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bond・ties  作者: スケスナ
4/12

stage3・交渉

「は?これがあの猫!?」




ベッドに座る二人。

夕愛の隣には男。



そして豪華なソファーに座る小明にトグロを巻きリラックスをする蝶桜。




「そうよ。スレーブの本当の姿よ。」



「いやいやいや、スレーブって人語を喋る動物だと思ってた」




夕愛な言葉に小明は再びため息をつく。




「あんた…スレーブとマスターの意味知ってる?」



「……いや、あんまり…」




夕愛の言葉に小明はガタッ!と立ち上がる。

そして夕愛の手首を掴む。




「行くよ」



「は?」


ついてけない。彼女のペースについていけない!!。


そんな夕愛はスルー。

ズルズルと引きずる勢いでへやを出た。




残された一人と一匹。



「あら、あなたあの子に何も言ってないの?」



「…。あいつは過去を忘れすぎだ。」




嘆きの言葉をため息混じりに男は吐き出した。










「歩けるから!!落ち着いて!!小明!!」



「落ち着いてる。ものすっごい落ち着いてる。」



「手首離して!!痛い!!ガチで痛い!!」




主に指輪が食い込んで。




「あ、ごめん」



小明は立ち止まり夕愛の手首を離した。

夕愛の手首は指輪が食い込んだ痕がある。




「どうしたの?急に…」


「何も知らないなんて、スレーブに教えてもらわなかった?」



「スレーブ…あ、あの猫ね。

何も。

猫がスレーブで私がマスターなのは知ってる」



夕愛の素直な言葉に小明は深々とため息をついた。


「状況把握してないことはよ〜くわかった。


あたしは説明が下手だし、かといってあのくそヘビに頼んでもう一度説明してもらうのも癪だし」



どうしようかな…と腕を組ながら考え出す小明。



「…さっき」



「?」



「小明さん。さっき記憶の話をしていたときに私達って言ったよね。」



「あぁ、一様な。

仲間かどうかはわからないけど、あたしとあんた以外に5人いる。」



「じゃあ、その5人に訪ねれば…」



小明は困った顔で頭を掻いた。



「それがさ、みんな思いのままに過ごしてんだよ。



ここ一面に扉があるだろ?」




夕愛がいた部屋を一歩出ると長い廊下。



長い廊下をわたる際、かなり長い間隔をあけ扉がならんでる。




「扉は7つある。

この扉の向こうは自室だ。

あ、ちなみにあたしの部屋はあんたの目の前」



小明が指差した先。

この廊下の一番奥にある扉。

その扉の目の前には向かい合わせで扉がある。

そこが恐らく、小明の部屋だろう。



「他の5人はあたし達より先に目覚めたから今の状況を把握してるはずだ。


……が、興味ないのか信じられないのか現実逃避なのか…わからない。


誰も…あたしの話を聞いてくれないんだ」



小明が歩き出したたも夕愛もついていく。




長い廊下を歩き左右に別れる廊下を右へ方向を変える。


ちなみに左は下に降りるための階段になっている。




「ここ、会議室みたいなんだ」



カチャリ、とドアノブを捻り扉を開ければ、広い部屋が視界に現れた


部屋には大きな机が一つ、キャスター付きの回転椅子、そして正面には並より少し大きいホワイトボードがある。




「…会議室だね」



「まぁ、座って」




あたしの部屋じゃないけど、そう付けたししながら小明は椅子に座った。

夕愛も机を隔て小明の前に座る。


「で、…結局説明は……」

「あたし説明できないもん。」



「もんって……」



じゃあどうする気なんだ。

ツッコミを入れようと口を開いた瞬間。



白茶ぱいちゃどうぞ」



夕愛の背後から伸びてきた期目細やかな美しい白い細い腕。



目の前に豪華なティーカップが置かれる。

そのティーカップからフワリと上品な香りがした。



「………誰」


紅茶の香りに意識をとられていた。


はっとし背後を見ても人物はいない。


もしやと、小明の方を見ると、小明の目の前にはティーカップを置かれていた。



「あら、先ほどお会いしたじゃない。蝶お」



「あの脳内発情期蛇だよ」



「ちょ」



「ああ!蝶桜さんの本当の姿か」


左右の団子ヘアーに小明の赤いチャイナ服とは正反対の露出度が高い青いチャイナドレス。


