2-2 脱出
どうもMake Only Innocent Fantasyの三条海斗です。
この2部はもっとしっかり描きたいなぁと思い始めましたが、毎日更新だとちょっとそれはつらいですね……。
ですが、最後まで頑張ります!
それではどうぞ!
「なに? 魔物が出現した?」
あわただしく動き回る王宮内で、騎士団長の元にそんな報告が飛んできた。
「はい、どうやら何者かが召喚しているようで……」
「召喚魔法だと!? そんなもの……! いや、いるか。やつがいる」
「奴……?」
「魔剣・ダーインスレイブ。失われた魔法の技術を持つ奴ならば造作もないかもしれん。急ぎ、隊列を立て直せ!!」
「はっ!!」
部下が急いで走り去っていく。
その様子を最後まで確認することなく、騎士団長は王がいる部屋へと向かった。
そこは、入り組んだ通路の先にあり、正しい道を知らなければ、たどり着くことは困難だろう。
その道を、騎士団長は迷うことなく進んでいく。
そして、王がいる寝室に入ると、騎士団長はただそれが事実であるという様に、王に告げる。
「この王宮は陥落したと同然です。王は速やかに王宮を脱出する準備をお願いします」
「……ダーインスレイブか」
「はい」
王は初めからわかっていたかのように、ただ静かに「そうか」と答えるだけだ。
「お前はどうする?」
「お供します。私は部下に死ねと命令しなければなりません。ですが、その分まで私は王を守り切らねばならない」
「急ぎ準備を」
「はっ!」
騎士団長は敬礼をすると、寝室を後にする。
彼はまっすぐ広間に行くと、高らかに宣言した。
「第01小隊、および第03小隊は私と共に来いっ! それ以外の小隊は、己の命に代えてもこの王宮を死守しろ!!」
「「了解!!」」
部下である騎士たちは、この非常時がいつか来ることを察していた。
だからこそ、部下達はためらわずに了解と答えることができた。
しかし、彼らは死ぬことが本望だと考えている人間は一人もいない。
皆、生きて明日を迎えることを望んでいる。
だが、彼らにとって騎士である誇りは、命よりも重かった。
* * * * *
「準備が整いました」
「うむ」
王は、寝室の隠し扉を開ける。
そこは、シュバルツから政権を奪ったときに作られた、隠し通路である。
当然、外部にもこの情報は公開して無く、知っているのは今ここにいる王のみであった。
そして、その隠し通路を通って、王は王宮から脱出した。
王が生きて逃げ延びることで、王国は維持できる。
まだ、復権の希望はある。