表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
bond・ties  作者: スケスナ
6/12

stage5・確率

首には光り輝く鈴。

その持ち主は現在机に頭を伏せ死んでいる。




「ゆ…夕愛。案外似合うから。その、イタイ子なんて誰も思わないから、」



「そうだ。お前の幼児体型童顔野郎にはお似合いの鈴だ」




瞬間。

スレーブの頭にハリセンが飛ぶ。さて、どこから出てきたんだ、小明よ。




「幼児体型言うなし。確かに絶壁だけど。まな板だけど。チョコ板だけど。」



「落ちついて、夕愛。」



あたしも絶壁だから。とフォローを入れようと立ち上がり肩を叩こうとしたら、




ムニュ




「C。」




変な効果音に、乾いた声。

固まる空間。そしてなにかが弾ける音。




「ちょ、何気ない顔で何掴んでんの。セクハラだ」



「なんだ、着痩せするタイプか。」


「おいこら、話を聞け」



「C…Cか、Cで絶壁なら、私は抉り胸か。アハハ」



「夕…夕愛。落ち込まないでくれ。かわいいから、夕愛はかわいいから!!」



「スレーブ何してるの!?」



今まで黙っていた小明のスレーブが夕愛のスレーブに叱咤。




「もっとまさぐるのよ!!イヤらしく!!」



「一生黙っとれ」




間違いだった。

この女に助けを求めた自分が馬鹿だった。










「何と言う茶番。

愉快で暇そうで滑稽だのう」



4人の声ではない、誰かの声が響いた。




「……夕愛。あんたよりも幼児体型の奴がいるよ」




会議室の扉付近にいたのは、平安時代を匂わせる礼装を身に付けた金髪の少年。いや、幼児。





「無礼者!誰が幼児じゃ!!」



「お前だろ」


「あんただろ」


「あなたでしょ」



消沈してる夕愛以外の三人が一致してそう答えた。





「葛の葉。勝手にうろつ、く、な…?」




会議室の扉が開いた時、異様な空間に気づいた新たな来賓者。



しかしその異様な空間は来賓者により緊迫した空間に変わった




「……」



小明と蝶桜が人にらみ。

来賓者を睨んだ。



「……、何度言われても無駄だからな。」








赤いカチューシャで前髪を上げるが少々上げきらない髪は触角のようだ。

青年は首もとで弛むネックを掴み、目をそらしながら答えた。


どうやら顔見知りのようだ




「黙れ根暗ヤロー。

てめぇらなんかに頼まねぇよ。

このチキン野郎が」




中指を立て挑発する小明に



「あら、中々の顔立ちの坊やだと思えば…あの卑怯な目をした下劣な狐さんだったのね」


と皮肉を毒舌を浴びせる蝶桜


葛の葉、と呼ばれた幼児は蝶桜の言葉にムッと顔を歪める。





「吠えてろ。」


青年は冷たく言いは放った。

然り気無く背後に葛の葉を隠しながら青年は腕を組む。




「悪いが俺は自分の計算に基づいて出した答え《みらい》に背く気はないからな。」



「計算で未来を決めるなんてつまらない男ね。モテないわよ」




買い言葉に売り言葉。

交わされる言葉の雨の下にいる夕愛は立ち上がった。




「ねぇ…君…」



「…葛の葉のマスター、しげだ。なんだ。」



「重さん。ここから脱出出来る確率はどれくらい?」



「……0.001%。絶望的に不可能だ。」



「本当だ絶望的だね」


何を言い出すか。

重と夕愛以外は二人に目を向けた。




「その計算は本当に間違いない?」



「無論、間違いない」




「何でそう言いきれる?」




「葛の葉の能力と俺の才能だ。


葛の葉は持ち術でマの世界に散らばった数字《情報》を拾う。


その数字を集め組み立て一つの公式《予想論》にし答え《未来》を導く。それが俺の才能だ」




「そりゃ、すごい才能と能力だね。

でも、その計算には少し数字が足りないよ。」



「…?」



「公式の中に、重さんと葛の葉くんは入れた?」



「…!」



「この世界の情報だけじゃその公式は裏付けないよ。


君らの才能だけじゃない。


蝶桜さんも小明もいるし、私と私のスレーブもいる。

いないけど…他に4組いる。


最低でも、ここにいる3組を数字にして公式に入れてよ。

そうすれば、未来も変わってくるハズ。」




夕愛の話を聞いた小明はホワイトボードに置いてあるペンを掴み重に向かって投げた。




「……」



重はそのペンを上手くキャッチすると小明の方を見つめた。




「計算してみろよ。

私達を数字にして、公式に入れてよ、答えをだしてみろ。クソヘタレ」




重はホワイトボードに向かい、ペンのフタを空けた。




そのペンの塗料がホワイトボードについた瞬間だった。






「!!!」




ホワイトボードによくわからない計算式が浮かび上がった。



浮かび上がったと思えばホワイトボードは一気に真っ黒になり、それでも足りずに上部を消していき再び書き始める。



なん十回も同じ動作を繰り返し、なん十分も時間が過ぎた。




「………、」



キュッと重は静かにペンのフタを閉じた。



「……、13%」



低い確率だ。




「ただし脱出できない可能性だ。」




小明は蝶桜と目を合わせる。



「てことは、脱出可能率は97%…?」




かなりの倍率だった。




「あぁ。ただし。7組がちゃんと揃い、力の源になる記憶が最高潮まで思い出せたらだ。



この3組で今の力のままでは15%しかない。」




「15%なら、脱出出来ない事はないんだ。」




「まぁ…な」




「じゃあ脱出できなかったら重さんのせいだね。」




「は?」




「だってそうでしょ?

三組あわせて出た未来なんだから。

15%でも、可能性はある。

でも失敗したら力を貸してくれなかった重さんのせいだ」




迷いのない無垢な目で見られる重の気持ちは揺らぐ。動揺をした。

現実主義を揺らがない自分が今揺らぎ始めてる。



小明のように脅迫めいた言葉でもなく、蝶桜のように皮肉な言葉でもなく。



淡々とした夏目夕愛の言葉で揺らいでいる自分がいる。




「俺の…せい?」



「そうだ。重さんのせいだ。」



もう一度強く返事をして頷いて見せた。




「重。お主はもうこのおなごの虜だ。


余も故に、このおなごが気に入った。


主が断っても余はこのおなご共の話に乗るが?。」



スルリと重の背後から抜け出し、夕愛に寄りかかった。




「よく見れば整った顔をしておるの。

芸術的…とはいかんが、十分側に居て飽きぬ存在と見極める。



主を余の嫁として迎えようではないか」




何を言い出すんだこのガキは。



顔に合わずの色気の声色とオーラーで不覚にも頷きそうになった。




「くっ…葛の葉!!」



マスターとしてあるまじきスレーブの行為。






「どうする?色狐はこっちについたが。テメェはどうなんだ。」




夕愛のスレーブがユラリと立ち上がりズイッと重の顔に近づけた。




「……、脱出ができなかったら、俺のせいなんだろ?




わかった。出来ることは限られるけど、俺も力を貸そう。」





重の言葉に葛の葉は縛っていた上等で上部な鮮やかな紐を取り、重に渡す。



「物質交換だ。」



重は小さく笑い、袖を捲った。

袖には鮮やかなミサンガ。

そのミサンガを取り、葛の葉に渡した。



「あぁ、」




葛の葉の紐は重の手首に。

重のミサンガは葛の葉の髪止めに





脱出計画組が夕愛により二組から三組にと変化する瞬間だった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