第十九話 リュメヒ家の評判
ミカエルが撃たれてからもう三日になる。あたしがミカエルを諦めたのも三日前。──少し、悲しい。
今日はより細やかな情報を得るべく、公爵一家が集まるところへ久々に参加する。多少動きにくいがまあ仕方ない。
「ほう、やはりそっくりだなあ」
「いえいえ。妹は少しやんちゃでして──」
兄は無駄話を相変わらずしている。お父様は絶対に来られないからあたしを縛る人はいない。
まずは東のフォルツェ公爵。さりげなく会話をしよう。
「こんにちは、フォルツェ公爵」
「おやおや、これはこれは」
「お久しぶりです、兄がいつもお世話になっております」
「ヘンベルンツ、君はもう参加しないものかと思ってたよ」
「たまには参加しようかと。ところで、リュメヒ家は? 」
「いつものとおり断られたよ。けっ、気にくわない」
「なるほど。気分屋ですものね。では、また」
「ああ」
あたしが幼い頃からリュメヒ家は絶対こういう場には出てこなかった。まるで人目を避けているかのような──。
「よ~う、元気かい? 」
「わわっ、酒くさい」
「ハッハッハッ! 元気そうで何よりだぁ」
「……ドムおじさんはリュメヒ家についてどう思うの? 」
「あぁ? あいつりゃあ、貴族として最低な奴らだぁなぁ」
「はあ、分かった」
酒豪のジェリアナンドムおじさんに聞いてもダメだ。
とにかく最低な奴──好印象ではない。
しかし、有力な情報を得るためには四大英雄ではだめだ。他の人に聞いてみよう。
ソファに座り、優雅にワインを飲みながら紙を読んでいるウェルズ伯爵。彼なら知っているはず。
「伯爵、こんにちは」
「おや。これはびっくりしたな」
「リュメヒ家について知りたいのです」
「──あいつらは、五大英雄の中でもあまり活躍しなかった。なのに今更しゃりしゃりでてきてトルワード家をつぶした。あろうことか帝国までつぶし、のっとりを計画している」
「へえ、なるほど。やっぱり伯爵はいい情報もっていますね」
「私は落ちぶれた英雄とは違うからな」
「では、失礼します」
伯爵と別れたあと、あたしの目には公爵夫人がペラペラしゃべりまくっている──いわばお茶会が目に留まった。本来なら、兄の嫁もここにまじわるはず。
「お兄様、またあの人はお休み? 」
「病弱だからな」
「……たまには来れたらいいのに」
あたしは、目的を果たしたので去ることにした。
59年当時公爵の親の時代。59年に公爵だった人の中でも一番年上はまだ5歳かな?
ジーヌ=フォルツェ→ハンゲル=フォルツェの父親
ジェリアナンドム=リメヒダ→カトレア=リメヒダの義父
ちなみに両方とも59年より前に死亡しているので。




