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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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神竜ロールアンクス討伐戦3

 キザラートが殿を務めていると聞いた時、私は驚くというより呆れた。あの人は頭のねじが何本か外れているのではないだろうか。それと同時に彼の死も覚悟した。何だかんだで惜しい人物であるが、生き残る可能性は少ない。だが私の予想に反して、彼は帰ってきた間一髪という感じではあるが、生還は生還だ。


「団長の悪運の強さは、いつも私の予想を裏切りますね。もちろんいい意味でですよ」


 ため息に嬉しさを含ませながらヨデルナが言う。ここにいるほとんどの者が同じ気持ちだったろう。


「なに、今度生まれてくる娘の子供を見るまでは、死ぬに死ねないのでね」


 キザラートが立ち上がり、汚れをはたき落としながら言う。ああ、それは言ってはいけないセリフだ。やはりキザラートはこの戦いで命を落とすのだろう。せめて家族が間違っても路頭に迷うようなことをさせないのが私の役目だ。


「おぬしのところはついこの間3人目の息子が生まれたばかりじゃろうが!」


 ロジーレの怒鳴り声が響く。?、なんか思っていたのと違う。


「だから、次こそは娘が欲しいんでしょうが。幸いまだ妻も産む気なのでね。そして、そんな待望の娘が生まれたらその子供も見たいと思うのが、親の性というものでしょうが。お婆と違って更にその子の子供まで見たいとは望んでいませんよ」


 あれ?彼はまだ存在すらしてない娘の子供を見るまで死ねないといってるの?いやまあ、キザラートまだ30半ば、望んでもおかしくはないけれど……


「それに、ご令嬢より預かったドラゴンキラーはどうしたんじゃ」


 更にロジーレの追及は続く。


「最後にロールアンクスに投げつけてやりましたよ。さすがはドラゴンキラーと呼ばれるだけありますなあ。ダンシングソードで操って当てただけでも、瞼に突き刺さりましたよ」


「そのまま逃げてきたとういうのか?」


「ええ、まあ、そうしないと死んでいたもので。ご令嬢の命令も生還最優先でしたからね」

 

 そう言って私の方を見る。


「え、ええ。キザラート団長の判断は間違っていませんわ。ドラゴンキラーはロールアンクスを倒した後に探せばよい事です」


 私は思わず声が震えてしまうのを抑えることができなかった。笑顔も少し引きつているように感じる。あのドラゴンキラーはそんじょそこらのドラゴンキラーではない。遥か神代よりウィストリア公爵家が守ってきた家宝にて至宝中の至宝。ドラゴンに対して生来備わっている魔法防御無効、攻撃力+300%(物理、魔法両方)、及びダメージと同じだけの防御力無効。更に受けたダメージに応じて能力値低下のデバフ、更に更に、ドラゴンから攻撃-50%と、対ドラゴンに対しては類を見ない強力な武器だ。全体のバランスを考えてキザラートに与える判断をしたのは私だが、まさか初戦で失い、悪びれもしないとは思わなかった。いや、自分で言ったように失った訳ではないが……前言撤回しよう、この男は殺しても死なないタイプの人間だ。遠慮なく使っていこう。


 ロールアンクスは何となくこの戦いを指揮している者の考えが読めてきた。相手は自分が疲労することを狙っている。送ってくるもののレベルでは自分を倒せない事を知っているのだ。少しづつ傷つけるような作戦は無駄だ。この聖域にいる限り自分は驚異的な回復力を得ることが出来る。事実傷つけられた、口や瞼は1時間もしないうちに綺麗に治っているし、その他の受けた小傷など、治るのに5分もかかっていない。

 そして、相手も傷つきはしないまでも、扉を開け続けることに疲労するはずだ。条件はほとんど同じと言って良い。要するに扉を開けているものと自分との根競べな訳だ。あの扉を開けることが出来る者は限られている。仮に2人居たとしても、一日12時間開け続けていれば3日で音を上げるだろう。対する自分は以前7日7晩激闘を繰り広げたこともある。それに比べればすぐに撤退する敵など、鬱陶しいだけで、大して疲労は感じない。

 そう考えたロールアンクスは戦い方を体力温存に変えた。これならば例え半月でも戦い続けられる。さて、どこまで耐えられるか。ロールアンクスは内心ほくそ笑んだ。


「テッセラそろそろ交代の時間よ」


 私は扉を抑えているテッセラに声を掛ける。


「ああ、そんな時間なのね。でもこの扉、私達だから簡単に押さえておけるけど、レベル50以下じゃ開くのがやっとじゃないかしら」


 ホムンクルス達のレベルは今や85。レベルが上がるほど次のレベルアップへの経験値が増えていく中、ホムンクルス達はよく頑張ったと思う。仕事をこなしながらだったので正に寝る間を惜しんで、というものだったに違いない。ちなみに扉の開けておける難易度についてはバランス調整には流石に携わってないので、詳しいことは知らないが、常識で考えればそんなものじゃないかと思う。そう簡単に開け続けられるような扉じゃ困る。


「ま、結果オーライというところね。最初に貴方達を作るように提案してくれたエナに感謝しなきゃ。1日12時間2交代じゃ、私死んでたわ」


「それは確かに言えるわ。3交代でもきついかも。眠る時間がずれるとそれだけで疲労がたまるからね。マスターは特に変なステータスがあるんだから、疲労ゲージの値には気を付けてね」


「分かってるわよ」


 前世では12時間労働など珍しくもなかったが、今のこの身体は耐えられない。いや、前世も耐えられなかったから死んだんだった……最初は鬱陶しいと思っていた疲労ゲージだが、そのおかげで私は死ぬことなく、ベストコンディションで仕事に望めてる。今ではこれがあることに感謝しているくらいだ。ただ、それでも何度か死にかけたけど……それはそれとして、この扉を開け続ける仕事は私のホムンクルス達が5交代でやっている。3時間やって、12時間休むという感じだ。体内時計がちょっとおかしくなるのが難点だが、許容範囲内だ。あまりに長期化するようなら、ちょっと時間を調整して、何日かごとに1日休むということを考えよう。いずれにしても私達はこのままの戦いなら1週間でも2週間でも続けられる。ロールアンクスがどれぐらい耐えられるかは知らないが、下等生物やゴーレムではあるまいし、1週間も眠らずにはいられないだろう。どこまで耐えられるか。私は内心ほくそ笑んだ。


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