かったからだ。

 そしてバルコニーに一人の男が姿を現す。


「ミウレッヒ?」


 誰かが呟く。バルコニーの男はミウレッヒだった。しばらく前のあたふたした様子は微塵も感じられない堂々とした姿だ。


「みんな。俺は先々代の伯爵の孫。ミウレッヒだ。みんなを苦しめていたガードスは死んだ。その部下もだ。俺はここに伯爵位を継ぎ、みんなを悪政から救う事を宣言しよう。だから俺にみんなの力を貸してほしい」


 最初は顔見合わせていた民衆だったが。パチパチとまばらに拍手が起き始めると、見る見るうちに広がり、中庭は拍手と歓声に包まれる。ミウレッヒは一度片手を大きく上げ、城の中へと入っていった。


「ご立派でしたよ」


 奥に控えていたイスナーンが言う。


「やれと言われればこれぐらいはやれるさ。だが、領内に残っている者はともかく。オーヤフライド公爵家に駐留している中央軍はどうするんだ?1万はいるって話だ。それに俺は政治なんてやった事は無いぞ」


「そのあたりはお任せください。政治に関してはカードスでもやれていたのです。何とかなりますよ」


 イスナーンはニッコリ笑って引き受ける。ミウレッヒはこの女性が自分や街の皆を破滅に導く、悪魔の手先でない事を祈るばかりだった。



 オーヤフライド公爵家にて。


「あん?伯爵家の一つが反旗を翻しただと。何処だ」


「サオエズロス伯爵です。元は中央に反逆して殺された貴族の孫が、カードスを倒して復帰したとか」


 駐留軍軍団長は面倒くさそうに参謀からの報告を聞く。


「たかが、伯爵家の制圧など1000人もいれば事足りるだろうが……2度目の反乱となると捨て置けんな。よし、8000の兵を出せ。サオエズロス伯爵の拠点だけでなく、領内全ての住民を皆殺しにしろ」


 軍団長は非情な命令を下す。指揮は副軍団長がとることになり8000人の大軍が北の端へと向かった。


 領都であるメザニエフに向かうにはロバーラント河という大きな河を渡る必要がある。大きくは有るが流れは緩やかな川であり、通常は船で。冬は凍るためそのまま渡河できる。その岸にサオエズロス伯爵軍が陣地を構えていた。領内の戦える男を総動員したのか、人数だけだったら1万を超える大軍だ。


 男が氷を叩いて、厚さを確認している。中央軍の陣地に戻ると報告する。


「中央付近まで十分な厚さがありました。馬でも渡れます」


 それを聞いた指揮官は満足する。


「よし、一気に踏み潰すぞ。ここを抜いたら後はただの人狩り(マンハント)だ」


 中央軍は一気に突撃を開始する。とは言いつつも、氷で滑る為そんなに速度は出せない。そんな中20人ほどの人物がサオエズロス伯爵の陣地から前に出て河に手をつく。


「ん?何をする気だ」


 総指揮官がいぶかしんでる間に地面が揺れる。アースクエイクの魔法だ。本来ならもっと狭い範囲を揺らして地割れを起こさせるのだが、この揺れはそこまでのものではない、せいぜい足止めが出来る程度の揺れだ。だが、氷を割るには十分だった。

 あちらこちらで氷が割れ、馬や兵士が河にのまれていく。冷たい水は一瞬で心臓を止め、生きている者も数十秒で体温を奪われ死んでいく。


「おのれ!姑息な!」


 指揮官は叫ぶが、無情にも指揮官も河に沈んでいく。


 遠征軍の内生き残ったのは糧食を守っていて河を渡らなかったもの、運よく河にのまれなかったもの、約500名足らずであった。


 面白いと思われたら、ぜひポイントやいいね、ブックマークの登録をお願いします。皆様の応援は大変励みになります。よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