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ウィステリア公爵令嬢奮闘記~転生したのは破滅間近の死にゲー世界  作者: 地水火風


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公爵令嬢、マローダーになる

 次の日テッセラ以外の3人を連れて、訓練場に行く。みんな私が何をやるのか興味があるようだ。お楽しみ、とか言っておいて、そんな大したことをやるわけではないので、あんまり期待されるとちょっと困るんだけど……


 私が引きこもって、マジックアイテムを作ってる間に、季節は移り変わり、すでに春になっている。ただ前世なら色とりどりの花が咲くような野原は、緑こそ濃くなったものの、花はまばらだ。ただ単に荒涼とした雰囲気を出すためだけの理由だ。余裕が出来たら花畑を作っても良いなと思う。景観だけでなく養蜂業を盛んにするには必要な事だ。


 そんな事を考えつつ、私は担当だったメイド達5人が集まるのを待つ。暫くすると5人が訓練用の服装のまま、駆けてやってくる。宮仕えの時からは考えられない走り方をしている。鍛えられてるようで何よりだ。


「ティータ、ヘゼル、リヤ、トルセア、スレラ、久しぶりね。元気だった」


「はい、お嬢様もお変わりないようで何よりです」


 ティータが満面の笑顔でそう答えてくる。皆心なしか、体つきが引き締まり、顔つきも精悍になったような気がする。能力値は何も変わってないけれども、経験値の部分が0だったのが20点ほど溜まっている。期待できるかもしれない。


「今回はちょっと実験に付き合ってもらいたいの。私の気分転換を兼ねてだけど」


「それは構いませんが、お茶の用意も何もしておりませんが……」


 ヘゼルが困ったように言う。


「そういうのじゃなくて、貴方達がレベルアップするかどうか試したいの」


「レベルアップですか?」


 リヤが呟く。他の4人も怪訝そうにしている。レベルアップなど一般人とは無縁な事である。1レベルから2レベルに上がるのに必要な経験値は100、大型の野生動物なら100体、ゴブリンでも20体は倒さなければならない。効率がいい人間でも5人殺さなければならない。兵士でない限りそんなに殺す者は居ない。これがゲームならゴブリン20体など、やり方によっては10分ほどしかかからないだろうが……


「そう。訓練とは違う、基礎能力の上昇って感じのものと考えてもらえばいいわ」


 レベルアップを体験したものであれば、何となく分かるかもしれないが、言葉で説明するのは難しい。ましてやステータスを見れるのは、私と私のホムンクルス達、それと召喚されるであろう、主人公クラスの者だけだ。しかも主人公クラスでも自分と仲間以外のステータスは見ることが出来ない。せいぜいHPバーが見えるだけだ。もし誰もが私達のように簡単に他人のステータスを見ることが出来るのなら、ほとんどの者は私に逆らおうなど思わないだろう。

 私は頭を切り替えて、同行者のブレスレットをそれぞれに渡す。簡単に説明すれば、誰かをパーティーリーダーにして、他の者をパーティーメンバーにするアイテムだ。持てる制限は無いが、効果を表すのは指揮レベルまで。つまり私は10人をパーティーメンバーにすることが出来る。もちろんだが、無限に増やすことを防ぐため、パーティーメンバーが更に別のパーティーを作ることはできない。後、今は関係ないが、イベントはパーティーリーダーに準じたものとなる。注意が必要なのは効果がパーティー全員という魔法やイベント効果を食らうと、全く違う場所にいても、影響を受けてしまう事だ。なので、基本的には一緒に行動する者にしか渡さない。

 それに加えて祝福の指輪をそれぞれ渡す。ティータにはボーナスポイントが増える物を、ヘゼルには筋力と敏捷力、リヤは体力と抵抗力、トルセアは知力と魔力、スレラには魅力が増えるものを渡す。


「宜しいのですか。ものすごく高価そうなものですが。もし壊したりしたら……」


 ちょっと気の弱いところがあるトルセアが少しびくびくしながら受け取る。やはりこの子は前線向きじゃない。私は指輪の割り振りに満足する。


「心配ないわ。壊れるようなことはしないし。壊れたらその時はその時よ」


 特殊なイベントアイテムじゃない限り、壊れるような魔法や攻撃は無いが、最悪自分は既に最高レベルなので関係ない。

 私は準備がいきわたると、とある洞窟の前に転移する。キラーアントの巣の洞窟だ。キラーアントは体長2mにもなる巨大な蟻のモンスターだ。強靭なあごで、普通の人間など噛み千切る。それだけでなく、何処にでも登れるため、洞窟の天井や、森の木の上から不意打ちしてくる、嫌なモンスターだ。

 私は分厚い鉄の蓋を作り、洞窟を塞ぐ。そして鍵穴のように空いている、小さな穴にレイピアを突っ込む。


「エナ、イスナーン、トゥリアは周りの警戒をお願いね。私はしばらく集中するから」


「良いけど、何をするの?」


「いいから、いいから」

 

 私は訝しむトゥリアに軽く答えて、集中し、レイピアの先端から毒ガスを出し始める。この洞窟は他に出入口がない上に、隙間も全くないといっても良い、密閉された洞窟だ。

 この魔法は敵味方関係なく毒のダメージを与えるため、通常はおびき寄せる場所にトラップとして使うことが多い。そして消費魔力が少ない為に、アイテムを組み合わせれば無限に使える。ゲームでは洞窟を鉄の蓋で塞ぐことなんか出来なかったけれど、今はできる。そして密閉された空間に毒ガスが広がっていく。

 1時間ほどたったころだろうか、洞窟から小さな光が飛び出し、私達を包む。経験値が入った証拠だ。メイド達を見ると、みんな驚いた顔をしている。キラーアントの経験値は150。1匹で1から2レベルに上がることが出来る。その後は集団でいる所に毒ガスがたどり着いたのか、次々に光りが飛び出し、私達を包んでいく。最後に女王らしい経験値4000点が入ったところで、光りは出なくなった。合計で得た経験値は約3万。ゲームの時と同じくパーティーメンバーが増えても、1人あたりの経験値は変わらないようだ。メイド達は8レベルまで上がっている。


「上手くいったようね」


 私は満足して、今度は毒ガスを中和し始める。これを怠って、万が一無関係の者が死んだら目覚めが悪い。


「お嬢様。何だか言葉に表せないのですが、身体の内側から力がみなぎってきます」


 ティータが両の掌を見つめて、高揚したような顔をしている。他の4人も似たような感じだ。


「それがレベルアップよ。一度に沢山上がったから、余計そう感じるのかもね」


 この方法が何度も使えれば楽なのだが、残念ながら、敵はポップアップしない。後数年放って置けば、もしかしたらまた巣を作っているかも知れない、というレベルだ。

 とりあえず、ゲームと同じ様にレベリングができて良かった。私はちょっとほっとする。目標の一つである戦闘メイド隊が出来そうだ。


「マスター。確かに有意義な実験だったけど、それよりも私達はマスター自身の方をどうにかして欲しいんだけど……」


「ちゃ、ちゃんと考えてるわよ」


 私はエナにそう返事した。



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