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2話 愛情に飢えた子犬

一話の輪廻転生の部分を編集します。

〇犬井サイド〇


どうも。女帝の怒りに触れた犬井です。

目の前はまっくろ黒すけだ。

女帝との主従の呪い(リンク)は切れたから愚痴をこぼさせてもらおう。

まぁ大女神達から覗かれるかもしれないけど。


スウゥ ハアァ


運べって命令してスタスタ歩いていったの女帝じゃねぇかよ!



大体英雄の母とか言ってる奴には大女神は勤まらんと思う。

あんたは命令するだけか、でっかい胸しやがって!

はぁ はぁ...


スウゥ


愚痴をこぼしているうちに目の前の黒い(もや)が霧散していく。

あぁ 思い出した。そう言えば桃源郷を追放されたんだっけ。

転生しても記憶、今までの経験、知識等はあるようだ。

その記憶を頼りにするならば、子犬に生まれるんだっけ?


辺りがどんどん明るくなっていく。


ドチャ


キャイィン...


生まれました。子犬生誕!!

でも残念なことが発覚。

どうやら雄に生まれたらしいです。

だってなかったもんがあるもん。

まぁ 転生だから予想外は付き物。

あと性格がずいぶん変わった気がする。

なんというか...楽観的?...お調子者?

って感じになってもうた。


生誕を祝して乾杯できるはずもないので、これからを軽く妄想...


『妄想タイム』

まぁ!どんなかわいこちゃんになってるのかしら!

もしかして銀髪サラサラヘアの高級パピー?

貴族に買われて、贅沢三昧?


一瞬で妄想が崩壊する。

ないね、だっていかにも自然っていう音が微かに聞こえる。

川のせせらぎ、風のさざめき。

ていうか母上どこよ。産んだ瞬間去るってどんな化け物なの?

うん、ボッチ確定。


生まれてまもないので目を開けることすらできない。

見えるといえば、さっきから目が開いていないのに見えるふよふよ

とした自分の体から沸き立つ白い煙。

とにかく煙しか見えん。

周辺のさわった感触はザ・草って感じの物質からも

微かに薄緑色の煙が出ている。

どうやら微弱ながら全ての物質が煙を放っているらしい。

煙のお陰でどこに何があるかは分かった。

やっぱり母上はいなかった...


近くに川があったので、水分を補給しつつ出来ることを考える。


...何も浮かばない。


ただ時間だけが過ぎていく。

自分から何か出来るわけでもない。

そうなれば最終手段!!

考えるのを止めよう。

自然に身を任して拾われるのを待つとしよう。

状況からして野原にポツンとボッチ。


『子犬を拾わない奴なんてこの世(下界)にいない!!』


よくわからん持論を抱えながら眠りについた。


あぁ腹減った...

母乳とご飯が欲しい。

空腹で目が覚めるのは初めてだ。

目がすこし開いた。見えるところはとても小さい。

言い表すとすれば、月齢僅か3日ぐらいの月みたいなものだ。

微かに目の隙から橙色の光が見える。

眠る前は(まぶた)からでも分かる(まばゆ)い光

だったのが橙色に変わっている。

ざっと半日くらい寝ていたのだろう。


「クウゥン クウゥン」


寂しい思いを我慢して、ひたすら煙の漂うところに進んだ。


突然毛が逆立つ。 紫色の煙が漂う。煙がとても濃く、複数あるのだ。

もしかして人?

気がつけば、悪寒がしたのを忘れて飛び出していた。


「ハッ ハッ ハッ!!」


息をきらしたさきにいたのは、紫色を放っているボスを中心に、

どす黒い煙を放った2人がいる。

ボスは筋骨隆々のムキムキマッチョメン。

2人は黒いフードを被っていて顔は見えない。

少し厳ついが、なんたって人だ。


人だ! 嬉しいな! 一緒に遊びたいnannnッ「キャン!!」


フードを被った人に、突然お腹辺りに蹴りを喰らった。吹っ飛んだ先には

もう一人のフードが首の根本を押さえ付け、宙吊りにした。


そしてボスがしゃがれた声で詰問を始めた。


「おい お前 何か妙な煙を感じる。白い魂なんて見たことがねぇ。

 お前、一体何者(なにもん)だ?」


「キャン キャンキャン」


話したいのに声がでない!?何で!?


「答える気がねぇみたいだな!こうなりゃ少し手荒になるが

吐いてもらおう かッッ!!」


顔と腹をどつかれる。


「クウゥン」待って!話せないのに!


「なんだコイツ喋れねぇみたいじゃねぇか。

下らん...殺せ」


意識が遠退く中、冷酷な言葉に頭が真っ白になる。


「待て!!!」


気が付けば、とても強大な白い煙が現れた。

コンマ数秒後、紫色の煙は霧散していた。


フード2人組が距離をとり、殺気たっぷりの声で言い放った。


「何のつもりだ?聖獣『黒猫』。いや、化け猫!」


誰か、助けてくれたの?僕を?


「こやつは同族。助ける義理がある。」


聖獣が白い煙を大きくし、威嚇する。と同時に、フード2人組が

彼方へと消えていった。


「大丈夫か?」


黒猫が冷静に尋ねる。


『もう、無理です。やっと見つけた人間が殺そうとしてきたんだ。

もう何も信用できる気がしません...』


聞こえないだろうと思いつつやっきになって答える。


「大丈夫だ。俺が面倒みてやる。それとも命の恩人すら信用できんか?」


優しい声が帰ってきた。僕は黒猫についていくことに決めた。

そして、殺されかけたことにより、


『信用する相手をちゃんと選ぶこと』


『時には容赦を捨てること』


この2つを学んだ。


これが黒猫と僕の奇妙な出会いだ。






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