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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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女公爵、面従腹背をする

 私は急いでホムンクルス達を集め、いつもの円卓で会議を行う。


「どういうこと?いきなりシナリオ中盤のイベントが起きているんだけど」


 ダークムーンはプレイ時間1時間で24時間が経つ。クリア目安時間が約100時間のゲームだったので、時期的にはいつ起きてもおかしくはないイベントではあるのだが、状況的には起きてほしくないイベントだ。何故ならまだ王家に混乱が起きていないからである。これまでの関係からも心情的にもギルフォード男爵を見捨てることはできない。だが、シャガーガン伯爵は生粋の王家派である。戦えば王家を敵に回すことになる。いつか敵対した時の為に準備は進めてきたが、正直言って間に合っていないというのが実情だ。1回の防衛戦なら補給物資の点から何とかなるにしても、それでこちらの戦力は払底してしまう。

 本来ならこのイベントは、主人公が王家の者や王家派の有力貴族を何人か殺し、王領に混乱が起きた後に起こるイベントなのである。その場合、王家は王家内の争いで手一杯でシャガーガン伯爵に援軍を送る余裕などない。王家が疲弊したのち、条件がそろっていればウィステリア公爵家が独立するイベントが起きる。私は世界が滅びないなら、別に今更王家に逆らうつもりはなかったし、ゲームのイベントが進むのなら、そのタイミングで独立しようと考えていた。メインイベントが進んだ様子が無かったので、すっかり油断してしまっていた。


「ミゼンに分からないものを、私達が分かるわけないわ。知っている情報を出し合う事ぐらいしかできないわよ」


 エナが呆れたように言う。


「わ、分かっているわよ。だからみんなを集めたんだし。それでも言いたいじゃない」


 頭では分かっていても、誰かに向かって言いたい気持ちだったのだ。


「えーと、じゃあ何時もの通り私から。ギルフォード男爵周辺で特にきな臭い動きは無かったわ。強いて言えばこちらの派閥に穀物を融通したぐらいかしら?でもシャガーガン伯爵は王家派だし、穀物の援助も特に言ってこなかったから、王家からいつものように物資が援助されてたんじゃないかしら」


 エナが何時もの通り最初にエナが発言する。王家派の貴族は、王家程極端ではないが軍事重視のところが多い。シャガーガン伯爵家も人口約3万に対し常備軍3000という頭おかしいんじゃないの?という兵員の割合だ。当然ながら慢性的な物資不足になっている。それを王家からの援助物資で補っているのだ。


「次は私かしら。ギルフォード男爵やレヘンシア騎士爵の兵士はロールアンクル討伐に向けて訓練しただけあって、シャガーガン伯爵家の兵士より精強よ。確かに数は合わせても200名ほどだけど、戦力的に言えばシャガーガン伯爵の全軍に引けは取らないはずよ。あくまで全軍が真っ向勝負に出たらだけど……」


 イスナーンが次に発言する。数の力は偉大だ。幾らその場所では優勢でも、後を取られるとなったら、心情的に平静ではいられないだろうし、補給も断たれる。どんな精強な軍だとて、飯を食わねば戦はできないのである。


「じゃあ次は私。とりあえず収穫は伸びてるわ。去年冷夏だったから、伸びは少なかったけど、冷害には備えてたし、深刻な影響は無かったわ」


 次にトゥリアが発言する。天候不順への備えは大事だ。寒さに強い品種を3年がかりで探してた我が領にすきはない。と言っても見つけたのは王領の北だったけど。


「ちょっと待って、シャガーガン伯爵領はどうだったのかしら?」


 私は口を挟む。


「普通に不作だったんじゃないかしら?元々農業にそんなに力を入れてる所じゃないし。どうせその辺りは王家頼みだから、あんまり関係ないと思うけど。シャガーガン伯爵が不興を買って援助を減らされたって話も聞いたことないわ」


 トゥリアはそう答える。


「ああ、それなら不作の分税率を上げたって。税率8割だそうよ。馬鹿じゃないって感じ。口減らしで殺されるよりは他領に逃げた方がいて事で、ギルフォード男爵領に逃げてきた領民が言ってたらしいわ」


 最後に色々なところに行っているテッセラが答える。


「うーん。不作のせいで領民が逃げ出し、焦ったシャガーガン伯爵がギルフォード男爵に襲い掛かったとも考えられるけど、どうもしっくりこないのよね」


 襲うならもっと手頃な領もあったはずだ。やはり邪神がらみだろうか?


「それでどうするの?」


 エナが聞いてくる。


「援軍は出すわ。但し公爵軍としてではなく、信頼していた陪臣が裏切った事にしましょう。ひ弱な私はショックの余り伏せる事にして、その間に情報を集めるわ」


「まだその設定使うんだ」


 イスナーンが呟く。


「使えるものは使わないとね。みんなにはこれで公爵家が揺らいでいるという情報を王家側に流してほしいわ」


「「「「分かったわ」」」」



 王城で宰相が国王に報告している。


「ウィステリア女公爵はシャガーガン伯爵の侵略に対し、何も決めれず、有力な陪臣の1人が裏切り、義勇軍として参加することを決め、ショックの余り臥せてしまったとか。恐るに足りませんな」


「ふむ。我もそう思うが、主は遊んでおられるのだよ」


「そういうものでしょうか?」


「神とはそういうものだ」


 2人は知らない、仕掛けた謀略が次々と無効にされていることを。ウィステリア公爵領を絶望の地にするまであと2年半しかないのだ。時は2人にとって無情に過ぎていくが、2人は気付いていなかった。


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