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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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女公爵、負けず嫌いになる(元から)

 いきなり年の初めに強烈な体験をしたが、その後は特に何事も無い日々が続き春を迎えた。情報伝達や移動速度の遅い世界で、そう度々何事か起こる方がおかしいといえばおかしいのだけれど……

 それは兎も角、草原には花が咲き始め、山では春の山菜が取れる時期である。身体を動かすにも丁度いい季節である。そんなわけで私は騎士団の訓練所にいる。私が訓練する訳じゃないけれど、私の誇る戦闘メイド達と騎士団の合同訓練が行われているのである。

 目の前でティータとキザラートが戦っている。前回と違いキザラートはレベル30を超えており、動きも振られる剣の重さも格段に上がっている。だが押しているのはティータだ。大剣を縦横無尽に振るっている。キザラートは捌くのが手いっぱいで、前回のように避けて隙を見つけると言う事が出来ていない。遂に、キザラートはティータの大剣を受け流しきれず、剣を落としてしまう。


「まいりました」


 キザラートは降参とばかりに両手を上げる。それを見たティータは、ほっとした表情を見せる。それに対して降参したというのに、キザラートは納得できないという顔をしている。


「あら?キザラート団長。何だかご納得されてないようですね」


 私はそんなキザラートに機嫌よく声を掛ける。


「いや、負けは負けと認めましょう。ですが、幾らなんでも5人がかりというのはないんじゃないですかね」


 そう、私は今回はティータ単独で戦わせてたわけではない。ティータをリーダーとした5人パーティーで挑んだのだ。


「負けは負けなんでしょう?私は残念ながら騎士道に疎いのです。どうしても、負けた相手にどうしたら勝てるのかを優先的に考えてしまうのですよ。私意外と負けず嫌いみたいでして」


 ほほほっ、と扇子で口元を隠しながら笑う。勝てばよいのだ勝てば。非道な手段を取ろうとしないだけましだと思う。


「幾らなんでも、もう成人された女公爵ともあろうものが、大人げないと思うのですがのう」


 疲れた表情をしながら魔術師団の建物の方からとぼとぼとロジータが歩いてくる。横にはにこにことしたイスナーンがいる。


「こちらも終わり。あら、そちらは5人で勝ったの?こちらは結局8人がかりだったのに」


「全方向から魔力切れになるまで、切れ目なく攻撃するなんぞ無茶苦茶じゃ!モンスターでも高レベルになればちょっとした駆け引きぐらいするもんじゃ!」


 ロジータは私の近くに来ると、ぺたりと座り込み、泣きそうな顔をして叫ぶ。そんな姿はとても200歳を超えている者とは思えなかった。興奮してか、疲れ切っているからか敬語も忘れているが、そんな事で咎めはしない。


「まあ。流石はロジータ殿ですね。結局は力業にまで持ち込むとは」


 私は素直に感心する。魔術師の戦いでMPがすべてだったら、2人もいれば足りる。それでは勝てないだけの駆け引きがあったのだ。


「いや、まあ、こちらも大概力業だと思いますがね……」


 キザラートが不満げに口を挟む。


「やだわ。キザラート団長とも有ろうお方が、女性相手に力業なんて。チームプレイでしてよ」


 ほほほっ、と私はまた笑う。キザラート団長は何か言いたそうだったが諦めたらしい。


 なんでこんな事をやっているのか。私は別にキザラート団長達に負けた仕返しをしている訳ではない。実はほんのちょっとだけは有ったかもしれないけれど……ともかく、それは問題ではなくティータ達、戦闘メイド隊をどう運用するかを試行錯誤していたのだ。戦闘メイドはメイド服を基調とした鎧を着ているから戦闘メイドなのではない。あくまで主業務はメイド。戦闘が出来るメイドさんなのである。勿論そうとは限らない場合もあるだろう。だが、ここでは私の言う事こそが正義であり法である。異論はあるだろうが反論は認めない。

 しかしながら、戦闘と名が付く以上、当然戦闘はできなければいけない。最初はレベルを上げればいいかと思ったが、それでは駄目だと思い知った。絶対的な実戦形式の訓練が足りてない。だが、そんな時間をとる余裕はない。彼女たちは日々私の生活を整える仕事をしている。ならばどうするか、単純に1対多の状態で戦うと言う事である。じゃあどれぐらいの人数でチームプレイをすればいいのか。それを頭の中だけで決めるのは難しかったので、キザラート達に協力してもらったのだ。今のキザラート達に勝てれば、大抵の敵には勝てるはずである。


「では皆さんご苦労様でした。一休みしてお茶にしましょう」


 私がそう言うと戦闘後で疲れているだろうに、そんな事はおくびにも出さず、お茶の用意を始めるメイド達。流石のキザラート達もその動きには感心しているようだ。

 私はメイド達が用意し椅子に座り、テーブルに置かれた紅茶を優雅に飲む。うまくいった後はお酒でなくとも美味しいものだ。

 

 そんな所に慌てた様子で伝令がやってくる。どうも嫌な予感がする。伝令は私の前に来ると、敬礼して言う。


「女公爵閣下に伝言です。ギルフォード男爵領がシャガーガン伯爵に侵略を受けた模様。レヘンシア騎士爵が援軍に向かうも状況は劣勢。恐らく領都にて籠城戦を行う模様です。女公爵閣下に援軍を求められています」


「へ?」


 私は思わずカップを落とし割ってしまう。シャガーガン伯爵の侵略はシナリオ中盤のイベントだ。どうやら私の知らないところで何か起こったらしい。初期のイベントは何も起きていないのに!私は心の中で頭を抱えた。


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