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第一章 初国王 R

 今聞いた事を話そうか。

 僕は王様らしい。


 いみがわからない?そうだね、僕もだよ。



 この城のことを聞いた。この城はずっぴー城だ。僕のギルド。だがここの王様は僕らしいんだ。確かに城といったら王様がいるかもしれない、でもここはギルドなんだよ?でも魚屋の主人はギルドという言葉を知らないらしい。知らないというのは少し違い、違う意味で知っているとでも言っておこうか。ここの王は僕。そうやってみんな認識しているみたいだな…。リムとミミは今までどうりの記憶を持っているみたいだが。


 城のこと以外にここの世界のことも聞いた。もちろんプレイヤーについても。でもプレイヤーというものを知らないという。そしてこの世界の人間はゲームの世界の人間ではないようだ。確かにゲームの世界に僕はいた。いや、この考え自体間違っていたのかもしれないが、知っているゲームの世界と擬似した世界にいた。それにプレイヤーという言葉が誰でも通用したのでゲームだと思っていたのだが。この世界ではそれが通用しない。頭が痛くなってきた。


 この国の名前は『ズクリットピクス』という国らしい。自分の国の名前を聞いてくる王様に困惑したように話してくれた。この国は小さな国で周りの国とは交友がないという。というか国民はこの街を出たことがないという。出る必要もないし出る意味もない。鎖国でもしてるのかよと突っ込んだが意味がわからなかったようだ。現在王様は『リクン・シルフィス・エクリエット』なぜだか名前が勝手に変わってる…いや、変わってないけど伸びてね?そして初代が僕である。うん僕が作ったからね。皆僕を慕っているらしいけど意味がわからなさすぎてもうダメ。


 そして周辺国家のことはわからないようだ。まぁ出たことないならわからんか。街中などは特に変わったことはなかったからこそ僕が王様だと言われてすごく困惑している。だから整理してみた。僕はこの国の王だから周りのことを知らなくてはいけない。そして僕のギルド…この城を守らなければいけない。そうするには周りの国と交友関係を結びたいな。戦争等起きてはたまったもんじゃない。じゃあやることは決まったな。



「忙しい中いろいろ聞かせてくれてありがとうございました」



「いえいえ、王様と話す機会などないものだと思っていたので最高の一日でした」



「ではまた逢いましょう。この方をお送りしてもらえますか?」



 こういうとメイドが魚屋を送り届ける。メイドがいっぱいいた。たくさんだ。この部屋にいるだけで7人。何のためにいるんだよ…



 一緒に聞いていたリムやミミと少し話をしよう。あまり聞かれたくないな


「リムとミミ以外少し出て行ってくれますか?内密な話があります」



 メイドが外に出るのをまって話をする



「どう思った?」



「多分ですが転移したのではないでしょうか、異世界かどこかに。」



「え、なぜそう思うの?」



「それはわかりませんが、なぜか違う世界に来たなという感覚があるのです。私はぷれいやー様がいた世界では歳をとりませんでした。そういうものだと分かっていました。でもそれがおかしいことだと今思っています。この考え方などの変化などが異世界に来たからではないかと。そして歳をとるのではないかと思うのです。やっと命がもらえた、そんな感じがします」



「私も…小さい頃や親の記憶なんてないの。そういうものだからと思っていたけどなぜかこっちに来た時に家族のこととかあるはずのない記憶が溢れてきた。ほんとにここに住んでいたかのように」




 リム、ミミが意見を言い合う。てことはゲームの世界ではあの姿のまま生まれてけどこっちの世界に来てから過去があったということに変換されたのか?なんだかややこしいな




「私思い出しました…家族のこと。多分生きてます会いたいです」



 突然リムがそんなことを言う。




「じゃあ記憶がみんな変わってるんだね?でもあの世界のことも覚えてる。そういうこと?」



「はい」



「うん」



「じゃあとりあえず君たちのことを教えて」



 リム・ロット・フィオールはフィオール家の次女で一人の姉と二人の弟がいる。フィオール家は僕の国の貴族だがあまり大きな権力は持っていないようだ。そしてメイドとして王に使えているという。17歳



 ミミ・チェルミーは冒険者。家族は死んでしまったようだ。この国の近くで家族を失いここに住み着いた。それまでは家族で旅をして暮らしていたという。でもこの世界の地形は覚えていないそうだ。なんともよくわからん記憶だな。19歳



 リクン・シルフィス・エクリエットは王様。僕は記憶がありません。年齢不詳 昔の年齢ならば22歳




 ふたりは徐々に記憶が戻ってきたらしい。最初は何事かと思ったリクンが王様だということもそうだったと認識してきたらしい。不思議な話だ。でもゲームのことも覚えているので彼女たちも不思議な感覚だろう。



