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僕と魔剣と ~それぞれの道~  作者: M.O.I.F.
第三部 導き出した答え
13/22

第3話 守りたい生命(いのち)

どうもMake Only Innocent Fantasyの三条海斗です。

2日連続更新できました……!

さて、この番外編第三部も次でラストです。

あともうすこし、最後までお付き合いお願いします。

それでは、どうぞ!

「ようやく、ここまでたどり着いたね」

僕の顔を見るなり、ファンはにやにやとした顔でそういった。

「ここに来るまでに、明らかに足止めとは思えない魔物がいた。そこまでして、僕を殺したいのか?」

「ああ、殺したいとも。君の存在そのものが、僕には受け入れられないね」

「なんで、どうしてそこまで!」

「その理由は、自分で見つけ出したらどうだい? 答えを探して旅をし続けてきたんだろう?」

「僕は、”人殺しの答え”を探すために、旅に出たんじゃない!」

「その手で、いくつもの命を奪った人間がいう言葉か?」

「この手で奪ったからこそ! 僕は、人を救う答えを、探さなくちゃいけないんだ!!」

「綺麗事を!」

「綺麗事の何が悪い!!」

「その綺麗事が、打ち砕かれる様を見してあげるよ!」

ファンはそういうと、自分の周りに三体の魔物を呼び出した。

「召喚魔法!?」

「正確には違うけどね。君にとっては、初めてではないのだろう?」

「そんな技術をどこで……!」

「君は知らなくてもいいことさ! 行けっ!!」

「ガオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「くっ!!」

三体の魔物は、僕に一斉に襲い掛かってくる。

一匹目の魔物を避け、二匹目の魔物の攻撃を剣で流し、三匹目の魔物にぶつける。

「さすがにやるね」

「三体の魔物を同時に魔物を操るなんて……!」

「実際には、操っているわけじゃないんだけどね!」

「っ!!」

危険を察知して、後ろに飛び退く。

すると、真上から魔物が爪を振り上げて、飛び降りてきた。

「4体目……!?」

「僕は集団戦闘が得意でね、こうした群れを成す魔物とは相性がいいんだよ」

「だけど! この魔物は全部違う種類じゃないか!?」

「小さいころから一緒にいると、種別が違っても自分の家族と誤認する動物がいる……。君も聞いたことがあるだろう?」

「……! それじゃあ、この魔物たちは……!!」

「そう、この魔物たちは魔法で操られているわけじゃない。……サーカスでもやってるような、動物を調教するのと同じさ」

「そんなことが……!」

「種がわかったところで、君にどうにかできるのかな!!」

「なっ……!?」

上から、左から、右から、そして後ろからの攻撃。

「ほら、どうするかな!!」

「守護魔法……発動っ!!」

僕はペンダントに魔力を込める。

すると、ペンダントは輝きを増し、僕の周りに守護魔法が発動する。

その魔法は、四方からきた魔物の攻撃を防いだ。

「やっかいだね、その魔法は」

「っ……!! どうして、どうしてそこまでする!! 何が理由なんだ、何が君を駆り立てているんだ!?」

「僕は、僕自身の手で君を終わらせる! それこそが、僕の……魔剣への復讐なんだ!!」

「復讐だって……!」

「さあ、やるんだ! 僕の魔物たち!!」

「なっ!」

4体の魔物は、先ほどとは違い、一点のみを攻撃してくる。

どうやら、この守護魔法を破るつもりみたいだ。

さすがに長くはもたない……!

僕は一週の隙を見て、魔法を解き、距離をとる。

そして、剣を構えなおすと、魔物の奥にいるファンに向き合った。

「もう魔力切れかい?」

「いや、僕の魔力は並大抵の量じゃないってレーヴァテインがいってた。この程度じゃ、僕の魔力は無くならない」

「その余裕がいつまで続くかな」

「もう、そんな余裕もないんだけどね!!」

僕は足に力を込め、前へ跳躍する。

「真正面からの突撃かい? もう、策はないのかな」

「策なら……ここにあるっ!!」

僕は剣を地面に突き刺すと、それを足場にして跳ぶ。

「馬鹿なっ!?」

「フレイム!!」

僕は飛んだままの状態で魔法を唱える。

すると、地面から炎が湧き上がり、ファンの周りを囲んだ。

その炎の円の中に、僕は着地した。

「……驚いたよ、君が魔剣を足場にしてここまで来るなんて」

「あの剣は魔剣じゃない。もう、レーヴァテインはこの世にはないんだよ」

「なんだって……?」

「君は知らないかもしれないけど、この世にあった二振りの魔剣は、その片方の魔剣……レーヴァテインによって消滅している。世界を救うために、レーヴァテインは自分自身を犠牲にしたんだ。君が復讐したいと思ってる魔剣は、もう存在しない」

