5話 謎の声と、謎の記憶
また終わり方無理やりとか聞こえそうですから先に言っておきます。
無理やりじゃ、ないですよ!!
「チェシャねこってよばれるのがいやならあんなノロイぜんぶぜーんぶっ、けしてしまえばいいんじゃなぁ~いかなぁ~?」
「っ!? どういうこと…?」
「だぁってさあ~…アタシと、ジョオウサマと、…このくにのひととかいきものにノロイをかけてっておねがいしたの…だれだかわすれたの?」
ちょ、待って!僕何もしゃべってないのに口が勝手に…ちょ、チェシャさん!チェシャさんチェシャさんチェシャさん!!目が、目がイッてます!さっき直ってたのに目がイってます!誰か助けてくれ!!
「っっっっっっ~~~!!」
「ねえ、わすれたわけないよね? アタシ、いったよ?『ジョオウサマニ クライナラアナタニ 』って。なのに、さ…またこんなギセイシャだして…ナサケナイよ」
そういった僕ではない僕はフラッと倒れかけた。それをチェシャさんはすごい速さでシュパッと…ザシュッと支える。
「……大丈夫?ア李す。」
おいおい、またかよ!!っていうか…さっきから左目がおかしい…。今右目はチェシャ猫がうつってるのに左目は…誰かの記憶?
『ナア、 』
『なあに?じょおうさま!』
『ワタシハキミガダイスキダ』
『あたしもだよ!』
『デハ…ワタシノタメニ、シンデクレルカ?』
『え…?』
聞き返した少女に迫る、斧。
赤い、赤い血の色。
「……ねえ、チェシャ猫…。 今の記憶…なんだろう」
「きお、く…?」
「うん。今、左目に入ってきたの。…多分、少女の記憶…。」
「少女………まさか、アリスのこと?」
へ?最後のほう小さくて聞こえなかった。僕はそういったがなんでもない、と教えてくれなかった。
でも、アとスは聞こえた。それに当てはまる言葉を、分かっているんだけど、分からないふり。分かりたくない。嫌だ。
この場所はすっごいシリアスだけど、今もまだ、左目は記憶を僕に見せてくる。
見たくないと否定しても、見せてくる。
今度は、楽しい記憶。
『” ”!なにやってるの!おりろ!!おちたらいたいぞ!?』
『えー…だってたのしいよ?ルビィトもやりなよ!』
少女は高い塀の上を歩いていた。
その横で心配そうにしている、少年。
『” ”…またけがするよ?』
『はぁい…とうっ!』
塀の上から飛び降りる少女をやれやれといった顔で受け止める少年。
『もう…あ、そうだ。” ”コンドイッショニアソビニイコウカ!』
『ホント!!? やったぁー!!』
「…ルビィト?ってダレ…?」
「ルビィト!!?なんでその名前を…。」
「…っ、ぅ…あ、……た、まが………!うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
激しい頭痛を感じて僕は倒れこんだ。倒れこむときに見たチェシャ猫の顔は、ひどく焦っていて、とてもうれしそうだった。
ですから、無理やりじゃないですってば!!