01 俺の周りの人たち
「おい雄二。帰ろう。」
机に顔を伏せている俺の耳にそんな声が届いた。
俺の名前は木戸雄二。この弥生高校に通っているどこの学校にでもいるような陰キャだ。そして、今俺の名前を呼んだのは西野光青。1年の時に知り合った俺のオタク友達だ。ちなみに今は2年生。そしてこいつには彼女がいる。うらやましい。
「おう、帰るか。」
「ちょっと待った!!」
早速出てきたよ、光青の彼女。この女の名前は青森玲。身長が170と女子にしては高め。俺の身長は172とギリギリこいつより高い。光青は175。
「玲、どうしたんだ。」
「いや、光青と帰りたいなぁって。」
「そうか。悪いな雄二。僕は玲と帰る。」
「了解。」
いいよなぁ、彼女と一緒に帰れるなんて。俺も彼女が欲しいよ。
一人で帰ることになった俺は学校を出る。今日は自分の大好きなラノベ作品〈双子の幼馴染〉のアニメの1話が放送される日なんだ。録画をしてはいるが、リアルタイムでもみたいので急いで帰る。今は16時15分。アニメが放送されるのは16時30分から。学校から家まで大体10分。いつも通りのペースで帰れば間に合うだろう。
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よし、間に合った。今は家の前にいる。時間を確認すると、16時23分。どうやら俺は少し早めのペースで帰ってきていたようだ。
「ただいま~」
帰りのあいさつとともに家のドアを開ける。すると、ダダダダっと家の廊下を走る音が聞こえてくる。
「お兄ちゃんお帰り!!」
そう言いながら俺にギュッと抱き着いてくるのは妹の木戸由利花。15歳の中学3年生。いつになったら兄離れができるのだろうか。
「あら、今日は少し早いのね。」
今度は母さんである木戸佳純がリビングから出てきた。
母さんと由利花以外にも、今は仕事に行っている父さんや、ロシアに留学中の兄さんがいる。由利花と兄さんは顔がいいのに、どうして俺だけモブ顔なんだろか。神様は本当に人を平等に作っているのだろうか。神様が実在するのならぜひとも聞いてみたい。
抱き着いている由利花を離し、自分の部屋に行ってテレビをつける。そして〈双子の幼馴染〉を見る。ふむ、どちらのヒロインもかわいいがやっぱり俺は落ち着いている妹のほうのヒロインが好きだ。現実にもこんな子がいたらいいのになぁ。
アニメを見終わった俺はパソコンを立ち上げる。そしてひたすらゲームをする。普段は光青とやっているが、あいつは今玲と放課後デートに行っていやがる。うらやましい。
「おにーちゃん、ご飯できたよ!」
晩御飯ができたみたいだ。




