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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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閑話 誕生日プレゼント

たまにはのんびりとした話をという事で。

 バモガンが自滅してから、目まぐるしい日々だった。だが頑張ったおかげで、領には明るい雰囲気が広がり、領都ユリエナスにも人々が行きかうようになった。税収もまあまあだ。改革後すぐに効果を期待するのは少し酷というものだろう。仕事に余裕が出来た時には木枯らしが吹き始めていた。秋ももう終わりかけているのである。私は木から落ちる葉っぱを窓から見ながら黄昏ていた。


「何を黄昏てるの?」


 テッセラが私を見て聞いてくる。もう私の許可なしに別邸に来る者は居ないため、ホムンクルス達も堂々とうろついている。


「まさかジノードの件を思い出してる訳じゃないでしょうね?」


「いつの話よ。さすがに違うわよ」


 私はテッセラの言葉を否定する。確かに落ち込みはしたが、未だに引きずる程の事じゃない。

 ちなみにタヒネリアの新しい代官は、商業ギルドの会長だったシャリスだ。会いに行った時に、忙しくて嬉しい悲鳴をあげてます、と少し大きくなったお腹を叩きながら笑顔で言っていたので、代官を兼任させたら涙を流して絶叫してるらしい。太ったお腹も引っ込んでいるそうだ。

 それはそれでおいとくとして、それにまつわる事で黄昏ている訳ではない。


「15の誕生日は何も無く、代わりに参加したお祭りは私の想像したものとちがったもの、16の誕生日はデビュタントと一緒で色々気を使い、17の誕生日は仕事に終われて何も無し……フェーゼノン王国随一の力を持つ、ウェステリア公爵令嬢としてこれはどうなのかしら、と思ったの」


 改めて並べてみると我ながら酷いと思う。普通はこうなんというか誕生パーティーとか、祝祭とかあっても良い気がする。普通のファンタジー世界なら絶対にある。ここは普通のファンタジー世界ではないけれども……


「しょうがないんじゃない。表向きは義父に冷遇されている可愛そうな令嬢なんだし。あ、今年は違うか」


「それは分かっているのよ。でもね前世で仕事に追われ、誕生日をコンビニでケーキを買って、1人で祝い、1人でお酒飲んで、そのまま寝てしまう、て生活を思い出してしまってね。私って一応公爵令嬢なんだけどなぁ、とか思ってしまう訳よ。前世でいろんな転生もののコミックや小説を読んだけど、大体前世の知識で内政無双とか、チート能力で無双とか、イケメンに溺愛されるとかじゃない?そりゃあ、中には酷い殺され方や裏切りをされて、復讐するってのもあったけどね……」


「あー、そうね。説明を聞いたら何となく分かったわ。運が悪かったとしか言いようがないけど、マスターがこの世界に来なかったら私たち産まれてないし、今の生活は気にいってるし、ちょっと私としては複雑な気分ね」


 テッセラが何とも言えない表情をする。確かにホムンクルス達にとってはそうだろう。私だって今の生活に満足はしている。ただ不満がちょっと有るだけだ。


「実は皆で温泉にでも行きたかったんだけど、うちの領にある温泉てあれでしょう……」


 うちの領にも一応温泉はある。ただ、谷になっていて硫化水素が充満し、独自のモンスターが徘徊する、正しく地獄のような場所である。


「どうせ、温泉宿なんてないんだし、いっその事、地下室に大浴場を作ってあげようか?」


「いいの?結構大変だと思うけど……」


 いつでも入れる大浴場を自宅に設置する。日本人が考える贅沢な事TOP10に入る事だろう。


「じゃあ、それが私達からの誕生日プレゼントと言う事で。他の皆にも手伝ってもらえば、1週間もあればできると思うわ。楽しみにしててね」


 そう言って、テッセラは去って行った。


 1週間後、私が見たものは想像以上のものだった。天井に空が描かれ、周りには植物が生い茂っているまるで露天風呂の様な大浴場。しかも1辺が5mはあるほど広い。それに加え見る限りお湯はかけ流しのようだ。その横にはサウナの他、岩盤浴まで付いている。日本の温泉と同じで、洗い場は別にあり、温水シャワーもある。


「凄い!凄いわ!でもどうやってるの。これだけのお湯沸かすだけの魔力も大変でしょうに」


 マジックアイテムを使ってお湯を沸かすことは出来るが、そのレベルはユニットバスを満たすレベルだ。これだけの湯量を確保するとなると日常的に使うには無視できない魔力量になるはずだ。


「溶岩石を使ったの。あの爆弾のアイテム合成に使う、熱を発し続ける鉱物。私達のレベルが高いせいでアイテムより魔法を使った方が早いから、今まで全く使わなかったけど、こういうのにはピッタリだったわ」


 テッセラは自慢気にちょっと胸を張る。溶岩石にこんな使い道があるとは思わなかった。溶岩石は温泉が湧く谷の近くの火山に行けば、幾らでも落ちているような、手に入れやすい素材だ。そうでなくては流石に死にゲーといえど気軽に使えない。威力が高いなら話は別だが、この素材で作る爆弾は少しレベルが上がった魔法使いの使うファイヤボールと同程度の威力しかないのだ。戦士系のクラスが牽制に使うぐらいだろうか。


「なるほどね。盲点だったわ」


 溶岩石は爆弾の材料という固定観念があったせいか、こういった使い道があるとは全く思わなかった。


 こうして私の別邸は益々快適になった。


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