「とりあえず、明日周りの国に行ってみようか。なにかわかるかもしれない」


 疲れた。なぜこんなに疲れないといけないのだ…少し寝よう。ベッドに横になり明日のことを考える。王様ってことはいろいろ大変そうだなぁ。なんせ王様だもんなぁ。やってけないだろ…こういう圧力みたいなの苦手なんだよなぁ。もう寝よう。おやすみ













 とりあえず一番近い王国に行きたいけどどれくらい離れているのだろうか。城を出て目にしているのは北には森があり西と南は草原だ東は山のようなものが見えるな。国境というのはどのように定められてるのだろか…山を越えたら違う国なんてのが一番ありそうだな。でも山って厳しいような気もする。この国にいる人間はこの国のこと以外何も知らない、なぜ?そんなの僕がわかるわけない。でもそれが普通だとも言わんばかりに話してくるのだ。例えば城の騎士一人に話を聞いた。「この国は僕が建国したらしいけど、それまではどこに住んでたの?」僕より明らかに年上だったので聞いてみたがそういえばどこだったのだろう…といったものの多分どっかの村だと言ってきた。それでいいのかよ


 まぁ考えても仕方ない。とりあえず安全そうな草原を進んで新たな村を探してどっかの国を教えてもらおう。地道に行動するのだ。それが一番の近道。



 そして馬車に乗っている人たちを紹介しよう。

 ミミとリムはもちろんこの馬車にはもうひとり乗っている。そして後ろにもう一台の馬車がついてきている。国王が出かけるから騎士がついてくるのは当たり前だという話だが、そんなものなのだろうか?この馬車にはズクリットピクス王国騎士団長『ミクリス・バリ・フォレスト』が乗っている。この男は見た目34歳程度若くして騎士団長という座につく天才騎士らしい。前の世界では知らない。少し青みがかった黒髪で清潔そうなイケメンだ。エルフと人間のハーフらしいが耳は普通の人間のようであまりハーフっぽくない。だが瞳が綺麗な金色でずっと見ていると引き込まれそうになる。これがエルフの特長だね。金の瞳はエルフしかいない。これはゲームの話だけどさ…。清潔そうなのもエルフっぽいのかな?関係ないか。この男は信頼していいのかなぁ?自分の国の民だし信頼するべきだろうけど…




「リクン様」




 いきなりミクリスに話しかけられ少し驚く





「ん?」



「何をじろじろ見ているのですかな?エルフの瞳は珍しいですか?」




 それは君のことを考えてただけだよ、と思いながら返事をする




「珍しくはないけど耳が人間よりだと少しね。僕はエルフが好きだよ。昔の仲間にもエルフがいたんだ」




「そうでしたか!そのエルフは幸せ者ですなぁ、私も騎士団長としてしっかりと働きたいと思っております。あとひとつお聞きしたいのですがなぜこのメイドを連れてきたのですか?」




「なぜって言われてもなぁ、この子は…特別かな?」



「ほぉ…特別。ですか。私も特別になれるように努力を惜しみませぬ!」



 はっはっはと笑いながらそういうミクリス。そして外を眺めながら少し顔が赤いリム。そんなリムにもたれて眠るミミ。こうして王様の旅が始まった。



 日が暮れてきた頃村のようなものが見えてきた。

 村の中を馬車で進む。皆馬車の方を見ているようだ。めずらしいのか?警備などはいなかったので小さな村なのだろう。でも話を聞くのに小さいも大きいもないな。村の中央に広場のような場所があったので馬車を止める。そして馬車から降りる。すると広場には結構な人が集まってきていた。その中から一人の戦士のような男が出てきた。



「この村に何か用でもあるのか?つい先日納金もしたばかりなのだからまだ用はないはずだが?」




 納金?税金払ってる的な?



