29 女の子の買い物は長い
「雄二くん、どっちがいいと思う?」
そういって朱莉が持ってきたのはワンピースタイプの赤い水着とビキニタイプの黒い水着。
これはどう答えるべきか。俺にとっては黒いビキニのほうが好みだ。しかし、こっちのほうが好きと言ったら変態とか言われそう。それが少し怖い。
‥‥朱莉に限ってそんなことないか。ここは正直に答えよう。
「俺は‥‥黒いほうが好きだ」
さぁ、言ったぞ。変態やらなんやらと罵るがいい!
「わかった!じゃあ、試着してくるね!」
そうして朱莉は試着室のほうに行った。
俺の心配は杞憂だったみたいだ。よかった、変態とか言われなくて。言われたら俺のメンタルはズタボロになっていたよ。
「お待たせ!」
朱莉が戻ってきた。手には袋を持っているからさっきの水着を買ってきたのだろう。
「じゃ、玲と光青を待っておくか」
「そうだね!」
俺たちの用は終わったので、光青たちを待っておく。
「あれ?雄二くんは自分の水着買わなくていいの?」
‥‥あ、やべ。緊張しすぎて自分の分のこと忘れていた。
「忘れていた。今から買いに行くか」
仕方ない、面倒だけど買いに行かないと、今着れるような水着がない。
「じゃあ私も見に行くよ!」
「‥‥マジで?」
「まじまじ!」
女子に自分の水着を選んでもらうのか。これで俺も陽キャの仲間入り!
‥‥ごめんなさい何でもないです調子に乗りました。
そうして俺は朱莉に選んでもらった水着を買った。
店を出ると光青と玲がいた。
「雄二と朱莉遅かったじゃん。何してたの?」
「俺が自分の水着を買い忘れていたから買ってきたんだよ」
「‥‥雄二いろいろと忘れすぎだろ。‥‥僕との約束といい、自分の水着といい」
光青にそう突っ込まれた。
光青との約束に関してはかなり忘れているからぐうの音も出ない。
「まぁ、そんなことは置いといて。みんなで服を見に行こうか」
玲がそんなことを言った。‥‥女子って、服を見だすと長いんだよね。由利花の服を見に行ったときもそうだった。2時間くらいいろいろな服屋に行った。
まぁ、ここで断る理由もないから行くんだけどな。
「光青も行くでしょ?」
「‥‥行く。雄二は?」
「俺も行くよ」
「じゃあ全員行くんだね!雄二くんの服も見てあげよう!」
‥‥俺の服、朱莉が選んでくれるのか。ありがたいなぁ。
そして俺たちは服屋に行き、2時間くらい服を見まわるのだった。
「いやぁ、今日はいろいろ買ったね! 雄二くんの好みの服も知れたし!」
朱莉が満足そうに言う。俺の好みの服を知って何になるんだろう。まぁ、俺には関係ないか。多分。
「じゃあ、夏休みのどこかに海に行こうか。ね、光青?」
玲が光青をいじめるように言う。こいつ、さてはSなのか?
光青は玲の質問には答えずに青くなった顔で震えている。こいつ、どれだけ海が苦手なんだ。
もしよかったら感想や評価もください!




