表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と魔剣と ~それぞれの道~  作者: M.O.I.F.
第三部 導き出した答え
11/22

第1話 たどり着いた村

どうも、Make Only Innocent Fantasyの三条海斗です。

さて、この番外編も第3部です。

最後まで精一杯書きたいと思います!!

それではどうぞ!

「ここが……アクィルス……」

目の前に広がる、のどかな村。

その村を見て、ほっと一息つく。

旅に出てから2年と少し。

かなりの村を見てきたが、この村に来るのには、すこしだけ勇気が必要だった。

僕の腰にある、魔剣を模した剣が理由だ。

この村は、シュバルツの手によって、一度焼き払われている。

アクィルス事件と呼ばれるその大量虐殺が、結果としてシュバルツ暗殺につながったのだが、その事件を忘れまいと、村の中心部には、慰霊碑が立っているという。

この剣にも、アクィルス事件の実行者であるノワール帝国の紋章が、刻み込まれている。

だからこそ、この村に来るのには、時間を置こうと思った。

それは、レーヴァテインの過去の罪と、向き合う必要があるからだ。

レーヴァテインは魔剣ではあるけど、もともと生きた人間だった。

いろんな罪を犯した。

いろんな人を救った。

そして、その命を散らせた。

その際にできた二振りの魔剣。

レーヴァテインとダーインスレイブ。

自分を殺した世界に対する憎しみから生まれた呪いの剣、ダーインスレイブ。

片方は、支えてくれた人を守ることができなかった自分に対する悔しさから生まれた呪いの剣、レーヴァテイン。

その二振りの魔剣は、この時代、この世界で再び戦い、消滅していった。

レーヴァテインが世界を守るため、僕の手で命を奪った親友……カインの体と共に、ダーインスレイブを消滅させた。

結果的に、僕は世界を守った。

その代償として、僕は親友と相棒を失うことになった。

まだ、彼らが救ったこの世界で、僕は自分自身の答えを見つけ出せていない。

そんな状態のまま、僕は王都に帰るわけにはいかない。

それこそ、僕を待ってくれいる人にあわせる顔がない。

そういえば、彼女は今、何をしているのだろう。

王都を出る前に、災害復興支援の部隊になったことは聞いた。

今でも、その場所で自分の役目を果たしているのだろうか。

たぶん、今頃……一生懸命になってやっているんだろうなぁ……。

ふと、同じ空の下にいる彼女のことを想っていると、遠くの方から声が聞こえてきた。

どうやら、なにかあったみたいだ。

僕は急いでその声がした方へと向かった。

その場所についてみると、そこには魔物に襲われそうになっている少年と、それをどうにかしようとしている人たちがいた。

このままじゃ、どっちも危ない……!

