37 疲れた
「‥‥さっさと行くぞ、亜美と亜紀」
さすがに光青も話が長いと感じたのか、亜美さんと亜紀さんに声をかける。
「えー? なんでなん? まだ時間もあるんやし、ちょっと長く話すくらいええやん」
「亜美はそうでも僕は帰りたい」
「んー‥‥そっか、じゃあしゃあないな。またな、涼子さんに玲ちゃん、京子ちゃん、瑛ちゃん! ほら、亜紀もいくで!」
「りょーかい。またね、みんな」
そういって西野姉弟は帰っていく。俺たちも早く買い物をして帰ろう。
「じゃ、俺たちも行くぞ、由利花。早く帰ろう」
「わかった」
「じゃあな、玲」
「ん、バイバイ」
俺たちは買い物に行く。あの二家族だけで30分くらいは話をしていた。
俺もちょくちょく会話をしていたため、非常に疲れた。長すぎるんだよ。特に西野姉。
「お兄ちゃん、疲れたから早く帰ろう」
どうやら疲れたのは俺だけじゃなくて由利花もだったようだ。
「なぁ。晩御飯は焼き鮭とみそ汁だけでいいか?」
「うん。私はそれでいいよ」
晩御飯が決まったので、買うものも決まった。さっさと買って帰ろう。
って、なに!? 鮭が売り切れているだと!? どうしたものか‥‥。
「鮭売り切れてるね。どうする?」
「仕方ない、鮭の代わりに秋刀魚でも焼こう」
俺は秋刀魚をかごに入れる。秋刀魚は細かい骨が多いから食いづらいんだよなぁ。
まぁ、鮭がなかったか仕方がない。
「次は豆腐とわかめだったよね?」
「あぁ、そうだ。っと、豆腐あったぞ」
「じゃあ次はわかめだね!」
俺たちはわかめを探すために店内をうろつく。
‥‥どこを探してもわかめがない。どうしようか‥‥。
「‥‥もう豆腐だけでもいいんじゃない? 私、もう疲れたから帰りたいよ」
「そうだな。俺も疲れたからこれだけにしよう」
俺たちはそう決め、レジでお金を払う。そして帰る。
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《光青視点》
なぜ僕がこんなにも疲れているのか。それがわかるのはおそらく僕だけだろう。
‥‥亜美と亜紀の話が長い。青森姉妹に会うとこの二人は馬鹿みたいに話をする。
30分くらい話をするのは別に問題はない。だが、スーパーでそんなに話さないでほしい。30分話すのなら家で話をしてほしい。
ずっと立ったままで話を聞くのはつらい。
「光くん? 大丈夫? 疲れてるみたいだけど」
「‥‥亜紀と亜美のせい。長いこと話をするんだったら家でしてくれ」
「ごめんごめん。私もあんなに長くなるとは思わんかったんや」
「いっつもそう言ってる。それでも変わらない。せめてスーパーではやめて」
「「りょーかーい」」
‥‥この二人、絶対わかってないだろ。
また今度、この二人を連れて玲の家に行こう。
‥‥というか
「亜美。帰らないのか?」
「今日はここに泊っていくわ。明日特に予定ないし」
「‥‥そうか」
まぁ、いっか




