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自由とは

 side 翼


「動ける・・・?」


 それは、誰が呟いた言葉だったのだろう。もしかしたら、全員が無意識に喋った言葉だったのかも知れない。


「貴方たちはもう自由だ。もう、あんな奴の言いなりになる必要はない。」


 俺の言葉の意味を理解出来ているのはどの位いるのだろう?殆どの人は呆然とした顔で俺と奴隷商人の顔を交互に見ている。


『仕方ないんだよ。この世界では、彼らは赤ん坊の頃から首輪によって服従させられてきた。今更首輪が壊れたと言われて、信じられると思うかい?彼らは、諦めてしまっていたんだ。『希望』という言葉の意味を、彼らは忘れてしまっているんだよ。』


(赤ん坊の頃から・・・)


 そんなに幼い頃からあんな首輪で縛られていたというのか・・・。俺も、グノーに連れてこられなければ彼らの仲間入りをしていたかもしれない・・・?







「自由・・・なのか・・・・・・?」


 少しの時間がたった時、一人の男性が喋った。それは、先程俺に「すまない」と言ってきた人だった。


「・・・・・・自由、なのか・・・。」


「はい。貴方たちはもう自由です。理不尽な暴力に悩まされることはありません。やりたくない事はやらなくていいんです。笑いたい時は笑えばいい。泣きたい時は泣けばいい。これからは、皆さんの思うように生きて下さい。」


 俺の言葉を聞いた女の人の瞳から、一筋の涙が溢れた。その人は、先程俺の首に手をかけてきた人だった。


「あ、あり・・・がとう・・・・・・。」


 そして、ようやく全員が理解したのだった。自分たちは、自由なのだと。しかし・・・


 バチン!


「きゃああああああ!」


「ふざけるなよ!何が自由だ!俺がお前らの主人だ!貴様ら、俺の命令に従え!」


 鞭を振り回しながら叫ぶ豚によって、彼らの瞳にはまた恐怖の色が戻ってしまったのだった。


遅くなりました。

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