25 中途半端な日に終業式
ブクマあざす!
「おはよう、お兄ちゃん!」
朝、由利花のその声で目が覚めた。
「おはよう、由利花」
俺はとりあえず返事をして、下に降りる。
「おはよう、父さん、母さん」
「「おはよう」」
二人はもう朝ご飯を食べ終わっていた。早いなぁ。
「そういえば、雄二。終業式って今週の水曜日なのよね?」
「あぁ、そうだ。なんか中途半端だよな」
「そうよねぇ」
本当、何でこんな中途半端な日に終業式があるのだろうか。先週の金曜でよかったのに。
「行ってきます」
「「「行ってらっしゃーい」」」
朝ご飯を食べ、着替えを終わらせた俺は3人に挨拶をして家を出る。
「おはよ、朱莉。行こ」
「おはよう、雄二くん。行こっか」
家の前には朱莉がいるので、朝の挨拶をして学校に向かう。
「‥‥あれ?玲、光青は?」
学校についた。けど、いつも玲と一緒にいる光青が今日はいなかった。
「ん?光青は今日さぼるんだってさ」
「‥‥なぜ?」
「昨日、遠くに住んでいる姉の家に行ったんだって。そしたら、姉に泊って行けって言われたらしい」
‥‥あいつ、姉に弱いな。
ん?でも、昨日いたのも光青の姉だよな?もしかして‥‥。
「なぁ、光青って姉が二人いるのか?」
「知らなかったの?」
マジか。玲の反応からして、二人いるのだろう。大変だな、あいつも。
‥‥別にうらやましいとか思ってないからな。いや、本当に。
「お~い、席に着け~」
おっと、もうHRが始まるのか。今日の登校時間そんなにぎりぎりだったのか。
やはり、先生の話は長い。なぜこんなに長いのだろう。
そんなことを考えていたら、HRが終わっていた。1時間目は‥‥数学か。嫌だなぁ、数学。
「なぁ、木戸。西野はどうしたんだ?」
金木が話しかけてきた。やっぱり光青のことが気になるか。
「あいつは今日さぼりだってよ。姉の家に泊っているらしい」
「そうか」
そういって金木は自分の席に戻っていった。光青のことを聞きに来ただけかよ。
そして放課後。さぁ、あと2日で夏休みだ。何をしようか。
「なぁ、木戸。一つ聞いていいか?」
再び金木。光青がいないと基本的に一人になるな、俺。
「どうしたんだ?」
「お前‥‥昼休み、藤宮さんのことを名前で呼んでいたじゃないか。どういう関係なんだ?」
金木のその言葉に、周りの男子たちがうんうんとうなずいた。
もしかして、俺たちそんな関係に見えるのか?‥‥だとしたら、朱莉に迷惑だな。俺みたいなやつが彼氏なんて。
「いや、ただの友達だぞ」
「‥‥本当か?」
「本当だぞ」
「‥‥‥‥…はぁ」
何でそこでため息をつく、金木よ。喜ぶところだろ普通は。
「木戸‥‥お前がそこまで鈍感だとは」
「お前にまで言われてしまったか‥‥」
俺はどれだけ鈍感だと言われればいいのだろうか。少し悲しいぞ。
「まぁ、どれだけ鈍感なのかはあとから気が付くだろう。じゃあな、木戸」
「?ああ、じゃあな」
あとから気が付く‥‥か。もしかしたら、朱莉は本当に俺のことが好きなのか?
‥‥いや、それはない、絶対に。俺みたいな陰キャにあの美少女が惚れるなんてありえない。‥‥けど、本当にあり得ないのだろうか。
‥‥まぁ、少しの間考えてみよう。この夏休みの間にその答えは出るはずだ。




