困惑
いやいや、冷静になって考えてみたらコーデリアさんに読んでいいって言っちゃったんだ。
何言ってんだ、私・・・
つまみ出されたらどうやって生きるの?
ここら辺に民家とか沢山あるのかな?
それともスラム街の孤児になる?
奴隷商人に売られる・・・?
思わず身震いしていた。
お願いだからそれだけはヤダ!
せめて引き取る家を探すとか、孤児院に入れるぐらいにして欲しい。
でもまずは日記を返して貰わないと・・・
父と母の指輪はちゃんとネックレスとして首についてるけど兄の遺品も持ってかれちゃってるし。
少し足が痛むけど誰か呼びに行こう。
普通に重いドアは2歳児にとってむちゃくちゃ重いのね・・・不便だぁ
ドア開けて部屋の外に出たはいいけどやっぱ広すぎでしょ。学校の廊下以上に長いよこれは。
ここから誰か呼びに行くとか・・・あぁ疲れそ
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探し始めて20分位経ったのかな?
裁縫箱を抱えた侍女の人を見つけた。あぁやっと見つけた、人を。
この建物の中、動物とか人とかの絵は沢山飾ってあるのに人は全然見当たらないんだもの。
その侍女の人は大きい裁縫箱を抱えているからか歩調が少しゆっくりだ。よし、あの人に声をかけよう。
「あの・・・」
その人のスカートを掴まえて声をかけた。
「まぁ、どうしたんですか?」
裁縫箱を置いて目線を合わせるためにしゃがみながら答えてくれた。いい人そう・・・
「コーデリアさんに会わせてもらいたくて・・・」
うぅ、コーデリアさんがコーデリアしゃんになってしまった。記憶戻っても滑舌は2歳のままだなんて・・・
「コーデリアさんに?いいと思うけど・・・少し遠いけど歩けそうですか?」
頷くと、私の歩調に合わせながら案内してくれた。
やっぱいい人だ。でも結構若いんだろうな。ものを運んでる雑用的な位置にいそう。
そんなこと勝手に考えていたら、
「大丈夫です?足痛くなったりしてないですか?」
そんな心配してくれるなんて・・・私としたら、勝手にあなたの年齢だとか侍女の中のどこら辺の位置かだなんて考えてました、すみません。
と言えるわけでもなく頷いただけで終わった。
「もうすぐ着きますからね。」
ホント、こんな広い家にする必要性が全然分からない。
10分歩いてようやくその部屋の前に着いた。
あぁ、これだけで2歳児の体力では限界なのか。
ちょっとへこむ。
侍女の人が
「奥様、失礼致します。」
と言って一緒になかに入った。
その部屋は私が寝ていた部屋の2倍以上はあり、部屋に似合った様々な装飾品、大きなテーブルにソファ、そして夕日が差し込み景色がよく見える大きな大きなガラス窓とテラス。
思わず見とれてしまった。
綺麗すぎて・・・
「まぁ、裁縫箱ありがとう。
キャスリンも来たの?どうしたの?」
夕日でコーデリアさんが輝いてる・・・あぁ直視できない。
「失礼します。」
そう言って侍女の人が部屋から出ていってしまった。えぇぇ。そんな。
「どうしたの、キャスリン?
おいで、ソファに座って話しましょう。」
頷いて、向かいのソファに座った。
何これ、フカフカ。これで寝れそう・・・
「もう、眠くない?大丈夫?」
「大丈夫です。ありがとうございます。
あの、ここに来たのは・・・」
言葉が出てこない。
さすがに読めってあの日記出したのに今になって返せって言うのも・・・
「あぁ、帰る家が無いって事かしら?日記読ませてもらったのだけどお父様もお兄様もいないのだから・・・ね?」
頷くしかなかった。多分父と兄がどのような仕事をしていたかも知ってるだろう。
「私はあなたをこの家の養子にしようと思って!」
へ?
ちょ、ちょっと待って。
「それは、私がこのお家で働くということで・・・?」
「いいえ?キャスリンを私の子どもということにするのよ。」
いやいやいやいや、さすがにそれは無理だろ。
元敵国の軍人の子を養子にするだなんて・・・
しかも公爵家じゃなかったっけ?
「だって・・・」
とコーデリアさんが言いかけたところで部屋がノックされた。
「奥様、旦那様がお帰りになられました。」
「分かったわ、今行きます。」
「一緒に行きましょう」
と言って抱きかかえられた。
え、ちょっと待ってそんないきなり?
遅くなりました。
申し訳ないですm(._.)m