その人垣を抜けて、僕は魔物の方へと向かっていく。

「おい! 危ないぞ、兄ちゃん!!」

「僕よりも、あそこの男の子を! この魔物は僕が引き付ける!!」

僕は男の子と魔物の間に入り、魔物をにらむ。

レーヴァテインがいたときは、こんなことはきっとできなかったと思う。

だけど、今はセレナもレーヴァテインもいない。

僕自身が決めて、自分の責任で行動しなくちゃいけない。

「今のうちに早く……!」

そういうと、何人かの男性が恐る恐るといった風に、少年を連れていく。

魔物はそれに気づいて、襲い掛かろうとしてきた。

その標的は、僕だ。

だけど、それは狙い通りでもある。

「ギャン……!?」

空中で止まる牙。

魔物は何が起こったか、わかっていないだろう。

周りの人も同じかもしれない。

「守護魔法発動……! ふぅ、これで逃げてくれればいいけど……」

その後も、魔物は幾度も僕に攻撃を仕掛けてきたが、僕に傷一つ負わせることはできなかった。

「グルゥゥゥゥ……!」

「お願い、逃げて……!」

そう魔物に頼んでも伝わるわけがなく、魔物はまだ僕に攻撃を仕掛けようとしてきた。

本当は抜きたくなかったけど……この状況なら、仕方がない。

覚悟を決めると、僕は腰に差さっている剣を抜き、構える。

「あ、あの剣は……!」

「もしかして、魔剣……!?」

「そんな馬鹿な……!」

やっぱり、こうなったか……。

周りの人の反応を見る限り、好意的というよりも、目の前にある光景が信じられないといった風だ。

「ガアアアアアッ!!」

「ちょっと痛いけど、許してねっ!!」

タイミングを合わせて、剣の腹を魔物の腹にぶつける。

「ギャィン……!」

魔物はすこし甲高い声を上げて地面に落ちた後、よろよろとした足取りで森の方へと去っていった。

「ふぅ……」

すこし息を吐いて、剣を鞘に戻す。

ふと周りを見てみると、僕に対して怪訝な顔をしている人たちが多かった。

「はは……。えっと、僕は旅をしてこの村に来たんですけど、どこか宿を探していまして……」

「その前にあんた、名前を名乗りな」

周りにいた、がたいのいいおじさんがそう告げてきた。

う~ん、僕自身としてはあまり名前を言いたくはないけど、そうしないと信用してもらえないのなら、言うしかない。

「すみません、僕はアストラルと言います」

「ほぅ……やっぱり、あんた魔剣の主だな?」

「……今はもう違います。レーヴァテインは、もうこの世界にはないですから」

「それじゃあ、その腰にある剣は何だっていうんだ?」

「これは模倣品。何の力もない、ただの剣です」

その言葉に、周りがざわつくのを感じた。

やっぱり、この村には魔剣の記憶が残っているのか……。

「悪いが、この村に宿屋はない」

「そう……ですか……」

諦めて立ち去ろうとしたとき、服の裾を引っ張られる感じがした。

その方を見てみると、先ほどの男の子が、僕を見上げていた。

「ねぇ、泊るところをさがしてるの?」

「そうだよ。だけど、この村に宿屋はないみたいだから、どうしようかなって考えていたところ」

「なら、ぼくのいえにくる?」

「……え?」


 * * * * * 


「息子を助けていただいて、本当にありがとうございます……」

少年の家につくと、いきなりそう言われた。

どうやら、村人から事の経緯を聞いていたみたいで、男の子が家に案内するまでに支度をしていたみたいだった。

「ほんのお礼といってはなんですけど……」

「……えっと」

大丈夫です、と言おうとしたとき、腹の虫が鳴り響く音が聞こえた。

それはあちらにも聞こえていたみたいで、母親は「くすっ」と笑った。

「それじゃあ……いただきます」

僕は椅子に座ると、目の前に並べられた料理を見る。

机の上には、温かいスープやサラダ、パンに焼いた肉など、どれもおいしそうなものばかりだ。

「遠慮しないで、どうぞ食べてください」

「はいっ!」

初めにスープを一口飲んでみる。

ちょうどいい温かさで、野菜の味がぎゅっと詰まっているのか、口にした瞬間に味が広がっていく。

次に肉を食べてみると、これまた噛んだ瞬間に肉汁があふれ出て、それでいて肉は柔らかい。

「ごちそうさまでした、すごく美味しかったです」

気がつけば、全ての料理を完食していた。

それくらい、おいしかった。

「お口にあって何よりです」

そういうと、母親は食器を運んでいく。

「手伝います」

「いえ、大丈夫です。旅をしてきたのですから、ゆっくりしてください」

そういうと、彼女は奥へと消えていく。

居間に残された僕の横に、とことこと少年が歩いてきた。

「お兄ちゃん、どこから来たの?」

少年は、きらきらと目を輝かせて、そうたずねてきた。

どうやら、旅の話が聞きたいらしい。

「僕は王都を旅立ってから、いろんな町に行ってきた。どこから……って言われるとわかんないけど、始まりの場所は王都だったよ」

「どんなところに行ってきたの?」

「……聞きたい?」

「聞きたい!」

「よし、それじゃあここに座って。立ったまま聞くんじゃ疲れちゃうからね」

「うん!」

少年は、僕の横にあった椅子に座ると、ニコニコとした笑顔を向けてきた。

こうやってみると、アリシアに似てるなぁ……。

性別は違うけど、ほんわかした雰囲気は似ているなと、懐かしい仲間を思い出す。

「えっと、どこから話そうか。王都……正確には王立学園なんだけど、そこを出て……」

それから、僕は旅の話をした。

大工の街・フクシアへいき、伝統工芸の技術に感動したこと。

ルベル火山で出会った魔法使いに、炎の魔法を教えてもらったこと。

灰色の街・カエシウスで、助けることができた命があったこと。

旅の思い出を、1つ1つ、ゆっくりと話していく。

その話を、少年は楽しそうに聞き続けてくれた。

僕も、レーヴァテインが自分のことを話してくれたら、こんな顔をしているのだろうか。

でも、絶対に自分のことは話さないんだろうなぁ。

レーヴァテインはいつだって、自分のことは話さない。

だけど、レーヴァテインは僕の相談をしっかり聞いてくれていた。

思えば、僕はレーヴァテインに甘えていたんだろう。

この子と話していると、本当にそう思う。

「……それで、巡り巡ってこの村に来たっていうわけ。これが僕の旅だったよ」

「すごい! 世界には、まだ知らないことがいっぱいあるんだね!!」

「本当にそうだったよ。知っているつもりでいただけだったんだなって、つくづく思い知らされた」

「それで……探していたものは見つかったの?」

「……ううん、まだ。ぼんやりと見えては来てるんだけど……」

「見えるものなの?」

「う~ん、まぁ見えるものかな。僕が探してるのは、答えだ。自分の問いに対する、自分自身の答え」

「???」

少年はキョトンとした顔をする。

まぁ、当たり前だろう。

「そのうちわかるよ」

そういうと、少年はさらに難しい顔をした。

「それにしても……お母さん、遅いね。水桶は遠いの?」

「ううん、家のすぐうしろ」

「後ろ……?」

玄関を前だとしたら、母親が向かった方が後ろということだろうか。

それだったら、こんなにも時間がかかるはずがない。

「ちょっと様子を見てくる。君はここにいて」

僕は、この家に着いた時に玄関に立てかけた剣を持つと、勝手口へと向かった。

ゆっくりと扉を開ける。

いつでも、剣は抜ける体勢で外の様子を伺う。

だが、そこには……ただのどかな景色が広がっているだけだった。

「人の姿もない……」

不思議に思い、一歩踏み出した時、足元にある欠片に気付いた。

「これは……皿の破片……? どうしてこんなものが……」

その破片の周りには、同じ皿だったであろう破片が大量にあった。

その斜め後ろに、水桶に沈められている皿をみつけた。

破片とみくらべてみると、皿にある模様が同じようなものに見える。

どうやら、この皿に似た皿が割れたらしい。

それらが指し示しているのは、ただ一つ。

「まさかっ!!」

足元を見てみると、小さな足跡があり、それは家からどんどんと離れている。

その足跡を追っていくが、途中でその足跡がなくなっていた。

「一体どこに……!」

そうつぶやいても、辺りはのどかな風景が広がっているだけだ。

その場にいても、先へは進めない。

そう考えた僕は、先ほどの家へ戻ることにした。

家に戻ると、少年は心配そうな顔で僕を見た。

まだ何も言ってないとはいえ、不穏な空気を察したんだろう。

「それで……どうだったの?」

「っ……!」

本当のことを話すべきか。

それとも誤魔化すか。

僕はどうすればいい……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