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40 朱莉の過去

かなり誤字報告がありました。

報告してくださった方々、ありがとうございます。

あと、感想もありがとうございます!

朱莉視点


 これは私が小学生だった頃の話だ。

 小学生の頃の私はいじめられていた。理由は簡単だ。あの頃の私は前髪がとても長く、目が見えないくらいには伸びていた。

 そのことから、『お化け』だの『地味野郎』だの言われていた。

 

「痛い‥‥止めて‥‥止めてよ」


 私は痛いのが嫌いだったから、暴力を振られたときは『止めてよ』ということしかできなかった。

 だけど、いじめっ子たちは私をいじめるのを止めてくれなかった。


「やめねーよ、前髪お化け!」


 いじめっ子の男の子がそう言うと周りは同調するように私を(わら)う。

  

 この時は小学校低学年だから、みんな精神年齢が幼い。

 何をしていいか、何をしてはダメなのかが区別のついていないようなころだった。

 だから、私の両親は「大丈夫、高学年になったらみんな止めてくれるから」と言っていた。

 両親が絶対だと思っていた私は、その言葉を信じていた。


 しかし、高学年になっても私へのいじめが止まることはなかった。

 両親にそのことを相談すると、「学校に話をしてくる」と言って学校に話をしに行ってくれた。


 両親が話をしてくれた次の日、私は担任の先生に生徒指導室に呼び出されて、二人っきりで話すことになった。


「藤宮さん。なぜ私があなたを呼び出したのかわかりますか?」


 担任の先生は木村という女の先生だった。

 木村先生は私を威圧するように、私を責めるような目線でそう話してきた。


「わかりません」


 なぜ呼び出されたのか、今の私には分かる。だが、当時の私にはわからなかった。

 だから「わかりません」と答えると、木村先生の目つきは私を目線で刺し殺すかのような目になった。

 そして、声を荒げて馬鹿みたいなことを言い出した。


「藤宮さんがいじめられていることを親に話したから呼んだんです! いじめられているからなんですか? そんなの耐えればいいだけの話なんですよ! これ以上私の評価を落とすようなことは止めてください!」


 木村先生は教師として言ってはいけないようなことを言った。

 

「それだけです。早く教室に戻ってきてくださいよ」


 木村先生はそう言い残し生徒指導室を出ていった。

 

 私は泣いた。

 先生なら何とかしてくれると思っていた私が甘かった。


 家に帰ると、両親は「どうだった?」と聞いてきた。

 木村先生にあんなことを言われたから、私はこのことを話してはいけないと思って、「なにもなかったよ」と笑顔を作って言った。

 両親は「ならよかった。また何かあったら言うんだぞ」と言ってくれた。


 結局いじめは止めてくれなかった。

 けど、そんな私に救いが来た。


「今日は転校生が来ました」


 木村先生が教壇に立ちそういった。

 木村先生が「入れ」というと、一人の男の子が入ってきた。


「俺の名前は木戸雄二。よろしく」


 転校生こと雄二くんは空いていた私の隣に座る。

 すると、いじめっ子の一人がこんなことを言い出した。


「おい、転校生。そこはお化けの隣だぞ?」


 私は泣きそうになった。

 もう誰も私を救ってくれない、そう思ったから。

 けど、雄二くんはほかの人とは違った。


「お化け? こいつのことか?」


 雄二くんは私に指をさしながらそう言う。


「あぁ、そいつだ! わかったら俺の隣に来て、一緒に授業を受けようや!」


 いじめっ子はそう言う。

 雄二くんはそんないじめっ子のことを、嘲笑するような、軽蔑するような目で見ていた。


「なんだ? このクラスはいじめがあるのか? だとしたら糞みたいなクラスだな」


 雄二くんはみんなに聞こえるようにはっきりとそういった。

 その瞬間、クラスの空気が凍り付く。


「は? 転校生、何言ってんだ?」

「そのままの意味だ。もう一度言おうか? このクラスは糞だって。無能担任のクラスだって」


 今度は木村先生にも喧嘩を売っていく雄二くん。


「お前、調子乗ってんじゃねえぞ!」


 いじめっ子の一人が雄二くんに殴りかかる。

 

「はぁ‥‥遅い癖に何やってんだか」


 雄二くんはそう言うと、いじめっ子のこぶしをかわし、逆にいじめっ子のおなかを殴った。


「ゴッ‥‥てめぇ、転校生! 貴様!」

「やめなさい!」


 野太い声が教室に響いた。

 声の方向を見ると、校長先生が廊下からこの教室を見ていた。


 そのあとは校長先生によっていろいろと話を聞かれたりした。

 その結果、木村先生は減給処分、私をいじめていた子たちは別のクラスへと変えられた。


 これは雄二くんのおかげだといっても過言ではない。

 だから、私は雄二くんに行った。「ありがとう」って。


 すると雄二くんは、「また何かあったら言えよ!」と元気よく言ってくれた。


 そして高校生になった。

 私はそのころ、ナンパをされていた。

 そんなときに助けてくれたのは雄二くんだ。


 私は二度も助けられた。だから、私は雄二くんのことが‥‥‥

ちなみにいじめっ子は土田仁という名前。

いじめの隠蔽による教師への処分はあまり詳しくないのでもしかしたら現実とは違うかも。

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