表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

記憶を取り戻した!

あまりの情報の多さに、めまいを感じるほどだった。

でも、今は母の死を悲しむ時だ。

情報を探ってる場合じゃない。



数時間後、地域の大人の人達が、数人が駆けつけてくれて母を火葬した。

火を見ている間に私の頭の中に入った膨大な量の情報が片っ端から頭の中で再生されていた。

それが前世の記憶だと気付くには、そう時間はいらなかった。




前世の私は、私立の女子校に通っていた普通の中学生だ。友達も何人もいて、勉強もそこそこの成績で優等生とまではいかないけど悪い訳でもない学生だった。ボーイスカウトや新体操、習字をやっていて、茶道や着物が大好きだった。

普通と違うところといえば、母と父が別居していて私はものすごいおばあちゃんっ子だったということだ。今いる世界とは違い、母と父は仲が悪かったため、日本の仲の良い家族というものがあまり分からない。多分こちらの世界とそう変わらないだろう。



日本の家族を思い出してたら、涙が止まらなくなってきた。しかも、転生していることに気づいた瞬間こちらの世界で大好きだった母が死に、身寄りのない子供になっただなんて意味がわからない。


なんで転生したのか新しい記憶を探っていったら、ズキンと頭に痛みが走った。それでも思い出したくて考えていたら、絶交したつもりだった友人が大型トラックに跳ねられそうになったところを私が代わりに跳ねられたという所まで思い出した。


その元友人には、色々と助けてもらったことが多かったからそれで友人が助かったというなら後悔もそこまでない。

ただ、家族にもう一度会いたいと思っていたら母の埋葬が終わっていた。




分厚い木の板に

「シンフィア・ミゼラスここに没す。」と記され、日付けも入れられた。



私は村の人達にお礼を言った。

村の人達は、これからどこへ行くのか聞いてきた。

記憶が蘇ったおかげで精神年齢もあがり、嘘をつく能力も戻ってきたおかげで、フィルネの方にある親戚の家に行くと嘘をついて村の人を納得させた。



でも、実際のところ行く場所もない。

とりあえず母の言いつけ通りにフィルネの方にむかうことにした。

本とネックレスを身につけ、兄と父のハンカチをお守り代わりに持ち家を出た。




2歳で追われる身なんて悲しすぎる。

というか、2歳児の体力で持つのか?・・・という現実的な問題があったが、捕まって自由を失うのだったら逃げてのたれ死ぬ方がマシなのかという私なりの持論でここまで歩いてきた。




正直、もう歩ける気がしない。

少し木陰で休もう。



休んでいると、男の人がひとり来て、

「まだこんな小さいのに家出かい?」

と聞いてきた。

なんて返そうか迷っていると、

「そうなら、俺の馬車に乗ってけよ。遠いところまで行くぞ。」と言った。

単なるお人好しならいいけど母の最後の言葉が気になるから、

「大丈夫です。」

とだけ答えた。

男の人は、頷いて自分の馬車に戻って行った。



なんか怖いから先を急ごうと思って立ち上がった。



その瞬間、いきなり目の前に男の人が立ちふさがった。

やばい・・・。

危険を感じた私は走って逃げようとしたけど大人に2歳児がかなう訳もなく、口を覆われてしまった。



母が言ってた人達だ。

奴隷商人に捕まってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