1-2 取り調べ
どうも、Make Only Innocent Fantasyの三条海斗です。
こういう短い話を毎日更新していこうと挑戦中です。
最後までお付き合いよろしくお願いします。
それではどうぞ!
アストラルがアンディゴを旅立った少しあと。
騎士団は、ディゴールの取り調べを行っていた。
「さあ吐け! お前の共犯者の行方はどこだ!!」
「ですから、私も知らないんですよ~」
「そんな言い訳が続くと思うのか!!」
「本当ですって~」
ディゴールのにやにやとした表情に、取り調べを担当している騎士は苛立ちを隠せないようだった。
「落ち着け。私が変わろう」
「団長!?」
「団長……?」
静かに告げたその言葉に、ディゴールは少しだけ驚いた表情をした。
「騎士団長自らとは、光栄ですねぇ」
「その余裕は、自分以外に秘書の行方を知らないから殺されない……という風に考えているからか?」
「まさかぁ~そんなわけがないじゃないですかぁ~」
口ではそういうディゴールだが、実際は図星である。
彼は本当に行方を知らないのだが、知っているような態度をとり、取り調べを長引かせようとしている。
すこしでも生き残る時間を伸ばしたいと、躍起になっているのだ。
「まぁ実際、そう考えるのも、不思議ではないがな。私たちがそんなに甘いとでも思っているのか?」
「それは……どういうことでしょうかね~」
わずかに口ごもったディゴールを、彼は見逃さなかった。
「お前に残された時間は残り少ない。既にお前の罪は確定してしまっているのだからな。その最後の時間まで、取り調べを長引かせれば生きていられると思いながら過ごすか?」
「いや~……」
ディゴールの顔から余裕が消える。
ハッタリだと思っていても、彼の目を見れば、本気で言っているのがわかる。
彼は処刑の時間が来たら、ためらいなくディゴールを処刑するだろう。
何か反論しなくては、と頭を回転させるが、そんなことを彼が許すはずはない。
「さあ、選べディゴール。いま、ここで」
「くっ……!」
何か言わなければ。
焦りは頭を真っ白に染めていき、思考はどんどんと浅くなっていく。
最終的にディゴールが出した結論は、そんな頭で考えた答えだった。
「本当に……彼女の行方は知りません……」
「……なるほど。嘘は言っていないみたいだな」
すべてを見透かされたようなその顔に、ディゴールは怒りを覚えていた。
しかし、その怒りをぶつけることはできない。
いや、その気力さえ、彼には残っていなかった。
「牢に閉じ込めておけ。しかるべき罪は償ってもらう」
「はっ!」
騎士二人に囲まれ、ディゴールは牢へと連れていかれる。
その様子を、騎士団長は黙ってみていた。
「お疲れ様です、団長。見事な手腕でした」
「それほどのことでもない。私は執務に戻る」
「了解しました」
騎士院の団長室に戻る最中。
彼は遠くの空を見る。
なぜか、彼には不穏な空気が近づいてきているのではないかと、そう感じた。