第十四話 苦しい?~4月18日~
「あれ? フォンゲルトは? 」
「フォンテーヌと一緒にお出かけしたよ。遅くなるって」
「そうか」
夕食の時間。今日は3人だけだ。
少し寂しいな、と思いつつもベルが俺と顔を合わせないのに疑問を覚えた。俺、何もしていないんだが──。
「うわあ、これおいしいですね」
「ありがとうねえ。あとでレシピを教えてあげよう」
「こちらこそ、ありがとうございます」
カルツィが料理にハマりだしてからか? ベルに一体何が? 本当に分からない。どうしてなんだ。
「……料理のどこが面白いの」
ベルのつぶやき声にびくっとする。怖い……。
「ねえミカエル。明日は新しいレシピのもの、作ってあげるね」
「ああ、楽しみにしてる」
終始ベルが不機嫌なまま夕食は終わる。俺はなぜか苦しい。どうしてだ。
夕食後、ベルがそそくさと部屋に戻り二人きりになる。ずっと聞きたかったことが聞けるチャンスだ。
「なあ、カルツィ」
「ん? 」
「カルツィは、その……どこから来たんだ? 身なりからしてお嬢様だろうけど」
「……あの伯爵の家から。親切な伯爵には感謝してるけどね」
「え? 」
「……私、お母さんを捜したいの。それで伯爵の家から出て、その」
「リリからこの間聞いたが、トルワード家の娘って本当なのか」
「……」
すると突然泣き始めた。え? 機密事項?
「私、世間的には死んでるんだよ……ミカエルでも知っているでしょ」
「トルワード家が? 知らないなあ。フォンゲルトに聞いてみるよ」
「そうした方がいいよ」
なんとかカルツィをなだめることにした。
遅くに帰ってきたフォンゲルトはフォンテーヌをマスターに詳しく診てもらうため預けたらしい。
「なあ、トルワード家に何かあったのか」
「そうだな、ト・モルはあれだもんな。──リュメヒ家が虐殺をしに行ったらしい」
「はあ!? 」
「帝国はトルワード家を気に入っていた。万が一のことがあればトルワード家に国を委ねるとまでお父様は言っていた。リュメヒ家は気にくわなかったんだろうな。しかし、帝国はリュメヒ家に対して行動は起こせなかった」
「いや罰しろよ」
フォンゲルトはふう、とため息をついた。ああ、なるほど。
「リュメヒ家は巧妙だった、ってことか」
「そこらへんの犯罪集団より巧妙だ。そして、そのまま──トルトンの罠にハマりこのザマだ」
「そうだったのか……」
フォンゲルトは悲しそうな顔をしていた。
リュメヒ家は昔からこうなんですがよくわかる話




