第二十二話 対談
呪い。リリに直接会いたい。だから手紙を送った。
「あーん」
「もう、いつまで甘えてるの? 仕方ないなあ」
傍らでミカエルとカルツィがいちゃついており、すごくイライラする。ベルがしばらくいないのは助かる。ここにベルがいたら殺しかねない……。
「手紙が届いてたぞー」
「早いな」
マスターはもはや光景を見たくない、と最近は帰宅していない。手紙も隙間からこちらに投げてきた。
手紙には整った字で短く文が書かれていた。
『あのことで話かしら。それじゃあ、リュメヒ家の屋敷に来なさい。 リリ=リュメヒ』
ということでフォンテーヌと共にリュメヒ家の屋敷に行くことに。外に出ると、かなり上等な馬車が用意されていた。
「お待ちしておりました。リリ様が屋敷にいらっしゃるので早く行きましょう」
「はい」
フードを深く被ったその召使いは感情を全くこめないで淡々と喋った。無機質なメイドや召使いたちがいるのもリュメヒ家の特徴。
「あの、どれくらいで」
「2時間です」
「あ、そう……」
苦手だ。リリに会いに行く時もそういえばこんな人が迎えに……。
二時間して着くとそこには宮殿以上の大きさがある屋敷が。ただし塀はかなりの高さ。
「案内いたします」
「はあ」
まず玄関までが長く、車椅子のフォンテーヌと代わりたい気分にさせられた。屋敷の敷地内はほとんど森のようだ。
30分ほど歩き、フォンテーヌは全く疲れてないが俺はかなり疲れた。疲れまくった。
「こちらです」
「……」
リリはシェルリナと一緒にいた。マズい。これは、罠か!?
「警戒してるのかしら? 大丈夫よ。あなたが私と姉様を怒らせない限りは撃たないから」
「そうよ。それで、呪いをといてほしいの? 」
「ああ」
すると発砲された。幸い、外れたが(わざと? )
「バカねえ。フフッ、あなたたちがリュメヒ家に勝たなければ呪いはひどくなるわ。簡単にとけ、だなんて言わないでちょうだい」
「そんなんで引き下がるわけ……」
「キャハハッ、フォンテーヌを今すぐにお人形さんにしてほしいのかしらぁ? 」
「っ!? 」
フォンテーヌが突然苦しみだした。目がどんどん虚ろになっていく。やめろ……!
「分かった、分かったから! 」
「やっと理解してくれたみたいね」
「フフッ」
その後はリリに追い出された。仕方ない、マスターの家の書庫にこもるか。




