そのヒマワリは枯らさない!
土肥夏葵、高3。
私には高1の時から片思いをしている人がいる。だけどきっと叶わない。
私にはある秘密があるのだから。
片思いの相手は同じクラスの斉木優弥。
園芸部の部長でその技術とルックスの良さも相まって園芸王子と呼ばれている。
園芸部の温室で見かけた時の優しい瞳に一目ぼれをした。
告白したい…そう何度も思った。でも出来ない。
なぜなら私は小1の時に朝顔も育てられず
サボテンも枯らし、雑草並みに強いミントすら根絶やしにしてしまう枯らし魔なのだ。
こんな私が園芸王子に告白できるわけもない。
しかし、そんな私にもチャンスがやってきた。
教室で何気なく私がヒマワリが好きだと話していると
彼が聞いていて「じゃあ、去年取れた種を分けてあげるよ。」と
種をもらったのだ。
私はこれを命を懸けて育てて見せる。そして彼に告白するんだ!
…なぜ、なぜなんだ。こんなに毎日手をかけて育てているのに
葉っぱが萎れていくのだろう。種をもらってから数か月が経って私は絶望を感じていた。
このヒマワリは枯らさないと誓ったのに…
そして私はある決心をした。
****
俺の名前は斉木優弥。園芸部の部長をしている。
園芸王子とか言われるがもてるとか俺にはどうでもいい。
ただ一人、ずっと片思いをしている土肥夏葵に好かれれば…
たまに彼女と目が合う気がする。でもすぐに視線を逸らされる。
嫌われているのかと思っていた。
しかし、ふと耳に入った会話でそうでは無いと知った。
「夏葵は可愛いんだから、思い切って斉木君に告白しちゃいなよ。」
「無理無理!!だって知ってるでしょ?私がすぐに植物枯らしちゃうの。
もし知られたら絶対に嫌われちゃうもん。」
こっそり聞いていた俺の顔は燃えるように赤くなった。
そして思った。これはチャンスかもしれない。
うまく育てられなかったとして、それでも構わないと
告白すればいいんじゃないか?
そんな思惑のもと、俺は彼女にヒマワリの種をあげ、
数か月が経っていた。
****
優弥は夏葵に声をかけた。
「ヒマワリの調子はどう?なにかあれば相談に乗るよ。」
「あ、うん。私も話したいと思ってたの。」
夏葵は意を決したように優弥を見つめた。
「実は私、植物を育てるのが苦手で…ヒマワリも今にも枯れそうなの。」
消えるよな声でそういった。
『でも』「あなたが」「きみが」『好きだ』ふたりの声が重なった。




