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41 思い出す

遅れてごめんなさい!

 ‥‥そういえば、隣の席にお化けと呼ばれていたやつがいたんだったな。

 懐かしいことだ。だが‥‥。


「あの時の隣にいたやつが…朱莉…だったのか?」

「うん…そうだよ」


 俺はいまだに信じられないでいた。

 あの時の朱莉は前髪が目を隠すかのように伸びており、ボサボサで、容姿を整える気がないような感じだった。

 

 だが、今は違う。

 周りから『美少女』と言われるくらいには容姿に気を遣うようになっている。

 あの時の面影はなく、ただ別人のようになった朱莉がそこにいる。


 そして、あの時の俺は助けたいから助けたのではない。

 ただ、あいつがうざかったからあいつとは反対のことを言って反抗したかっただけだ。


「あのな、朱莉。あの時の俺はお前を助けたいから助けたのではない。あいつに反抗しただけなんだ」


 俺は朱莉に真実を話す。


「でも…その行動が、私を救ってくれた」


 確かに朱莉にとってはそれだけの行動が救いになったのかもしれない。

 ただ、俺はあの時の朱莉を『不気味な奴』と思っていた。…周りのやつと同じように。


 それを知ったら、朱莉は幻滅するだろう。これは伝えた方がいいのだろうか?

 …朱莉に嫌われたくない。その気持ちが、伝えるなと俺に呼びかける。


 …いや、伝えろ。

 そのことを伝えて、幻滅してもらおう。そうしてもらったほうが、俺としては気持ちが楽になる。

 

「いいか、朱莉。これから、あの時の俺の心情を話す」

「え? う、うん‥」


 俺は朱莉に真実を話した。

 すると、朱莉は、驚いたような、悲しんでいるような…それでも、朱莉は笑顔を崩さなかった。


 そして、朱莉は…俺をそっと抱きしめた。


「雄二くん。本当のことを話してくれて、ありがとう」


 朱莉は少し泣いていた。

 やはり、そうだ。


 俺は自嘲する。こんなやつ、嫌われて当然だよな…。


「でもね、雄二くん。それは過去の雄二くんのことでしょ?」

「え? あ、ああ。そうだけど」

「過去の雄二くんはそうだったかもしれない。けど、今の雄二くんは私をしっかりとみてくれる」

「だ、だけど」

「過去のことなんてどうでもいいの。わたしはただ、今の雄二くんと一緒にいたいだけ」


 …そうか、朱莉はそんな風に思ってくれていたのか。こんな俺でも嫌わずにいてくれる。

 だから俺は、朱莉のことが…。


「ありがとう朱莉。こんな俺とでも、一緒にいてくれて」


 俺は朱莉の目を見て、この思いをしっかり伝える準備をする。


「朱莉。今から、とても大事な話をする。しっかりと聞いてほしい」

次話で完結にしようと思います。ですが、アフターストーリも書こうと思っていますので、引き続きこの作品をお願いします。

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