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第五話 黒魔女の脱出
私はトルワード家の後継ぎに生まれながら、黒魔術の素質を持っていた。おかげで捨てられ、村の小さなお家で育った。
しかし、取り締まりがひどくなると私も火炙りの刑に処されることとなった。そして──その火で、村を滅ぼした。
「カルツィ、大丈夫か? 」
「大丈夫、です」
「やっぱりまだ寝させましょう」
私は部屋に閉じ込められた。おそらくあの二人は私のことを深く知っている。何者なのだろうか。
「お母様を、捜したい……」
ぽつりと呟く。そうよ、私は魔女。伝説の魔女なんだから脱出できるわ。
夜に脱出する前に整理しないと。
夜。魔法でこっそり脱出すると、そこには私の知らない世界が広がっていた。トルワード。そうよ、そこは──もう少し東のはず。多分。
私はそっちを目指し歩み始めた。




