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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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シャガーガン伯爵領侵攻1

 約1000名の兵士で、敗走したとはいえ約1000名の兵士がいる領を襲うのは一見無謀に見える。だが、こちらはロールアンクス戦を戦い抜いたレベル30越えの猛者たちだ。対するシャガーガン伯爵の兵士は一般的な兵士と比較すると精強といえ平均5レベル程である。対個人戦ならともかく、集団戦ではやはりレベルによる戦闘力の差はそうそう覆せるものではない。ハッキリ言って正面からぶつかっても勝てる。最早どれぐらいの損耗で勝つかというレベルだ。


 私が考えていると、レルニート魔術師参謀長が声を掛けてくる。


「女公爵閣下。余りご自分で動かれても私共の仕事が無くなってしまいます。方針だけ示していただければ、後はお任せください」


 そうだった。任せられる部分は任せて行かないと、この調子でいったら王家云々より、私の方が過労で死んでしまう。


「そうね。私としては領都周辺の町や村から解放していって、敵を兵糧攻めにしたいの」


「兵糧攻めというより、敵が領都から出てこざるを得ない状況を作るわけですね」


 レルニートはモノクルをキラリと輝かせて言う。


「流石ね。説明なしでこちらの意図を読み取ってくれるのはありがたいわ」


 騎士・魔術団幹部からはこの魔術師参謀長のレルニートと副騎士団長のジフロネットが反逆軍?として参加している。


「それ位を読み取れないようでは、参謀長の職を辞さなければなりません。後は我々にお任せください」


 頼もしい事を言ってくれる。私は連絡用にとマジックアイテムの手紙の束をどさりと渡す。


「これで連絡を取り合ってちょうだい。足りなかったら、すぐに送るから遠慮なく使ってね」


「こんなに沢山。有難うございます。必ずや女公爵閣下のご期待に応えましょう」


 レルニートは胸に手をやり深々と礼をする。

 この手紙は以前ギルフォード男爵に渡したものと同じものだ。私や、ホムンクルス達は片手間に作れるものだが、仮にもマジックアイテム、それなりの素材と制作レベルが必要だ。本来はこんな無造作に連絡用に使える様なものではない。だが、戦争において迅速な情報伝達は大きなアドバンテージを得る事が出来る。こんなところで消費アイテムをケチるような真似はしない。

 私は後を任せ城へと戻った。


 形上、ギルフォード男爵の配下に入ったウィステリア軍が、シャガーガン伯爵の領内に入ってみたのは、略奪の限りを尽くされた町や村だった。あちこちに処刑された死体、飢えか病気かで死んだ死体もあちこちに転がっていて埋葬もされていない。中には生きている者がいない村もあった。

 生きているものも、生きているというよりまだ死んではいないという状態だった。ウィステリア軍はともかく生きているものに、食料や薬を与えていく。


「酷いものですなあ。これが王家のやり方というのなら、団長が万が一の時の為に反逆を企てていた気持も分かりますね」


 ジフロネットがレルニートに話しかける。


「全くです。話は聞いていましたが、実際に見ると自分の想像していたものとは違うと言う事を思い知らされましたね」


 レルニートは顔をしかめる。


「ともかく、女公爵閣下には頑張っていただかないといけませんね」


「正しく。なのでこのような些事に女公爵閣下のお手を何時までも煩わせる訳にはまいりません。ジフロネット殿、貴殿の働き期待させてもらいますよ」


「もちろんですとも」


 ジフロネットは力強く微笑む。その顔には必ずシャガーガン伯爵を倒すという決意が見て取れた。



 シャガーガン伯爵は領都に帰ってきていた。無様な敗戦だったが、奇襲を受けて破れただけで、正面から戦えば負けるものではないと考えていた。今回はたまたまウィステリア女公爵に反逆した軍が味方したようだが、あの規模の軍団を養える能力はギルフォード男爵領にはない。もう一度戦えば勝つと思っていた。だから部下の報告に驚く。


「報告します。ウィステリアの反逆軍は我が領内の町や村を次々に侵略しています。恐らく秋の収穫を奪うものだと。このままでは我が領内の食糧は殆どが反逆軍の手に渡ることになります」


「奴らめ、この領を奪うつもりか」


 確かに領を奪ってしまえば軍を維持できる。


「猪口才な。だがここが落ちぬ限り、他を幾ら奪っても意味がないわ。収穫時期までは戦力の回復に努めよ。奴らは愚かにも領内に散らばっているのであろう。各個撃破してくれるわ」


 シャガーガン伯爵がそう言い放つと、部下が困った顔をして更に報告を続ける。


「遺憾ながら、領都を包囲するように集まってきているようです」


「ちっ、ならば籠城戦をするまでよ。ギルフォードの領都とは防御力も兵員も違う。今度は奴らが撤退する番だな」


 こちらが防衛に回るというのは伯爵にとって非常に気に入らない事であったが、籠城戦は籠城する側が有利な事はつい先日味わったばかりだ。


「申し上げにくい事ながら、籠城戦をするだけの食糧がありません。我が軍に残っている食料は後10日分。切り詰めても20日持つかどうかです」


「ならば、町人から臨時で徴収すればよいではないか!」


 シャガーガン伯爵は怒鳴る。この街の規模は約3000人。1人頭10日分の食料を徴収すれば単純に1ヶ月分になる。


「もう徴収した後です。これ以上は町の者を追い出し、すべて奪うしかありません」


「ならばそうせよ。戦いに役に立たぬ町人など要らぬ。戦いが終わった後にでも呼び戻せばよい。すぐに追い出せ!」


 シャガーガン伯爵は再び部下を怒鳴る。


「ははっ」


 部下は平伏し、そして命令を実行した。逆らうものは殺され、町人は着の身着のまま領都から追い出された。領都は軍人以外誰もいない町となった。


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