FIGHT ON ANIMUS 2
眠い。しかし例え睡魔が襲ってこようが疲れが溜まっていようが関係無い。起きていなければならない指名があるのだ!
というわけで寝ます
「殺しなさい」
突然何を言い出すかと思う人もいるだろう。だが、彼ら戦士にとって敗北は恥。死んだ方がましなのだ。
もちろん負けたからといって死ぬ必要はない。代わりに自分の使っていた武器は全て勝者に渡る。戦いに生きる戦士にとって、自分の武器を他人に使われるということはこれ以上無い屈辱。それに比べれば死など軽いものだ。
「私の『武魂』は二つ、片手剣と大剣よ」
武魂とは、文字通り『武器の魂』である。戦士達一人一人が全員一つは必ず持っているもので、使用者の魂と連結している。肉体から魂が離れた時、武魂も同じように天に還っていく。
重要なのは、戦士の死の原因が[自然死]なら、またこの世に生まれる新しい魂と共に転生するのだが、[戦士同士の戦いで死を迎えた]時は、今度は死を与えた者に武魂が宿る。
武魂は、より強い者を選ぶのだ。
「いや、俺はお前を殺さないし武魂もいらない」
シュウ…、と鎌が光を出して消える。
「…なんでよ。さっき言ったことと違うじゃない。この世界の戦士が負けたらすることなんて、死ぬ以外知らないわよ」
「あー……言い換える。戦士が負けたら勝者に対してすることを、知らない訳じゃないだろうな?だ」
「知らないわよ。なんでもいいから早く殺して、私に生き恥を晒せって言うの?」
━━そんなに死にたいのか。
「悪いがお前の願いを聞く気はない。というか勝者が敗者の言うことを聞く道理がない」
「じゃあ何する気よ。……はっ!アンタまさか…!」
絶句し、ビシッとトモを指差す。
「私に悪戯する気でしょ!どっかの同人みたいに!」
「しねぇよ!どうしてそうなった!」
「え…流れ的に」
「どんな流れでそうなる!…えーとだな、お前には俺のパートナーになってもらう」
…………………。
「やっぱり悪戯する気じゃないのよ!」
「だからどうしてそうなった!お前の頭はどうなってんだ!?」
二人のさっきまでの戦士の顔はどこへ行ったのやら、今は何かのコントでもしているかのようだった。
「あのな、俺は仲間になれって言ってるんだよ!」
「あ…なぁんだそういう……へっ!?」
ラシュは一瞬、何を言ってるのかわからないという顔をした。
「待って、仲間ってつまり、アンタと私で組むってこと?」
「ああそうだ…やっと通じた…」
その言葉を聞いて露骨に嫌そうな顔をする。
「そういうことなら私は悪戯された方がマシよ。仲間なんてのはね、弱いから組むのよ。強ければ誰かと一緒に戦うなんて面倒なことする必要ないわ。私がそんなに弱いって言うの?」
強気に出てトモを威嚇する。
しかし戦士の顔に戻ったトモは一言、こう言うだけだった。
「負けてんじゃねーか」
「そりゃそうだけど…でも━━」
「俺に負けてんじゃねーか」
「……これじゃ死なせてもくれないわね…わかったわよ、組めばいいんでしょ組めば!」
「初めからそうすりゃよかったんだ」
苦笑しながら出されたトモの手を、半ば強引に取り握手をする。
「改めて、俺はトモ・アルカスだ」
「ラシュ・ミレルヴァ、これからよろしくね。したくないけど」
二人の戦士が手を取り合い、最強に見えた瞬間である。