女公爵、侵略者になる
シャガーガン侵攻はジフロネットに任せた私は、城へ戻り今後の対策を練ることにした。賽は投げられたのだ。王家がウィステリア公爵家に対する攻撃を始めた以上、侮られているうちにこちらに情勢を傾けておく必要がある。
今王家は5人の王子が水面下で派閥争いを始めたところである。争っているのは第4、第6、第7、第8、第9王子だ。第1王子、第3王子は争いに敗れ第2王子が王太子になった。その時は第4王子以下は王太子を決める争いに参加できるような歳ではなかった。今回はもうその歳になっている。第4王子が20歳、第6、第7王子が19歳、第8、第9王子が18歳だ。ちなみに知っての通り第5王子はバモガンによって殺害されている。一応第10王子以下王子が20人近くいるのだが、成人していないため候補にはなっていない。
私としては、その5人に出来るだけ長く争って欲しい。貴族間だけではなく、出来れば国軍も動かしてほしいところだ。1回は防衛戦に成功するとしても、次の手立てが無くなるのは困る。
私は円卓に座ったホムンクルス達を見渡して言う
「遂に戦争が始まったわ。正確にはまだ、圧力をかけている段階でしょうけど、私は唯々諾々と何時までも従うつもりはないわ。行きつくところは破滅ですもの。それもウィステリアだけでなく世界のね。今回はみんなの担当をそろそろ見直そうと思うの。私の影武者としての役割もやる必要は無くなったし、担当している事はもう別の者にに任せても良いでしょう?」
「だったらそれようにホムンクルスを作り直したほうが良くないかしら?今はロールアンクスの素材もあるし、今の私達より強力な個体が出来ると思うけど」
エナが特になんてことはない口調で言った。
「嫌よ。多少不利があろうと、私は貴方達を消そうとは思ってないわ。幾ら恐怖が無いと言っても別れるのは寂しくは無いの?」
「それは寂しいけど。その多少不利のせいでミゼンが負ける方が嫌だわ」
エナが言葉を続ける。他の者の顔を見る限り、エナと同じ意見のようだ。私は一度小さな溜息をつくとみんなに向かって断言する。
「ここでハッキリさせておきましょう。私はあなた達を造った事を後悔してないし、貴方達を消して、別のものを造る気もないわ。もちろん負けてゲームオーバーになる気なんてさらさらないの。私はね、この世界で孫たちに囲まれて穏やかな死を遂げるの」
「えっ!それまだ諦めていなかったの?」
「担当の1人は恋人探しかしら?でもミゼンはもう女公爵になったし、その辺の男を引っ掛けるわけにはいかないわよね」
「今19歳で婚約者もいないんでしょう。更にこれから戦乱を起こして数年は争わせるんでしょう。終わった時にはもう行き遅れになるんじゃあ……」
「貰う方だから貰い遅れじゃない?いっその事思いっきり年下の王子を、今から自分好みに育てて、婚姻するとか……」
「いや、王家の血はダメでしょう。ここはウィステリア内で探さないと。最悪、種だけ貰えないか交渉するとか」
「種だけだったら権力を使えば何とかなるんじゃないかしら、結構ミゼン好みの人、既婚者にいたわよね。そもそもプロデューサーだったんだし、結構好みのナイスミドルなデザインの男性は積極的に採用していたような……」
みんな一斉にワイワイガヤガヤとし始める。私は両手を机にバンとついて立ち上がる
「うるさーい!今は感動的な話をしてるところだったでしょう。私の恋バナをする場合じゃないでしょう。重要なのはそこじゃないわよね」
私は一気にまくし立てる。
「でも、重要なことを一番最後に持ってくるのは基本よね」
誰かが呟く
「そりゃそうよ。最終的な私の目的はそこだものって、だからちがーう!本当は違わないけど、ともかく違うの!」
私は更にバンバンと机を叩く。取りあえず丈夫な机でよかった。
「もう私の結論から言うわ。この大陸を5つの地域に分けるわ。そして私はここウィステリアが属する地方の統一と足場固め、及び他の地域に対する援助を担当するわ。いわゆる後方支援ね。エナは中央の戦乱を長引かせて、イスナーンは影響下に置いた貴族に北部を統一させて、同じくトゥリアは東部、テッセラは西部よ。難民は受け入れて。食料増産や、流通網の掌握はもうみんなわかるわよね。統一の目標は2年後、その時までに中央軍の引き抜きも入れて、各2万の兵員を鍛える事。私の目標は5万とするわ。平均レベルは20。レベリングの方法も分かるわよね。エナは逆に中央貴族及び国軍の兵力を20万以下まで減らす事。以上!質問はある?」
この大陸、といういうにはいささか小さいが、ともかくフェーゼノン王国が支配する大陸は大まかに言ってひし形である。そこの南部に、ウィステリア公爵領があった。そして私は大雑把に地区ごとに担当者を付けたのである。シナリオ通りに進めば王家と正面切って合戦をする事は無いが、もうシナリオ通りには進んでいない。何が起こるか分からない以上、対抗する手段は備えておくべきである。
「2年後、21歳かこの世界じゃギリ大丈夫ってところかしら」
「ともかく、担当地区一番のいい男をミゼンに捧げるのよ」
「分かってるわ。好みは私達とおなじなんだもの。ばっちりよ」
「じゃあみんな2年といわず1年半を目標に頑張るわよ」
「「「「おお!」」」」
質問は無かったが、妙なノリでホムンクルス達が結束していた。やる気があるなら別にいいけど……私はもうツッコミを入れなかった。
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