「えっと…」



 何から聞こうか迷っているとミクリスが前に出て話し始めた



「静まれッ!」



 少しガヤガヤしていたがミクリスがそう言った途端に静まり返る。



「ここにおられるのはズクリットピクス王国、国王リクン・シルフィス・エクリエット殿下だ。代表は…お前か?少し話があるので話のできるところに案内せよ」




 戦士らしき男は眉をひそめてズクリット…と小さく呟いたが、ここに居る誰にも聞こえない




「わかった。我が家に案内するついてきてくれ」





 そう言われ僕たちは歩き出す。





「まて、家に入れるのは二人までだ。他は外にいてもらおう」




 誰と行こうか、そんなことを考えていると三人が話しだした。先に話し始めたし私が行くべきだ。とミクリス。メイドがお世話をするべきですとリム。私は仲間だよ?とミミ


 どうなんだろうミクリスは頭が良さそうだしこいつがいるとなんだか心強い。でもリムやミミも違った意味で心強い。昔から知っているしな。でもここは舐められても困る




「ミクリスと僕で行くよ。ふたりは他の兵士たちを連れてご飯でも食べてなよ」




 勝ち誇ったような顔のミクリスを連れて家に入る。リムたちは文句を言わずに馬車の方に向かっていったようだ。




「とりあえず座ってくれ。俺はこの村の村長的な存在だ。ギリス・ミクルドだ」



「えっとリクンです。いろいろ聞きたいことがあってきました。」



「長くなるか?」



「えぇ、少し」



「なら少し待ってくれ」




 そういうと立ち上がりそこからいなくなった。数分後飲み物を持ったギリスが戻ってきて渡してくれる。




「他の者には申し訳ないが、いかんせん狭い家でな。二人だけといって申し訳なかった」



「いえいえ、話を聞かせてもらえるだけで十分です」



「では、話とはなんですか?」





 そうして話が始まる。まずはズクリットピクスという国を知っているか聞いた。答えは知っている。だが鎖国していてその国のものは知らないという。次に聞いたのはこの村はどこの国の領土か。この国はエトラクエス王国という国の領土らしい。だが関わりは少なく村はほぼ自立している。エトラクエスに行くには馬車で2週間ほどかかる。道は結構整っており森などを抜けないといけないなどということはない。プレイヤーを分かるか?と聞いたがわからないようだ。そして今回一番気にしていることは自国の強さだ。攻められた時に平気なのか、自衛できるのかが気になっていた。だからこそほかの国の強さを知りたかった。エトラクエスは国としての大きさは平均的らしい。国民15万人程度。その中で戦えるものは3万人程度らしい。魔法は使えるのか?と聞いたら驚いたような顔をした。人間は基本魔法は使えないらしい。神に認められた人間のみ使えるらしいが、魔法適性があるのは1000人に1人でそういったものは軍の上層部にいる。希になににも属さない人間もいるらしいが本当に魔法が使えるのかはわからないという。ここまで聞けば自分の国の人間はほとんど魔法が使えるので戦力としては十分だろう。でもあまり敵対はしたくないので同盟など結べればなと思う。



「と、こんなところかな」



「詳しくありがとうございました。なにかお礼をしたほうがいいですかね?」



「いえいえ、そんな知っていることを話ただけです。礼には及びませぬ」



 情報とは大切だ。それをギリスはわかっていないのか?何も知らない土地で生きていくことなどできないのだから。国王が何も知らないほうがおかしいのかもしれないが


 間を置いてギリスが言葉を続ける



「…が、もしエトラクエスに行って国王に会われるのならその側近に私の弟、カイルという男がいると思うのです。その男にたまには顔をだせと兄がいって言ったと伝えてもらえれば嬉しいですな」



「約束します。ではまた」



 そう言って立ち上がる。ギリスに見送られながら馬車に向かうとそこでは村の子供達と遊んであげているミミがいた。リムはむすっとした顔で近くに立っている。微笑ましいなぁ。こんな光景昔はアニメの中だけだと思ってたよ、いや今はゲームの中?そんなことどうでもいいかと思うくらいそんな光景に憧れ感動していた。


 リクンは小さな頃、友達が少なかった。公園でひとりいつもブランコに乗ってみんなが遊んでるのを見ていた。鬼ごっこをしていたり、おままごと、たたかいごっこ。自分も憧れていた。誰かと何かをして遊ぶというのに。年上のお兄さんやお姉さんに遊んでもらいたかった。



 そんなこと思い出していると、リムがこちらに来ていたようだ。



「何か分かりましたか?」



「あまりわからなかったけど、王国の場所がわかったよ。そこに向かうかな」



「かしこまりました」




 ミミもこちらに気づいたようで村の子供達とお別れしているようだ。まだ遊びたそうにしながらもしつこいわけでもなく、なんともできた子供達だ。ミミがこちらにきて、先ほどのように王国に向かうことを説明する。馬車に乗り込み、ふと思い出す。


 ミクリス連れてったけど結局なにも話してないじゃん



 誰を連れてってもよかったなーなんて



 長い旅が始まるのかぁ2週間風呂にも入れないのは厳しいな。女の子達がかわいそうだ。でもリムたちはいつもいい匂いがするなぁなぜだ?





 無駄なことを考えるのも大切なことを考えるのも過ぎる時間は同じ。リクンはこの時、まだこの状況を深く考えていないのかもしれない。その時間がこれからどのような結果になるのか、ここに知る者はいない。そしてリクン以外も無駄なことを考えてるのであった。

























 ギリスとリクン様が話しているのを聞いていた私は何も言わなかった。ギリスが何も仕掛けてこなかったからだ。私はリクン様の命を守らなければならない。たとえ自分の命が危なくなってもだ。エルフの血が流れている私は他のものより耳がいい。感覚も鋭く目も良い。私が近くにいれば何かある前に対処できる。今は馬車の中で、エトラクエスに向かっている。もしこの国がリクン様と敵対するなら私はこの国を滅ぼそう。それが自分の死を意味しても。


 なぜそこまでリクンに尽くすのか、ミクリスはわかっていない。それが当たり前だと思っている。


 …それにしてもリクン様はいい匂いがするな。





































 エトラクエス王国につくのは今から2週間後であった。



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