体ラインがしっかりと出るチャイナドレスはスタイルの良い女性特有のSラインが出てる。


かなりの美女だ



「理解しないでよ…」



美女はちゃっかりと小明の隣に腰を下ろしため息を吐きながら紅茶を飲んでいた。




「茶菓子ねぇのかよ」



「ぬあっ!?」



いつの間にか夕愛の隣には猫の本当の姿である男の姿があった。



「あぁ、月餅ならあるよ。」



何処からか包みを出し開けて見せた。



粉にまみれた平たい餅が8つ。




「えー…これカロリー高いじゃな〜い…」



と言いながらも蝶桜は月餅を摘まみ口に運ぶ



「文句言うなら食うなし」



小明がそう言うが蝶桜はあまりの美味しさに頬を綻ばせる。



「あ…食いなよ。夕愛と…………、………。」



小明の目が男を見たまま動かない。



「名前なんて知らねぇよ。



男がそう言いながら月餅に手を伸ばす。



「ちょっ、名前知らないって…、」



「蝶桜の話によれば、マスターの記憶とスレーブの強さは関係してんだろ?



無理無理。このアホで馬鹿で無力な奴がマスターだ。

悪いが俺は名前が全くわからない。名前がわからない上ここのルールがわからない。


わかるのは、ここはマの世界と呼ばれる生と死の間とか本当に簡単なマスターとスレーブの関係


そしてこのアホ面ボケ面バカ面が俺のマスターだと言うこと。」



もっちゃもっちゃと月餅を食べながら呑気に話す男に小明は固まり蝶桜は深刻な顔をする。



「重症ね、二人とも」



うっ、と言葉につまる夕愛に対し気にしない様子で月餅を食べ続ける。



「蝶桜、あんた死闇にいったか?」



「は?」



「いやな、

気が付いたら闇の中にいてよ。


このアホが目の前で闇と一体化しかけて…。


その時完全に闇に溶けたと思ったんだが…気が付いたらあの部屋で目をさました。」

伸びた手が夕愛のティーカップを掴む。



「ちょ…それあたしの」



「…死闇ってなんなの?蝶桜」



小明が怪訝な顔で蝶桜に尋ねた。


「一面闇の世界。

マスターともスレーブとも呼ばれない、ただのゴミがさ迷い最終的には闇に一体化してしまう世界。

死の世界よ」



「なるほど。じゃあ猫さんや夕愛が重症なのは、」



「恐らく一回死闇に溶けたせいね。


あの世界はマスターを持たないスレーブやスレーブを持たないマスターがいく場所でもあるから。」




ティーカップを取られた夕愛の表情を見ながら小明がため息を吐いた。




「マスターとスレーブの関係。


私達は故意的に強い絆で結ばれているわ。

マスターはスレーブに命を預け、スレーブはマスターを守る。



どちらかを失えば私達は死闇に葬られるわ。



マスターが何か過去を思い出せばスレーブにも何かしらの力を得られる。」




すると男は拳を振りかぶり隣の夕愛の頭を殴った



「あいたあ!!!」



「早く思い出せ。バカアホ能無し」



「暴力反対!!!」




二人の反応に些か不安を感じる蝶桜。



「ここは生と死のはざまにあるマの世界。


死は死闇。


生は私達が本来いるべき場所。


私達はマの世界にあるこの建物に閉じ込められた。



マの世界から出るには、スレーブとマスター二人が厳守。



この建物は唯一私達が安全にいられる場所よ」


唖然として黙り混む夕愛と男に小明は立ち上がり前のめりになり勢いよく口を開いた



「あたしはこんな世界にいたくない。




自分が何者か知らないままこんな建物に生かされるなんてマッピラ御免。




あたしは、この世界からでてやる。」



小明の目が生き生きとしていく。



「スレーブは基本的に戦うこととこの世界の事しか知らない…。



そんなの、つまらないわ。

いい女は旅してナンボ。


私は本来の私を知り、この世界以外を知ること。

そのためにはこの世界を出なければならないわ



ねぇ、上品な美しい猫様に可愛らしいお嬢様。



私の話に乗らない?」


うふ、と色気を醸し出しながら甘い毒を吐く目の前の女に夕愛と男は目を合わせた。





「よくわからないけど」






「いいんじゃねぇか?




つーか、思い出せねぇ馬鹿こいつにも腹立つし…思い出せねぇ俺にも腹が立つ」




「猫がそう言うんだし。

まだ状況把握してないけど…とりあえず話に乗る。」




夕愛は小明と握手をし男は蝶桜と握手を交わした。






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