09 光青と玲(2)
《玲視点》
私は光青と信号が青になるのを待っていた。
「光青、今日の放課後、私の家に来ない?」
「行く。」
そんな話をしていたら信号が青になった。私は横断歩道を渡ろうと歩き出す。その瞬間、止まっていたはずのトラックが私を轢こうとするかのように動き出す。
「玲!!!!!!」
光青が私を押して庇う。私が後ろを向いた瞬間、光青がトラックに轢かれる。光青の体少し飛び、血しぶきが飛び散る。血の気が引いた。私はすぐに光青のほうに行った。光青の体をを抱きしめて泣いているうちに、誰かが呼んだであろう救急車が来た。そして光青と私は病院に運ばれた。
医者によると、光青は全治半年らしい。これは奇跡だと医者は言っていた。しかし、私は光青に大きなケガをさせてしまったことにひどく後悔して、奇跡がどうしたと思っていた。
光青を轢いた犯人は逮捕された。犯人の話によると、光青に告白したあの子に脅されて私を轢こうとしたらしい。
私は信じられなかった。なぜあの子がそんなことをしようとしたのか。私はあの子に対して恨まれるようなことはしていないはずだ。なのに、どうして。
私は光青の病室に入った。すると、いきなり光青がこんなことを言い出した。
「玲、ごめん。こうなったのはすべて僕のせいだ。」
意味が分かっらなかった。なぜ光青が謝るのか。そして、なぜ光青のせいなのか。私はあふれ出てきそうな涙を抑えながら言う。
「光青、なんで謝るの?‥‥光青のせいってどいうことなの?」
「僕はこの前、告白された。僕は断った。理由を聞かれた。僕は玲が好きだからと答えた。だからこうなった。」
私は泣いた。光青が好きって言ってくれたから。そして、何よりも、光青は悪くないのに、あの子を庇って自分を悪役にしようとしているから。
光青はずっとそうだった。人を庇い、自分を悪役にする。そんな優しい人だった。しかし、今回ばかりはそれを許せなかった。この事件に関しては、光青が悪役になることは絶対に許されない。だから、私は泣きながらこう言った。
「光青は、なにも悪ぐない!!!ずぐに自分を悪にじようとしないで!!悪いのは、あいづだがら!!!」
泣きながら言ったから、ところどころ言葉がおかしくなる。それを聞いた光青は涙を流した。そして、こういった。
「ごめんね」
あの事件から数か月たち、高校の合格発表。私は光青と一緒に来ていた。結果を見ると、二人とも合格していた。
「光青、合格したよ!」
「そうだな。半年くらい病院にいた。だからどうなるかと思った。けど大丈夫だった。」
「すごいね。あれだけ遅れていたのに、合格するなんて。」
「ああ。それと、玲。話がある。」
「え?なに、話って。」
「僕と‥‥付き合ってくれ」
私は驚いた。あの時私が好きだといってくれた。けど、退院から少し距離を置かれているような気がしたから。光青の告白に、私は迷わずこう答えた。
「はい‥‥喜んで!」
こうして私たちは付き合うことになった。