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〜月の下〜
届かない
両の手を伸ばしてみても
足元の地面を蹴って跳んでみても
大声で喉を鳴らしたとしても
夜空に浮かぶ月には到底届かない
どれだけの距離があるのだろうか
近付こうとすれば離れていく
まるで君のように
ならばロケットを使おう
そうすれば この手は この脚は
あの月に届くはず
だけど君には届かない
いくら近付こうとしても
やっぱり離れて行ってしまう
それならばいっそ
この想いだけは届くのだろうか
淡い期待を胸に
紙切れに一文字づつ書き足していく
伸ばした両の手は動かない
地を蹴った脚は固まった
大声を上げる声は枯れ果てた
それでも心は動いてる
いつかこの想いを届けるために
だから今は
諦めることを辞めてみよう
叶わぬ夢が覚めてしまわないように
月が照らすアスファルトの上で
宛先のない手紙を書き綴ろう