「信じられないね! 第一、あんなことをする魔剣が、世界を救うとは考えられない!!」

「あんなこと……? 君に一体、何があったんだ……!?」

「君に教える義理はないね!!」

ファンがそういうと、炎の壁を突き破って魔物たちが入ってきた。

「っ!」

僕は魔法を解くと、剣のところまで下がる。

地面から剣を抜くと、それを構えなおす。

「さて、万策尽きた君は、一体どうするというのかな?」

「君を倒す。そして、あの子の母親を連れて帰る。ただ、それだけだよ」

「本当にそれができると思うのかい? 君が言うことが本当なら、その剣には特別な力はないんだろう?」

「確かに、この剣には特別な力はない。だけど、僕にはレーヴァティンからもらったものがある!」

「結局、魔剣の力だよりじゃないか! さあ、やるんだ!!」

ファンのその声に応じて、魔物たちの咆哮が洞窟内に響き渡る。

以前の僕なら、ここで立ちすくんでしまっていただろう。

そして、レーヴァティンに、セレナに頼ってた。

だけど、今ならこの足で立っていられる、前に進んでいける。

それは、レーヴァティンがくれたものがここにあるから。

レーヴァティンがくれた、かけがえのない大切なものが。

「力だけが、レーヴァティンがくれたものじゃないっ! レーヴァティンが僕にくれたのは……”立ち向かう勇気”だ!! 行くぞ、ファン!!」

「勇気が何になるというんだ!」

「はああああああああああああああああああああ!!」

僕はファンをめがけて駆け出す。

魔物たちは、僕をめがけて飛んできた。

だけど、その魔物たちの攻撃を僕はよけない。

その魔物の牙が、爪が、僕に傷を付けていく。

だけど、僕は前へ進み続ける。

攻撃を喰らっても、ひるむな……!

目の前に魔物がいようとも、下がるな……!

前に……! 前に進み続けるんだ!!

「うおおおおおおおおお!!」

「な、なぜ魔物の攻撃を受けても、前へ進んでくる……!?」

「今を生きてる僕たちが一番やっちゃいけないのは、過去を否定することと、未来への希望をなくすことだ! レーヴァティンは自分の過去を受け入れて、それに立ち向かった! だからこそ、僕がここにいる!!」

「そんなボロボロの体で、何をするつもりだ!!」

「レーヴァティンが作った未来への希望……。今度は、僕が誰かのために作る番なんだ!!」

「やめろっ! 来るな!!」

「いい加減、目を覚ませっ!!」

僕は剣を地面に突き刺したあと、右手でこぶしを作り、ファンの顔面に叩き込んだ。

「ぐぅ……!」

拳から伝わってくる、確かな感触。

やっぱり、こういうのはなれないな……。

僕の拳を受けたファンは、そのまま壁へとぶつかり、意識を失った。

ふと、後ろを振り返ると、魔物たちが僕とファンを交互に見ていた。

しばらくして、魔物たちは僕をにらむ。

「グルゥゥゥゥ……!」

「もう戦いは終わった。君たちはあの人の元へと行くといい。僕はもう、君たちと戦うつもりはないよ」

伝わっているかどうかわからないけど、魔物たちはゆっくりとファンの元へと歩いていった。

終わった……。

後は、あの子の母親を連れて帰れば一件落着だ。

そう思い、一息ついた時。

洞窟の天井からパラパラと、土が落ちてくるのを感じた。

「まさかっ……!?」

それはどんどん数を増していく。

「さっきの戦いで、この鉱山の地盤が崩れかかってるのか……!」

そういえば、この鉱山は地盤がもろいって言っていた。

そのせいで、この鉱山は廃鉱になったとも。

「急がないと……!」

僕はさらに洞窟の奥へと進んでいく。

すこし入り組んだ、坑道の奥。

そこに、縛られたあの子の母親がいた。

「動かないでくださいね」

僕は剣で、彼女を縛っていた縄を斬る。

「あ、あなたは……!」

「話している時間がないんです! さあ、急いでこっちに」

彼女を連れて、出口を目指す。

道中いた魔物たちは、どうやらファンの元へと向かっているようで、遭遇しても僕たちに攻撃してこなかった。

上り坂を登り、外の明りを確認する。

よかった、出口はまだふさがれていないみたいだ……。

だけど、ここでゆっくりしている時間はない。

まずはこの人だけでも、安全な場所に連れていかないと……!

そのまま出口を目指して走っていく。

外に出ると、日の光にまぶしさを感じる。

鉱山の中とは違い、風もある。

よかった、ここは安全みたいだ。

「もう大丈夫です、安心してください」

「本当にありがとうございます……。怪我を為さているみたいですが……」

「大したことじゃないです。それよりも……」

僕は坑道を確認する。

そこには、自らの背にファンを載せた魔物たちの姿が見えた。

「行かないと……!」

「行くってどこへ?」

「まだ、人が残ってるんです」

「ですが、坑道はもう……!」

「だからって、目の前にいる人を見捨てることは、僕にはできません!」

僕はそう言い終わると、彼女の制止も聞かずに走っていく。

見えている距離と、実際の距離は違う。

洞窟のかなりの奥の方まで、走っていくとその姿をはっきりと確認することができた。

「ファンをこっちに!」

魔物たちの元へと行くと、僕はファンを背負ってる魔物に話しかける。

すると魔物は、僕の目の前で止まり、自らの背をこちらに向けた。

「ありがとう。急ごう、もうこの洞窟は持たない!」

「バウッ!!」

ファンの身体の軽さに驚きながらも、そのまま背中に背負い、出口へと走り出していく。

しかし、ここから出口まではかなりの距離がある。

魔物たちは全力で走ったら間に合うだろうが、僕たちは間に合わないかもしれない。

天井から落ちてくる土は、その塊の大きさを増していっている。

崩落は、目前だった。

それでも、あきらめずに走っていく。

間にあえ……!

間にあえ!!

「間にあえ!!!」

岩とも呼べるほどの大きさの土が、僕の後ろに、僕の前に落ちていく。

「間にあえええええええええええええええええええええええ!!」

その叫びもむなしく、出口から差し込む光は闇に包まれた。

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