第十三話 合間に~4月12日~
「ふう、疲れた……」
「お疲れさま。お昼、作ってきたの」
「カルツィ、ありがとう」
最近は雨が続き、中々外で練習ができない。そのため、宿屋の一階にあるフリールームを使わせてもらっている。
お昼はカルツィお手製のお昼ご飯。最初は指を傷だらけにして作っていたらしいが、傷は減ってきた。
「おお、今日はド・カーテもあるのか」
「頑張ったよ、私! きっと美味しいから」
「毎日ありがとうな」
「えへへ」
頭を撫でてやる。笑顔のカルツィにどきりとする。可愛い。
「ところで調査の方はどうなんだ」
「それがね、リュメヒ家、中々開放的じゃなくて。閉鎖的なわけ。ベルの調べもつかないしマスターも調べられないって」
「そうか……」
パルメチオの炒め物は中々美味い。貴族の食べ物、こんなに美味いのか……。
「おばさんに教えてもらったの。ディアーグの実がアクセントなんだって」
「へえ。このプチプチとしている実が? 美味しいなあ」
「うん、あ、ありがとう」
カルツィは褒められたのが嬉しいのか顔を真っ赤にしている。や、やばい。可愛いすぎる。
「どうしたの? 顔、赤いよ」
「え? カ、カルツィこそ」
「うっ……」
するとそこにフォンゲルトが現れた。最近はフォンテーヌと行動することが減っている気がする。
「おう、邪魔したな……」
「待て待て」
「せっかく二人きりなのを邪魔しちゃ悪いだろ」
「な、何を考えてるんだよ」
「おうおう、じゃあまたな」
ティフゥ(甘いお茶)をくれた。何のために来たんだ、全く……。
「カルツィ、ティフゥをくれたから飲もうか」
「ティフゥ……美味しいよね」
「うん」
他愛もない会話。カルツィと一緒にいるととても楽しい気分になる。
「さて、そろそろ再開するか」
「頑張ってね! じゃあまたね」
「うん」
俺はまた剣の構えの練習を始めた。




