公爵令嬢、円卓の騎士になる
広い部屋の真ん中に、大きな円形のテーブルが置かれ、そこに等間隔に、椅子が6脚並べられている。そこに5人の少女が座っていた。1つは空席だ。
私と、ホムンクルスの4人である。
「では第1回円卓会議を始めます。この中では上下関係はありません。なので、私の事はマスターではなく、原初を意味する、プロエレスフィと呼んでください」
私はそう重々しく宣言する。
「いやいや、1人だけ特別感、出すぎでしょ」
「0を意味する言葉か、5を意味する言葉が妥当だと思いまーす」
「そうよ、そうよ。第一ちょっと長いわ」
「響きがいのは、ニヒル、ミゼン、ベンデ、クイント辺りかしら?」
私以外の皆が文句を言い始める。それだけじゃなくて、名前の選択肢を狭めてる娘までいる。
「ちっ、分かったわよ。じゃあミゼンにするわ」
私は軽く舌打ちをして、名前を決めた。一応上下関係がないと宣言した以上、多数決には従うべきだろう。
この場はもちろんアーサー王の円卓の騎士を模している。いい大人が、とか突っ込むものは誰もいない。何故なら一度はやってみたかった事であり、私がそう思っていると言う事は、他の4人もそう思っているからだ。
「名前の件はそれで良いとして、今回集まってもらったのは、他でもないスレラの件よ。大分予想外の行動だったわ。私は今回のようなことは2度とごめんよ。で、原因の究明と対策を話し合いたい訳。みんなもそう思うでしょう?」
「まあね。今回は何とか集まれたけど、いつもそうできるとは限らないしね」
エナがそう言うと、テッセラはそれに付け加えるように言う。
「他の皆はまだいいわよ。私なんて、ダンジョンボスと戦っている時に、急に呼び出されても困るわ」
「それなら私だって、実戦訓練でゴブリン達と戦ってる時に、呼び出されたら困るわ」
エナが反論する。エナはギルフォード男爵令嬢を救い出した後は、イスナーンと共に、私の私兵を育てている。
「あら、それじゃあ、まるで私が戦ってないみたいじゃない。面倒を見てる村が増えたがら、間引きするため、それなりに私も、モンスターと戦ってるのよ」
トゥリアも負けじとばかりに主張する。
「ストップ!みんな忙しいのは分かってるわ。だから会議の場を設けたんじゃない。建設的な意見を言いましょう」
不毛な言い合いになりそうなので、私が止めに入る。
「原因の第一はマスター、じゃなかったミゼンに有るんじゃない。あれくらい1人で何とか成ったんじゃないの?」
エナが再びその事に触れる。
「前にも言ったけど、それは却下。私はまだレベル40の敵と、1人で戦うリスクは犯さないわ」
私の意志は固い。これは譲れないことだ。ハーっと、私以外の全員が一斉に、溜め息をついたのが聞こえる。
「はい!先ずは、ミゼンに少しは戦闘に慣れる事を提案します。ミゼンは最近ちょっとさぼり気味です。たまには私に付き合って、ダンジョン攻略をしてみたらいいと思います」
テッセラが手を挙げて発言する。
「「「賛成!」」」
私以外の全員が、賛成の声をあげる。こんなところは揃わなくてもいいのに……
「分かったわよ。私も今のままじゃ駄目だとは思ってるから。ただし、戦う相手は私が決めるわ」
私はレベルもステータスもカンストしている。本来なら戦闘する意味など無い。ただ今までの経験から、自分でもこのままではいけないとは思っていたのだ。良い機会かも知れないと思い受け入れる。
「後はやっぱり監視不足かしら。スレラとあいつの会話を把握していれば、あらかじめ準備も出来ただろうし」
今度はイスナーンが発言する。
「そうね。確かに監視箇所が不足してたわ。今までは特に抜けは無かったから油断してたわね。ウィザードアイとウィザードイヤーを付与したマジックアイテムをもっと配置するわ」
ウィザードアイとは、離れたところを見ることが出来る魔法だ。ウィザードイヤーは同じように音が聞ける。この城の重要な場所には、この呪文が付与されたマジックアイテムを設置している。要するに監視カメラがあちこちに設置されているのと同じようなものだ。
アイテムの性質上透明だが、レベルの低いものが作ると見破られてしまう。ホムンクルス達に作らせても良いのだが、万が一を考えると自分が作った方が良いだろう。死角が無いようにするとなると、相当な数が必要だ。考えただけでも頭が痛くなる。
「でも、アイテムだけ設置しても、これ以上私達も監視できないわよ。ミゼンの方でどうにかできないかしら?」
トゥリアが困ったように言ってくる。言い分は分かるが、私だってそんな多数の場所をずっと監視なんてできない。
「専用の監視室を作って、監視用のゴーレムを作るわ」
戦闘力は無くても良いが、高い知力を持つゴーレム、謂わばAIのような物を作る必要がありそうだ。作ることは出来るが、相応の希少な素材が必要だし、労力もそれなりに使う。
「私にこれだけやらせるんだから、材料集めは貴方達4人でやってよね」
何だか、私ばかり仕事が増えるので、せめてもの抵抗にそう言う。
「「「「もちろんよ」」」」
4人とも元気よく答える。材料がそろう以上、暫くはアイテムづくりに精を出すことになるだろう。疲労には気を付けて、万が一にも過労死なんてしないようにしようと思った。
面白いと思われたら、ぜひポイントやいいね、ブックマークの登録をお願いします。皆様の応援は大変励みになります。よろしくお願いします。




