28 逃げられなかった
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「よし、行こうか!」
朱莉の声に俺たちはうなずく。
ついにこの日が来てしまった。
今日は、朱莉と光青、玲と水着を買いに行くことになっている日だ。俺が行く必要はあるのか?
「なぁ、俺と光青は行く必要あるのか?」
「‥‥僕も行く必要はない、と思う」
やはり、光青も行く必要はないと思っているみたいだ。どうやって水着売り場に行かずに済むかを考えないと。
一つ作戦を思いついたぞ!水着売り場の前についたらトイレに行こう!これでごまかせるだろう!
「二人とも行く必要あるよ!ほら、西野君は玲ちゃんと、雄二くんは‥‥わ、私と」
‥‥なにちゃっかり恥ずかしい発言をしているんだ、朱莉は。
夏休みの前からも考えていたけど、朱莉が俺のことを好きになるにはまだ早すぎる。それに、まだ俺は惚れられるようなことをしているはずがない。
俺は朱莉のことをどう見ているのだろうか。それがまだ自分でもわからない。早いうちに答えを出さないと。
‥‥そうだ。また光青と玲、俺の三人で集まろう。そして、このことを相談してみよう。このバカップルならわかるはずだ。もしかしたら俺が朱莉のことをどう思っているのかがわかるかもしれない。
「‥‥玲が来てほしいなら、僕は行く」
「私は光青に来てほしいよ。ほら、朱莉も言わないと」
「う、うん!雄二くん、私が来てほしいから!行こうよ!」
「あ、ああ。わかったよ」
このバカップルに聞かずに朱莉に直接聞いてみるか?
‥‥たしか、この夏休み中の祭りは俺と朱莉の二人で行くことになっていた。その時に聞いてみよう。
「着いたよ、雄二くん!」
そんな考え事をしていたら、いつの間にか水着売り場についていた。あの作戦を使うぞ!
「ごめん、俺トイレに‥‥」
「嘘をつくな、雄二」
逃げようとしたら光青に止められた。そのせいで逃げられなかった。
「‥‥お前は自分の考えから逃げようとするな」
‥‥!?
俺は驚いた。光青にばれていた。自分の考えから逃げようとしていることを。
しかも、俺は故意に逃げようとしていたわけではない。水着売り場から逃げようとしていたのは故意だが、自分の考えから逃げるのは完全に無意識だった。
そうだ、昔から俺はこうだった。自分一人で考えきれないことは考えるのを放棄して逃げようとする。
「‥‥光青、気付かせてくれてありがとう」
「‥‥無意識、か」
この一言だけで無意識に逃げていたことがばれた。なぜ光青はここまで人の心を読むのが得意なのだろうか。まぁ、今回は光青のおかげで逃げようとしていることに気が付けた。
また今度、このバカップルに相談しよう。‥‥それまでに、俺自身が逃げないように気を付けないと。
「お~い、二人とも早く~!」
‥‥今はこのことを考える必要はない。家に帰ってから、また考えよう。




