36 青森姉妹 西野姉弟
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俺は今、由利花と買い物に来ている。本来なら親と一緒に行くのだが、仕事が忙しいとのことで行けなくなってしまったのだ。
このことを由利花に話すと、「私も行くから一緒に行こ?」と言ってきたので、由利花と一緒に行くことになった。
「なぁ。晩御飯なに食いたい?」
「んー。お兄ちゃんの作ったものは何でもおいしいし、何でもいいかな」
「それ一番困るやつ」
‥‥俺も今食いたいものがないからなぁ。どうしようか。
安い食材でも買ってそれで何かするか。
キャベツが安いな。それにもやしも。今日は野菜炒めでもするか。
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられる。
「‥‥‥‥雄二。よく会うな」
振り向くと、光青が亜紀さんともう一人の見たことのない女性を連れていた。
こいつ‥‥‥玲がいるというのに浮気をしたのか!?
「光青‥‥お前、浮気か!? お前には玲がいるのに、なにをしているんだよ!」
「‥‥‥‥はぁ? 何言ってんだお前。こいつは僕の姉だ」
「‥‥え?」
‥‥え?
そういえば、前になんか亜紀さんじゃないほうの姉がどうたらこうたらとか言っていたな。
浮気とか、俺早とちりしすぎだろ。超恥ずかしいんだけど。
「すまん、俺の早とちりだった」
「‥‥ぶふ!」
光青の後ろにいる光青のお姉さんに笑われた。‥‥恥ずかしさが倍増する。俺の今の顔はりんごみたいになっているだろう。
「いやぁ‥‥キミ、おもしろいなぁ。雄二くんやっけ? 私は西野亜美って言うんやけど、よろしくな!」
「えっと‥‥よろしきゅお願いします」
噛んだ。俺の顔がさらに赤くなっていく。
亜美さんはまだ笑っている。その間に、亜紀さんに話に行く。
「あ、えっと‥‥亜紀さん、お久しぶりです」
「久しぶり、木戸くん」
亜紀さんは亜美さんとは違っておとなしそうな感じだ。
身長だけで見たら、亜美さんのほうが大きい。というか、亜紀さんのほうは背が低すぎる。‥‥そんなことを言ったら何されるかわからないから絶対に言わないけど。
「ところで、光青はなにをしているんだ?」
「‥‥多分雄二と同じで買い物だ」
どうやら光青も買い物をしに来ていたみたいだ。
そして、笑い終わった亜美さんが急にこんなことを言い出した。
「せや!雄二くん、せっかくやしリイン交換しようや!」
「急ですね。まぁいいですけど」
なんか朱莉と話せるようになってからキョドりが前よりましになった気がする。ありがたいことだ。
俺は亜美さんとリインを交換する。それにしても、俺のリインがこんなに増えるとは思わなかった。
「あ、私とも」
「わかりました」
次は亜紀さんとリインを交換した。
俺のリインに女性が増えていく。
‥‥さっきから由利花の視線が痛い。その視線で俺を殺せそうだ。
なんか、最近買い物をしていたらなぜか知り合いに会うな‥‥と思っていたら、また顔を知っている奴が来た。
「お? 光青と雄二、なにしてるの?」
今度は玲に遭遇をした。ほんと知り合いによく会うな、俺。
しかも玲も姉妹らしき人を連れていた。
「‥‥! 光にぃ‥‥!」
玲の後ろに隠れていた一番小さな子が光青にくっつく。
「玲、あの子ってもしかしたお前の妹?」
「うん。あの子は青森瑛って言って、あまり人にはなつかないけど光青にはかなりなついてるって感じ」
「へぇ。そっちの二人は?」
玲の後ろにいたのは瑛さんだけではなく、背の高い人と普通くらいの人がいた。
「じゃあ私から名乗らせてもらいます」
そう言って前に出てきたのは背の高い人だ。
「私は青森涼子といいます。よろしくお願いします」
「え、あ、よろしくお願いします」
涼子さんは亜美さんとは違ってとてもまじめに挨拶をする。
‥‥亜紀さんとは違って背がとても高い。何センチあるんだ?
「次は私ですね! 私は青森京子、中学3年の14歳で、テニスをしています! 身長は154㎝の誕生日8月15日、好きな食べ物は涼子おねえちゃんの作った料理全部! 血液型はA型で、趣味は」
「ストップ! 長い!」
京子さんの自己紹介を玲が強制的に止める。
「‥‥京子、自己紹介が長い」
光青が京子さんにそういう。すると、京子さんは「はーい!」と言って光青にくっつく。
光青は今、右側に瑛さん、左側に京子さんという状態になっている。
「‥‥はなれて、二人とも」
光青がそう言うと二人はおとなしく離れる。この子たち、玲の話によるとあまり人にはなつかないんだったな。こんなになつくのは光青だからだろう。
「玲ちゃんに涼子さん! 久しぶりやな!」
「久しぶり、亜美ちゃん」
「お久しぶりです、亜美さん」
今度は向こうで亜美さんと話す玲。
‥‥今日一日だけでなんかいろいろなことが起こりすぎだろ。
「‥‥疲れた」
「‥‥わかる」
俺のつぶやきに由利花は返事をしてくれた。
‥‥帰るの遅くなってしまいそうだな。
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