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第四幕 パントム大戦へ
師匠様が最近、これを書くのを放棄し出した。お酒に明け暮れだした。そして──私の過去を語り出した。
赤の魔術師という人が私の叔母であり、師匠様が死に追いやったのだと。黒の魔術師という奴に惚れこんだ赤の魔術師がバカだとか色々ぼやいていた。私もそれから薄々気づいた。あの、言葉の、意味、を。
お母さんはもう一度魔術で国を繁栄、というか乱す気なんだろう。権力片手に黒の魔術師から受け継いだスベテを──。
「お酒~お酒~」
「師匠様、最近修行してくれませんね」
「は? もう完璧だと思うけど、まだやりたいわけ? 」
「……そう、ですか」
お母さんを止めたい。お母さんは残り少ない理性で自分を止めるべく、私を白の魔術師の元へ放り込んだのだろう。
「──シェビア、一つ話がある。ボクの、あとを継いで欲しい」
「え、え!? 」
「少し行かないとならない。もう二度と帰れなかったら困るだろう」
そう言い残し、師匠様は消えた。
パントム帝国が崩壊したのはその後すぐだった。




