母の死
少し暗い感じになります
「私はその指輪貰えないの?」
「キャスリンは女の子だからね。旦那さんになった人にもらう側なんだよ。」
思い出してて何分たったか、父の部下の人はとっくに帰っており、母は私を抱きしめながらずっと泣いていた。
次の日起きると、母はもう泣いてなかった。
父と兄の荷物をまとめていた。
指輪は父と母のものを両方ともチェーンにぶら下げてネックレスにしていた。
父と兄の死を知ってから8日目、母がとうとう倒れた。お医者さんによると、過労と栄養失調だった。
貧困同然のうちの食事は、かなり少ない。2歳でそう思うのだから、母はもっと少ないと思う。
母は、倒れてから私に食事のマナーと礼儀作法、外国語を教え始めた。
多分この頃には、自分が助からないのを覚悟していたのだろう。
食事のマナーや礼儀作法は父がいる頃から厳しく教えられていたので、なんなくクリアできた。
外国語の方は、2歳児にはかなり難しかった。当たり前だ。でも本の虫だった私は、外国の童話を読みたいがために必死になって覚えた。多分これができたのは、幼い頃秀才と呼ばれていた母と父のDNAを受け継いだのだろう。
近所の人は、街へ越した人がほとんどのため家事や洗濯は誰かに手伝ってもらうこともなかなかできなかった。
わずかに村に残っていた人たちが1日おきにパンや、スープをうちに届けてくれた。
それでも足りなかったんだから、母の病気は相当なものだったのだろう。
外国語の本がそれなりに読めるようになった頃母の病気が一気に悪化し始めた。お医者さんには、あと3日持つかどうかだと言われた。
余命宣告をされた日の夕方、母はとても分厚い本を取り出してきて言った。
「もし、私が死んだらこのネックレスをつけなさい。お母さんのとお父さんのものとで二つに分けて。そして、この本を絶対に手放さないで。キャスリンを引き取って、新しく家族になった人に渡しなさい。その人たちを信用できると思ったらね。悪い人達に渡したら絶対にダメよ。この中身は新しく家族になった人にしか見せないで。キャスリンも見てはいけないわ。興味を持っても、よ。いつかわかる時が来るだろうから。お願いだからこれを守ってちょうだい。」
母はそう言い終えると目を閉じて寝始めた。
次の日、母はもう息をすることもままならない状態だった。急いでお医者さんを呼んだ。お医者さんは、
「もう良くはなりません。今日の夜が限界でしょう。」といった。
それを聞いて母は、
「私が死んだら、火葬して庭に埋めてちょうだい。そして、すぐに逃げて。デルザから。フィルネの方に向かって逃げて。すぐによ。奴隷商人に攫われてしまうかもしれないから・・・。今まで私がいたからまだこの家には来なかったけど、あなたのストレートの金髪はほんとに珍しいの。金髪と言うと、巻き毛の人がほとんどだし、金髪自体も珍しくて黒や茶、栗色などが普通の髪の色だから。瞳のサファイアブルーもよ。だから、すぐに逃げること。絶対よ。約束しなさい。」
そう言い終わると同時にゆっくりと目を閉じた。
「待って、お母さんお願い!一人になっちゃうなんて嫌だ。」
こうなることは分かっていたのに、頭が今起きている状況についていけていない。お医者さんが脈を診た。
「シンフィア・ミゼラス様は、亡くなりました。お悔やみ申し上げます。」と言って持っていたカバンを床に「トン」と置いた。
その瞬間私の頭の中に、膨大な量の情報がうずまき始めた。
次のお話から書き方を変えようと思います。
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