16/40
第十六話 複雑な想い~4月20日~
「ミカエル……! どうして、どうしてなのっ!? 」
「マスター呼んでくる! 」
私はミカエルのことが大好き。落ち着いたら一緒になりたかった。なのに、誰なの──。
ミカエルを抱きしめてしばらく泣いていると、誰かに肩に手を置かれた。マスターだった。
「血まみれだ、早く着替えなさい。ミカエルは俺に任せなさい」
「はい……」
「この程度なら死なないが、しばらくは動けないだろうな。少し国づくりが遅れる」
「……でも、死ななくてよかった」
私は涙がとまらなかった。それを見せないように走って宿に戻った。
「あ、ど、どうしたの? その血……」
「ミカエルが、ミカエルがっ……殺されかけたの! 」
「え!? 」
泣き崩れる私を呆然とベルは見ていた。しかし、すぐに私を優しく抱きしめてくれた。
「大丈夫だよ、きっと助かる」
「……そうだよね」
祈るしかできない。お願いだから、無事でいて……!




