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1話 序章の読み聞かせ

勉強の合間に書きました。

できるだけ毎日更新したいです。

今日は2回です。

とある村


「ねぇ ままぁ この絵本よんでぇ?」

「あら、桃花(とうか)この絵本がいいの?分かったわ」


男の子の母親らしき女性が天井にぶら下がっているライトを

2度ほど引っ張り、和室を薄暗い橙色の明るさにしてから、

桃花と呼ばれる5歳の息子のリクエストに答えて絵本を開き、

ゆっくりと語り出した。


「昔々 在るところに桃源郷と呼ばれる それはそれは綺麗な場所が

在りましたとさ」


〇〇


ここは桃源郷。

女神が住む楽園とされている場所。

至る所に花が咲き乱れ、花の香りを暖かい風が運ぶ夢の様な場所。

そんな桃源郷では一世一代のビッグイベントが今日開催される。

そのため、桃源郷の中央にある神樹の周りには女神達が殺到している。

今日は三千年に一度、桃の花が咲く日である。

桃源郷に古くから言い伝えられてる話がある。


『桃の花が咲く時、神樹の化身が赤子となりて鬼を打ち払わん』


言い伝え通り、神樹の化身の象徴である『大きな桃』が実っている。

今にも自重で落ちそうだ。

女神たちは、神樹に実った大きな桃を受け止めるために

桃源郷に生息する蚕が生み出す最高級の生糸から作った

ふわふわ座布団を桃の真下にセッティングしている。


どれくらいの大きさの桃かというと

縦1m、横1m、規格外過ぎる桃だ。


女神達はセッティングに必死だ。

何故なら、言い伝え通りに事が進めば、因縁の敵である『鬼』を打ち払う

事ができるからだ。


そもそもなぜ女神が必死なのか。それは今日から丁度三千年前、

女神と鬼の全面戦争が起こった。


桃之助と呼ばれる、桃源郷唯一の『男戦士』がいた。

桃之助はのおかげで、鬼を窮地へと追いやったのだが、桃之助は、

【瘴気】に侵されて凶暴になった鬼たちにより瀕死に追いやられた。

そこで桃之助は肉体を捨て、

次の『神樹の桃』を依り代に魂を移したのだった。

その桃が三千年の時を経て、完全に熟したのが今日という訳だ。


『瘴気とは人々の憤怒、憎悪、苦しみといったものだ。

それが鬼に力をもたらすと女神の間で()()()()()()()。女神達は瘴気を恐れている。』


そしてついにその時がやって来た。

枝がメキメキと音を立てて、

まるで桃だけがスローモーションになっているかの様に、

神秘的に、女神達が紡いだ座布団へと落ちる。

その光景に女神達の歓声が飛び交うなか、一人の声が響いた。


「静まれ!!」


その歓声がピタッと止む。

何故なら女帝と呼ばれる現在の桃源郷を治める女神が現れたからだ。

女帝は横暴な性格と一度言ったら止まらない性格で

他の女神達から恐れられている。


「妾は女帝。よって、この桃から生まれた赤子を妾の子として育てる!

 犬井(いぬい)猿山(さるやま)雉鳥(きじとり)、妾の城まで持って参れ。

 妾は先に行っておる。」


「「「は!!!」」」


無論、女帝に逆らえる女神は現在の桃源郷には誰一人としていなかった。

女帝は3人の召使(めしつかい)を連れて、自分の城へと帰っていった。


△△召使の犬井視点△△


私の名前は犬井、女帝の召し使い。

下級女神だが、実力を買われ直属に就いている。

それは猿山も雉鳥も同じ。

私達は幼馴染みとして小さい頃からずっと一緒にいる。

3人一緒に女帝の命令(強制的に)で召使となったわけだ。

女帝の命令は絶対。

逆らったりなんてまず考えることが出来ない。

恐怖が心を支配しているのだ。


只今、猿山と雉鳥と私で桃を城へと持っていくための準備に取り掛かっていた。


「じゃあ持ち上げるよ?」

私が後ろ向きで支え、猿山と雉鳥とで3点で支える配置についた。

例)こんな感じ 『∴』


「「「せーの!!!」」」


座布団ごと持ち上げる。

なんとか持ち上がるが、結構重い。


「重くない?」


私が聞くと、猿山も雉鳥も同じだったらしく


「「重い!!」」


と答える。


そうこうしているうちに結構進んだ。

ここまで順調に進んできたが、ここが最大の難所、

川の上に板が乗って、危ない橋になっている。


「慎重に行くよ?」


そぉっと、そぉっと慎重に足を進めていく3人。

しかし、私がやらかしてしまう。


「あ、かえるさん!?」


蛙を踏みそうだったので咄嗟に避けたのだ。

気付いた時にはもう遅かった。


「「「あ!?」」」


桃が宙に舞う。そのまま川を下り、人間のいる下界へと

どんぶらこぉ、どんぶらこぉと消えていきましたとさ。


最初は夢かと思ったが、足元にいる蛙が

これは現実だと示している。


「ごめんなさい!!」


「犬井だけが悪い訳じゃないし、私達も罰を受けるよ。」


猿山と雉鳥にフォローされ、女帝に謝りにいった。


うん、当然だよね。

女帝は激怒している。


「何をしておるッッ!!!

妾の...  あぁ  妾が英雄の母となれば 女神から大女神へと

地位が上がるはずだったのにいいイイイィイイィィィ...

...ハァ ...ハァ」


まるで今にも覚醒しそうな勢いで狂う女帝に

頭を地面に擦り付けて謝る私達。



「本来なら直ぐに死刑だが、妾はこの上なく怒っておる!」


女帝が顔をしわくちゃにして怒っている。

すると、狂ったように笑い出したのだった。



「   クク、キャハハ ? アッハハハァァ  !!  」


すると目を見開き、時間でも止まったかのように固まった。

ぶつぶつとつぶやきだしたあと、はっきりとした声で言い放った。


「.....そうじゃ。


こやつらには死ぬより辛い思いをしてもらうことにする!

死んでしまっては、償いができぬ。

3人を桃源郷から追放し、

犬井は犬

猿山は猿

雉鳥は雉

不老の呪い、輪廻転生の呪いを与える!

子犬、子猿、子雉として一生下界で恥を晒すがよいわあぁ!!」


女帝は私達を転生させるために魂を抜き、転生を操作する。

これが上級女神である女帝のなせる技。


その様にして、私達は下界に降り立ち

『あの桃を守らなければ』という使命感を本能的に宿しながら生まれたての犬、猿、雉として

来たるべき時に備えていた。



〇〇〇

「桃花、段々ねむたくなってきたのね。これで序章は終わったわよ。 

一旦おしまいにする?」


「ううん まだよんでほしいの 」


「分かったわ じゃあ続きをよむわね。」


そして再び本を開いた…


感想お待ちしております。

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